日本で[容器包装リサイクル法]が施行されて3年が経とうとしている。今年の4月からはガラスびん・ペットボトルだけでなく、段ボール製品を始めとする紙製容器包装とペットボトル以外のプラスチック製容器包装も同法の対象となる。そのような流れの中で、日本において同法が成立・施行された前後、先駆けとしてリサイクル関連法やシステムが頻繁に紹介されたのがヨーロッパの事例である。あき缶処理対策協会においても、同法の施行以前から数度にわたり調査団をヨーロッパに派遣し、報告書の形で提言を行ってきた。[OVERSEAS REPORT]では2回にわたり、前号までのアメリカの調査報告に引き続き、[第6回あき缶問題訪欧調査団報告書]をベースに、ドイツを中心とする[ヨーロッパの再資源化策]、そして日本が学ぶべき点が多いと思われる[美化・清掃活動]をご紹介する。

1990年代に大きく動いたヨーロッパのリサイクルシステム

ヨーロッパのリサイクル事情と一口に言っても、国の事情によってさまざま。中でも容器包装のリサイクルシステムは、収集・分別・再資源化といった各プロセスにおいて一般家庭廃棄物と密接に関わっており、一般家庭廃棄物の収集・処分のシステムとの整合性、特に経済合理性を追究して構築されるため、各国のローカルコンディションに大きく左右される。国によっては埋立地で処分される廃棄物から資源を回収したり、焼却廃棄物から回収するといったように、資源回収の方法も各国の廃棄物処理事情によって異なる。

ヨーロッパにおける容器包装リサイクルに関する流れを簡単に整理してみる。まず初めに動き出したのがドイツだ。1991年に[包装廃棄物政令]が施行され、いわゆるDSDシステムが立ち上がった。それに続き92年にはフランスが全包装材の再資源化率を75%、各素材毎の再資源化率60%以上(2001年目標)を目指してエコアンバラージュ社(EE)を設立、質量・容量による賦課金を納めることによって製造者がEE社に責任を委譲できるシステムを構築した。この頃から容器包装リサイクルの気運が高まり、DSD社やEE社と同様のリサイクルシステムとして93年にはベルギーがFostPlus社を設立、オーストリアではARA社が発足するなど、ヨーロッパ北部各国における容器包装リサイクルシステムが大きく動き出した。その後94年には、2001年6月30日までに家庭系・産業系・商業系の包装材および包装廃棄物全体の回収率を50~60%(重量比)まで高めることを目標とした[EU指令]が発効し、その他のEU加盟国においても容器包装リサイクルについての法整備、システム構築が指向され現在に至っている。

キャンペーン活動を大別すると、大掃除と広告。特に「春の全国大掃除」には、子供からお年寄り、学校、企業まで幅広い参加者があり、その数は数百万人にも及ぶという。コミュニティや海岸沿いの清掃活動、植栽活動などの各種プラグラムも充実している。

では、40年以上にわたる歴史の中で、キャンペーン、教育、各種プログラムを通じて、イギリス国民一人ひとりの環境に対する意識を着実に高めている。

包装材の簡素化、ごみ減量を促したDSDシステム

ヨーロッパの中でも先駆けとなったドイツは、学校で再生ノートを一括注文したり、文房具についても再生品を買うようにすすめるなど、学校教育の現場でもリサイクル意識の高さの一端を垣間見ることができるが、廃棄物の最終処分の埋立比率が高かったことや、焼却設備の新設が禁止されていることもあり、当初から分別収集を指向し、容器包装のリサイクルシステムを早期に確立、実施してきた。

