スチール缶リサイクルの最前線に迫る
親子リサイクル・ウォッチング

あき缶処理対策協会では、夏休み中の小学生を対象として、〈自治体のリサイクルセンターから製鉄所へ〉というスチール缶のリサイクルルートをたどる資源化施設見学会を毎年行っているが、今年は「親子リサイクル・ウォッチング」と題して広島・千葉・大分の3地区で開催した。抽選で選ばれた総勢150組300名の参加者は、資源ごみとして収集されたスチール缶が自治体のリサイクルセンターでスクラップ処理され、製鉄所でさまざまな用途の鋼材として再びよみがえる“リサイクルの最前線”を目の当たりにし、あき缶のポイ捨て・散乱防止やスチール缶リサイクルに対する理解をより一層深めた。

スチール缶リサイクル最前線①広島編

8月10日開催
AM8:45広島ホームテレビ集合
AM9:45広島市北部資源選別センター見学
PM1:00昼食
PM2:00NKK福山製鉄所見学
PM4:00みろくの里見学
PM7:30広島ホームテレビ解散
当日の模様は8月21日、広島ホームテレビ「親子リサイクル・ウォッチング」として放送された。

分別するのが面倒なんてもう言ってられないっ!

■広島市北部資源選別センター

人口およそ112万人の広島市では、1976年から5種類分別収集を開始し、ごみの性質に応じた適正な処理が行われてきた。なかでも、資源ごみ収集については、月2回自治体が缶・金属類、びん類、紙類、布類を収集しているほか、小学校や町内会による集団回収、スーパー店頭などでの拠点収集が活発に行われている。

広島市内で収集された資源ごみは、北部資源選別センターと西部リサイクルプラザにそれぞれ運び込まれ、磁選機であき缶(北部資源選別センターではスチール缶のみ)を選別する以外はすべて手選別作業で細かくより分けている。そして、スチール缶や鉄くずは製鉄所、段ボールや雑誌・新聞は製紙工場、木綿や麻など布類は古布加工場、アルミ缶は精錬工場、びんはびん詰め工場、ガラスくずは製びん工場へとそれぞれ再生ルートに乗せられ、再び製品の原材料としてリサイクルされている。

なお、広島市によれば、98年度に収集した資源ごみの再生量はおよそ4万5,000tに達し、これらを埋立などで処分した場合膨大な経費が必要となるが、リサイクルルートを確立したことによって、およそ3億2,000万円の経費節約を実現するという大きな成果をあげている。

参加者の声

●「ボクはエコクラブに入っていて、月1回町内でやってる牛乳パックやあきカンの回収に参加してます」(小学5 年生・岡丸優太くん)

●「牛乳や卵のパック、精肉などのトレーはスーパーの回収ボックスに持っていってます」(小学2 年生・鈴川弘幸くんのお母さんほか多数)

●「給食が終わった後、牛乳パックとストローを分けて捨てるように、学校で習っているようです」(小学1 年生・杉田雄一郎くんのお母さん)

●「全部が機械で簡単にリサイクルされているわけじゃなくて、人の手で選別しているんですね。分別するのが面倒になる時がありますが、手作業で分けている姿を見ると、そんなことは言っていられないことがよく判りました」(小学1 年生・鈴木はるやくんのお母さんほか多数)

●「家から出るごみはわずかだけど、集まると大へんな量だったとオドロキました。それを分けるために、はたらいている人たちは毎日、毎日大へんですね。ごみを出すとき、カンはカン、びんはびんとそれぞれ分けて出せば、はたらいている人たちの労力も違ってくるかもと思いました」(小学3 年生・森光集子さん)

製鉄所で何度も生まれ変われるって素晴らしい

■NKK福山製鉄所

NKK 福山製鉄所は、世界最大規模の製鉄所(昨年度の粗鋼生産770 万t)として、自動車や電気製品、建設資材、飲料缶、船舶、橋梁など生活に欠かせない鋼材を生産している。スチール缶スクラップについては、広島県内を中心に年間およそ6,000tを受け入れている。

