早稲田大学政治経済学部教授 寄本勝美

自治体が清掃事業の一環として再生資源の分別収集などリサイクル事業に着手し始めたのは、1970 年代後半からであったが、そのほとんどの場合、資源の有効利用を第一の目的にしていたわけではなかった。その主たる理由は、埋立処理地や清掃工場用地の取得難のために、ごみ処理事業が重大な危機に陥ることが予想されたことから、それを乗り切るためには何としてでもごみを減らさなければならず、それにはリサイクルによるごみ減量が有効と考えられたからである。

リサイクル事業への自治体の“ 新規参入”は、“ごみ非常事態”の乗り切り策として合理的ではあった。とはいうものの、リサイクルには、それ自体コストがかかり、資源も使い、あるいは再生資源を集め過ぎて市場で供給過剰をもたらす“ 豊作貧乏”ともいえる事態をもたすことが次第に指摘されるようになった。けれども、経済的にリサイクル事業が赤字だからといって、それをごみ処理にまわせばよいというものではない。むしろ、これからはリサイクル経済とごみ処理経済を一体化させたトータルな次元に立ってリサイクルをめぐる経済問題を考えていかなければならない。

この点については最近、消費者と企業、それに行政が応分の負担を義務づける一種の経済的手法が導入されており、処理コスト負担の適正化を図る新しい公共政策の試行が始まっている。多くの自治体で事業系廃棄物の処理料金の改定が行われ、できるだけ処理実費に近づける動きがみられるのは、評価されるところである。他方、家庭ごみについても、ごみの減量やリサイクルへの消費者の理解と協力を喚起するため、自治体が行う収集処理費の少なくとも一部を排出者の直接負担とする動きがみられる。家庭ごみ収集の有料制を導入した福岡県北九州市、岡山県津山市、岐阜県多治見市、埼玉県与野市、東京都青梅市では、早くもその効果が実績で立証されている。

ごみ問題、環境・資源問題が深刻になっている今日、処理コスト負担の適正化を図り、リサイクル社会を支える経済システムの構築が急務となっている。リサイクルシステムの構築は、都市の当局者や関係者の間で新しい事業にチャレンジする気持ちがあるか否かにかかっている。まさに都市自治の本質が問われる問題と言えよう。(談)