ドイツがリサイクル社会へと大きく動き出したきっかけは86年の廃棄物法改正だと言われる。日本同様、住民の反対で処分場建設が難しくなってきた事情もあり、ゴミ減らしを打ち出した。その実施の代表例が[包装廃棄物政令]である。91年6月に施行された同政令では、家庭系包装材などの回収義務を流通業者・販売関係者に、再資源化義務を製造業者および流通業者に定めた。これらの責任は、既存の公共機関の資源化システムとは別で独立したものである。そこで登場したのがDSDシステム。包装商品の流通業者・製造業者はグリューネプンクト(賦課金)によってその責任をDSD(デュアレス・システム・ドイッチュランド)社に転化できるというものだ。

業界が自己回収している特定のびん容器以外の容器包装については、ガラスびん、プラスチック、金属、紙などほとんど全てのものにグリューネプンクトのマークが付けられており、DSD社の回収ルートの対象になっている。ちなみにドイツでは、缶容器はびん容器に比べてはるかに少ない。消費者は、再利用証明とも言える緑と白で描かれたマークがついた容器を、瓶や缶などの種類毎に特別のコンテナに入れる。これをDSD社が個々の企業に代わって回収・リサイクルする。DSD社の活動資金は企業から支払われるマークの使用料だが、各企業は使用料の支払いを少なくするために包装の簡素化に努力するなど、同システムはごみ減量においても少なからず好影響を及ぼしている。97年頃にはまだDSD社によるリサイクルシステムが整備されていない地方自治体も見られたが、昨年の段階ではほぼ完全に普及したと言われている。ただし、DSD社は収集・分別のシステムを一般廃棄物と別立てで構築したことによる高コスト構造などの問題を抱えており、現在、機械選別の導入による効率化、フリーライダー(料金を支払わない事業者)の排除を対策の柱に掲げ低コスト化に努めている。

第1の目標は、ごみを出さないこと

一方、地方自治体でも包装法施行と前後してさまざまなゴミ減らしを始めた。例えばミュンヘンでは、マラソンやサッカーの大会、音楽祭など公共用地の行事では使い捨て食器の使用を禁止し、再使用食器を義務づけた。その代わりに、器の洗浄車を貸し出している。

ドイツでは、DSD社やこうした自治体の取り組みなどによってリサイクルに対する社会的気運も高まり、93年は対90年比で10%のごみ減量を実現した(ドイツ環境省統計)。そしてさらに96年10月には、ごみになった製品を製造・販売した企業に引き取らせてリサイクルさせる[循環経済・廃棄物法]を施行し、その下で[包装廃棄物政令][情報機器廃棄物政令]などが定められた。[循環経済・廃棄物法]はドイツにおいて廃棄物対策基本法としての性格を持ち、ゴミに対するドイツの考え方を端的に表している。ゴミを出さないことを第一の目標とし、やむを得ずゴミが出る場合は再利用し、どうしても無理な場合だけ処分するという考え方だ。そして現在ドイツでは、先に述べたDSD社のリサイクルシステムの効率化に加えて、生ごみを施設において堆肥化し土壌に還元する生ごみコンポストの推進と、埋立対象物の無機化による埋立地の環境水準向上を目指している。

日本とドイツの違いは、日本がすでに可燃ごみ処理施設を保有していた中でリサイクルを進めているのに対して、ドイツの場合はDSD社によるリサイクルシステムがごみ処理施設・設備に先行して行われ、残りのごみの処理オプションを検討している点にある。リサイクルシステムがローカルコンディションに左右されるものであり、その意味で、ドイツの取り組みをそのまま日本に当てはめることは難しいが、廃棄物処理法の制度的疲労が指摘され、いま[容器包装リサイクル法]に続いて[循環社会法]の制定を視野に入れ始めた日本の法整備の参考になることは間違いない。

(次回は、日本への示唆に富む[ヨーロッパの美化・清掃]の取り組みをご紹介します)

あき缶処理対策協会では、海外調査を重要な事業と位置づけ、調査団を派遣してきました(アメリカ6回、ヨーロッパ6回)派遣毎にまとめられる調査報告は、欧米のリサイクル事情の紹介として各方面の方々にご活用いただいています。