NKKでは、リサイクルの推進は資源の有効活用や環境上重要であるとの認識のもと、スチール缶スクラップを鉄源として活用し、再生させるとともに、社員が製鉄所周辺にポイ捨てされたあき缶を拾い集めるなどのボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。

参加者の声

●「すてたカンが建物の骨組みになっているのがすごいと思います。熱でとかしたスチールがあんなに長くなるのがおもしろかった。リサイクルのすごさや大切さを感じました」(小学5 年生・清水祐司くんほか多数)

●「広島市北部資源選別センターにあった鉄スクラップの何倍もの量が山のように製鉄所にあったので、本当にリサイクルされているのだと思いました。製鉄所の技術を使ってリサイクルすると、何度も生まれ変わることができるなんて素晴らしい」(小学4 年生・中西紘一郎くんのお母さん)

●「口でリサイクルと言って教えても、なかなか子供には伝わらないので、子供自身の目で見たり聞いたりしたことで、良い勉強になったと思います」(小学1 年生・秋元文香さんのお母さん)

●「1 つのカンでもたくさん集まれば、いろんなものに生まれ変わることができるので、資源としてリサイクルできるものは大切にしなければと思いました」(小学4 年生・山崎憲治くん)

スチール缶リサイクル最前線②千葉編

8月17日開催
AM8:45千葉テレビ放送集合
AM9:45千葉市新浜リサイクルセンター見学
AM11:30昼食
PM0:00川崎製鉄千葉製鉄所見学
PM2:15葛西臨海水族園見学
PM5:00千葉テレビ放送解散
当日の模様は8月25日、千葉テレビ放送「ゆうまるJUST」番組内で放送された。

あき缶を袋ごと捨てるとリサイクルするとき大変だったなんて…

■千葉市新浜リサイクルセンター

千葉市は東京のベッドタウンとして急速に都市化が進み、93 年には10 年前に比べ人口が10%伸びたのに対して、ごみ排出量は29%と大きく増加した。しかし現在では、リサイクルルートの拡充などによって、人口およそ82 万人・ごみ排出量およそ38 万tに達した89 年度をピークに、98 年度には人口およそ87万人・ごみ排出量およそ37 万tと推移している。

千葉市での分別収集は92年から缶・びん類を対象に週1 回行われ、20~25世帯に1カ所の割合で市内1 万6,000カ所のごみステーションに、4 種類(缶は1種類、びんは無色・茶色・その他の3種類)のコンテナが設置されている。

コンテナごとに収集された缶・びん類はすべて、95 年から稼働している新浜リサイクルセンター(1日5 時間あたり缶類は50t・びん類は45t の処理が可能)に運ばれ、それぞれ別々のラインで缶類は磁力選別・びん類は手選別されている。

参加者の声

●「缶は決められた日に分けて出してますが、牛乳パックもよく洗って生協に出しています」(小学6 年生・中台昭子さんほか多数)

●「じしゃくでカンを分ける方法はすごかった。実さいに自分の目で見ると、やっぱりリサイクルがどのように行われているのかよくわかりました」(小学4 年生・陳思格くん)

●「あき缶を買い物袋ごとコンテナに出していたのですが、それがリサイクルする時に手をわずらわせて大変だということを知りませんでした。これから気をつけなければいけませんね」(小学2 年生・中村由真さんのお母さん)

●「リサイクルの効率性を高めるためには、家庭での分別がカギを握っていると実感しました」(小学5 年生・玲木夕記子さんのお母さん)

製鉄所でスチール缶をリサイクルしてることを知って資源の大切さを実感しました

■川崎製鉄(株)千葉製鉄所

川崎製鉄千葉製鉄所は、戦後日本で初めて建設された銑鋼一貫の臨海製鉄所で、京葉工業地帯の中心に立地している。広さは東京ドームのおよそ190 倍(およそ870 万)というビッグなスケールで、地域や環境との共生を目指して、徹底した省資源とリサイクルを推進している。

