福岡大学工学部教授福岡市循環型システム研究会会長 松藤 康司(まつふじ・やすし)

ごみの埋立地問題を考える場合、埋立地を人間の体に見立てれば飲み過ぎ、食べ過ぎ、有害物の侵入にどう対処するのか、また、個々の役割がよく見えてくると思います。

人体の場合は、専門家(医者)が体の仕組みや機能を体系的に研究する一方、信頼関係をベースに、市民(患者)に対して飲み過ぎ、食べ過ぎなどに気をつけてくださいと“協力”を求めます。

これと同じように、患った埋立地を改善して循環型社会を構築するためには、やはり行政と市民の信頼関係と協力が欠かせません。

では、両者の信頼関係はどこで生まれるのか。それはインフォームドコンセントやモニタリングケア、つまり“情報”にあると思います。

例えば、お父さんの血糖値が異常に高いと診断されれば、本人は飲み過ぎに注意しようとブレーキをかけます。お母さんは食事療法を取り入れることでしょう。そして、息子は万が一のことを思って、勉強に励むようになるかもしれません。お父さんの健康状態に関する情報を知ることで、家族はお父さんが元気に生活するために一体どうしたらいいのか、一人ひとりが自分の役割分担を考え、実践していくようになります。

情報公開の大きなメリットはそこにあります。

この考え方は健全な循環型社会を構築するうえでも欠かせません。さまざまな形で情報公開が行われることはもちろん、その情報を家族の健康と同様に、自らのこととして受けとめることが必要です。

しかしながらこれまで、ごみ減量・資源リサイクルにご協力くださいと呼びかけても限界があったことは否めません。ではどうしたらいいのでしょうか。

福岡大学では、情報公開の一つの手法として、「ごみマップ」を開発しました。「ごみマップ」とは、福岡市内における不燃性収集ごみの排出量や集団回収による資源化量を、小学校121校区毎に地図情報としてまとめたものです。マップ化によって、不燃性収集ごみの排出量が多い地区ほど資源化量が少なく、排出量が少なかった住居地区の資源化量が多いという傾向がわかります。また同じエリア内でも、子供会に参加する年齢層の多い住居地区では協力度・リサイクル率が共に高い一方、一人暮らしが多いマンションなどの住居地区や商業地区では低いことがわかります。

こうした情報集積・公開を通じて、それぞれの地域性に合った特色のあるきめ細かな廃棄物管理システムを構築し、一人ひとりが身近な自らの問題として、リサイクル活動に取り組みやすい環境をつくることが大切です。

福岡市ではこうした考えのもと、今後も重層的に改善策を打ち、福岡式循環型システムの構築を目指していきます。(談)