神奈川県鎌倉市の市民ボランティア「鎌倉を美しくする会」は1988年発足以来、散乱ごみの防止、公衆トイレの美化に取り組んでいる団体です。定例会議でまち美化の方法や課題について議論し、これまで、多くの推進策を行政や企業に提言してきました。こうした活動が実を結び、鎌倉では市民、ボランティア団体、企業、行政が一体となってまち美化を推進しています。

「捨てるごみ箱」から「入れるごみ箱」へ

「鎌倉を美しくする会」の提案により、鎌倉市内6カ所に“入れる”タイプの分別型ごみ容器が設置されました。網かごタイプのごみ箱は口が広く高さも低いため、何でも捨てられてしまうという欠点があります。しかも、外からごみが見えるため、大勢の人が真似をして、ごみが溢れていても捨てて行ってしまう。こうした、捨てるタイプのごみ箱がごみを呼んでしまう状況が鎌倉でもありました。

そこで同会では、「捨てるのではなく、入れたくなるようなごみ箱の設置」を行政に提言しました。この提言が受け入れられ、95年に3カ所、97年に3カ所、計6カ所に入れるタイプの分別型ごみ容器が新設されました。

新しいごみ箱には、ごみを入れたくなるようなデザイン、観光地に適したデザインが採用されました。また、投入口が適切なサイズであるため、家庭ごみが捨てられることも少なくなりました。

収集強化・柔軟性のある運営を提案

同会ではごみの収集体制・運営方法についても行政にいくつかの提案をしています。

当初、鎌倉市では、ごみの収集は平日に1回行われていました。しかし、鎌倉市は観光都市として多くの人が訪れ、それに伴って大量のごみが排出されています。本来ごみは持ち帰りが原則なのですが、観光客の出すごみを回収するためには、1日1回では足りなかったのです。

同会では、ごみの集まりやすい場所へのごみ容器の設置と、重点的に収集する拠点回収方式の導入を行政に求めました。この提言を受けて、95年にごみ収集業務が民間委託され、平日2回、土曜・休日には4回収集されるようになりました。

こうした取り組みにより、鎌倉の散乱ごみは減少しました。ごみ箱の形状、収集方法を変えることで、こんなに街がきれいになるのか。市民や行政の担当者はこの取り組みの成果に喜んだということです。

「キープ鎌倉クリーン」を合言葉に新たなプログラムを展開

鎌倉市では「ノンぽい鎌倉条例」制定に向けて、環境美化ボランティアグループ、市民、行政が結束しつつあります。現在、「キープ鎌倉クリーン推進会議」という形で、条例制定に向けてさまざまな活動に取り組んでいます。

こうした流れのなかで、新たなまち美化の方法として検討されているのが、「鎌倉アダプト・プログラム」です。アダプト・プログラムとは、アメリカなどで行われているハイウェイ道路脇の清掃方法です。具体的には、アダプト(養子にする)という言葉が示しているように、道路などを一定区間に区切り、1区画を里子として、住民や企業が里親となって里子(1区画)の清掃を担当するというものです。道路の管理者(行政など)は、里親の名前の入った看板を立てたり、掃除用具の貸与、清掃中の事故に備え、里親の保険加入手続きなどを担当します。

いま、鎌倉市では市民、ボランティアグループ、企業、行政が一体となって、新しい清掃プログラムに取り組んでいるのです。