千葉製鉄所の生産量は年間350万tで、スチール缶や自動車用鋼板、キッチン・シンクに使われるステンレス鋼板、石油や天然ガスを運ぶパイプライン用鋼管など、暮らしと産業を支える製品を生み出している。スチール缶スクラップについては、千葉市を中心とした関東一円にわたって受け入れており、年間使用量はおよそ1 万2,000tに及んでいる。

参加者の声

●「製鉄所でスチールカンをリサイクルしていることを初めて知りました。リサイクルには、とても費用がかかると聞いたことがありますが、モノを大切にし、資源を生かしていかなければいけないとあらためて実感しました」(小学6 年生・中台明日香さん)

●「リサイクルしたカンがまた、わたしたちのところに来るのかと思ったら、ポイすてしてはいけないと思いました」(小学4 年生・渡辺菜摘さん)

●「スチールカンがリサイクルセンターでつぶされて、製鉄所へ行って、また使われることを初めて知ってオドロキました」(小学5 年生・川瀬なみさん)

●「夏休みの宿題に役立ちました」(小学4 年生・深山美香さん)

●「圧延工場で赤い鉄が伸びていくところが本当に感動的でした。でもホント暑かったァ」(小学6 年生・景山聖羅さん)

●「身近にあるスチールカンがスクラップされて、製鉄所でとかされてまた鉄になるのを見て、その大変さがわかりました。ボクたちにできることは、決められた日に決められたごみを出したり、なるべくごみを出さないことだと思います」(小学6 年生・杉本知也くん)

スチール缶リサイクル最前線③大分編

8月19日開催
AM8:45大分朝日放送集合
AM10:45中津市クリーンプラザ見学
PM0:45昼食
PM1:10大分県立歴史博物館見学
PM3:30新日本製鉄大分製鉄所見学PM
PM5:00大分朝日放送解散
当日の模様は8月30日、大分朝日放送「親子リサイクル・ウォッチング」として放送された。

ごみになるか、資源になるかそれは私たちの心がけ次第

■中津市クリーンプラザ

中津市の分別収集は月3 回、缶・ビン・ペットボトルを一括して透明な袋に入れた状態で回収する方式を採用している。収集された缶・ビン・ペットボトルは、中津市クリーンプラザ内の選別ラインで袋を取り除き、スチール缶は磁選機で、それ以外は手作業で選別されている。中津市クリーンプラザは、市の廃棄物循環型社会基盤施設整備事業の一環として今年3月に完成したばかりで、最先端の焼却技術と細心の運転管理によって現在順調に稼働を続けている。

参加者の声

●「リサイクルのことがいろいろわかったので、友だちにおしえてあげようと思います」(小学3 年生・野口豊索くん)

●「リサイクルセンターに集められたごみの中から、ペットボトルやびんを手で分けるのは大へんだから、これからもごみをきちんと分けようと思いました」(小学3 年生・甲斐芙美子さんほか多数)

●「さびたスチールカンは不燃物にしていたけど、問題ないとのことなので資源ごみとして出すことにします」(小学4年生・倉原智志くんのお母さん)

●「ごみになるか、資源になるかは、私たちの心がけ一つなんだなと思いました」(小学1 年生・伊東大佑くんのお母さん)

●「リサイクルにとって大事なことは、一人ひとりがマナーを守って、あきカンを資源ごみとして出すこと。そしてモノを大切に使うことだと思いました」(小学6年生・井上千鶴さん)

リサイクルするだけじゃなく環境にも気をつかっているんだ

■新日本製鉄(株)大分製鉄所

新日本製鉄(株)大分製鉄所は、日本初の全連鋳方式を採用するなど、世界最大規模で効率的な設備を活かして、船舶や橋梁、ビルの鉄骨、産業・建設用機械用の厚板、自動車や家電製品用の熱延コイルなど、年間およそ700万tを生産している。この最新鋭の製鉄所では、大分県を中心に九州一円からスチール缶スクラップをおよそ6,000t受け入れ、リサイクル活用している。

新日本製鉄では、回収されたスクラップを積極的に活用するとともに、植物生態学にもとづいて日本に古くからある鎮守の森に見られるような“ 郷土の森”づくりを20 数年にわたり推進しており、現在では全社でおよそ700 万の美しい森が誕生し、いまや野鳥の楽園となっている。大分製鉄所もまた、80 万本の“ 郷土の森”に囲まれ、資源の有効活用を図りながら、よりよい環境の創造に取り組んでいる。

参加者の声

●「スクラップヤードでは缶の山にビックリしました。子供たちが明日から自分たちで考えて分別してくれると思います」(小学2 年生・三重野さやさんのお母さん)

●「大分県の人口は123 万人だそうですが、1 人1kg のリサイクルを心がけるだけで1,230tのリサイクルが可能です。自分や家族が使い終わったあき缶は自分たちでリサイクルして、また使うという意識をもって取り組む必要性を感じました」(小学4 年生・佐々木貴浩くんのお父さん)

●「アルミ缶は子供会などで集めていましたが、実はスチール缶は大切に扱っていませんでした。この見学会でスチール缶もとても重要な資源だとわかりました」(小学4 年生・後藤功丞くんのお母さん)

●「スチールカンから鉄ができるまでの様子がよくわかりました。これからは、スチールカンをリサイクルできるモノとして大事にしたいと思います」(小学4 年生・木野村椎怜さん)

●「製鉄所は、鉄をつくるところと思っていたけど、カンをとかしてリサイクルしているのを知りました。リサイクルするだけじゃなく、環境にも気をつかっていることも知りました」(小学5 年生・工藤誠也くん)

●「親子で参加できてとても良かったです。資源を考える、ごみを考えるいい機会になりました。親はもちろんのこと、これからの未来をになう子供たちと参加できてよかった」(小学4 年生・倉原智志くんのお母さんほか多数)

消費者・自治体・鉄鋼メーカーの三位一体となったリサイクル社会の構築を目指して

スチール缶の分別収集を実施している自治体は99年3月現在、全体の80%にあたる2,572カ所に達している。包装容器としての役割を終えた缶詰や缶飲料といった使用済みスチール缶のほとんどは、家庭できちんと分別して決められた収集日に排出すれば、資源化処理される自治体のリサイクルルートが順調に整備されている。

あき缶処理対策協会では、こうした自治体の資源化施設整備を推進するため、91年度以来累計120カ所を超えるハード面での支援を行っており、今年度も引き続き北海道紋別市から鹿児島県串木野市まで全国15カ所程度の支援を実施する予定となっている。さらにソフト面についても、分別収集の拡大に向けたセミナーや研究会の開催、スチール缶リサイクリングマニュアルの発行・配布などを継続的に行っている。

他方、スチール缶スクラップを製鋼原料として使用している鉄鋼メーカーは、全国で80工場を数え、需要の多い関東と関西を中心にほぼ全国に点在している。98年現在、鉄鋼メーカーで購入しているスチール缶スクラップ総量は106万tにおよぶ。

今回、親子リサイクル・ウォッチングで訪れた各製鉄所は高炉メーカーと呼ばれ、全体の17.5%にあたる18万5,000tのスチール缶スクラップを利用している。このほか残りのスチール缶スクラップは電炉メーカーや鋳物メーカーが利用している。

鉄鋼メーカーでは、スチール缶そのものの材質が向上したこと、以前に比べ発生量(集荷量)が増えて一定量の原料として流通してきていること、品質が安定しており価格的にメリットがあることなどからよ、く分別された異物混入のないスチール缶スクラップを良質の製鋼原料として高く評価しており、今後さらにリサイクルルートの拡充によって回収量が安定的に増えれば、鉄鋼メーカーでの使用量はまだまだ増える傾向にある。

あき缶処理対策協会では、親子リサイクル・ウォッチングをはじめとしたさまざまな事業活動を通じて、これからも《消費者による分別排出→自治体による分別収集・資源化処理→鉄鋼メーカーによる再利用》という消費者・自治体・鉄鋼メーカーが三位一体となったリサイクル社会の構築に貢献していく考えである。