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「STEEL CAN AGE」Vol.9 星野知子号

Vol.9 星野知子号
2003年4月発行

「ジャングルの中では、モノは繰り返し使われる。
ゴミという概念そのものが、存在しない世界なのです」

星野知子(女優)

私は、人の住んでいないアマゾンやシベリアの秘境で、長期滞在したことがあるのですが、滞在中ゴミで困った記憶はほとんどないですね。

もともと荷物は最小限にするのですが、持参した割り箸やビニール袋、あき缶もみんなボロボロになるまで何度も洗って使います。靴ヒモ一本でも、同行した研究者の子供が欲しがっておもちゃにしちゃう。

星野知子さん 圧倒的な大自然に囲まれていると、手にしたあき缶一つがとても異質に見えるんです。人が作ったものは、そのままでは自然にかえることがない。それが肌で感じられ、恐いぐらいでした。

でも日本に帰ってくると、人工的な都会に落ちてるあき缶は、気付きにくいほどです。考えさせられますね。

そもそも『ゴミ』という概念自体、地域によって全く違うみたいです。

昨年行ったインドの街は、道路にはいっぱいゴミが落ちていて、最初は決してきれいな街という印象は持てませんでした。一般的なインドの家にはゴミ箱がなくて、みんな道路に捨てちゃうんです。

でも落ちてるゴミをよく見ると、食べ物の残がいだったり布くずだったりして、全てそのまま土にかえるものなのですね。ゴミ自体の量が日本と比較にならないぐらい少ないですし。あらゆるものが何度も使われるので、捨てられるまでに長い時間がかかるのです。

それにひきかえ、私たちはすぐゴミにしたがる。ティッシュペーパーを一回使っただけでゴミ箱に捨てる私たちの感覚の方が変なのかもしれません。

文明が発達し、トイレが水洗になったりゴミを他人に回収してもらう生活が当たり前になって、目の前のゴミが瞬時に消え去ったかのように錯覚してしまう。だけどゴミは場所を移動しただけで、消滅したわけではないのです。どんなゴミでもゴミにせず、再利用する仕組みを考えて実現することこそ、発達し続ける文明に課せられた大きな宿題なんだと思いますよ。

そうは言っても、堅苦しいのは私も嫌だな(笑)。悲壮感や義務感でリサイクルするより、何か達成感や喜びがあると良いですね。例えば、集めた空き缶が再生されて社会に役立つモノになったり、夢のあるものに変わったりすると、もっとがんばろうって気になるんじゃないですか。(談)
: PROFILE :
NHKドラマ「なっちゃんの写真館」で主演デビュー。「ミュージックフェア」の司会や「ニュースシャトル」のキャスターを務めるなど映画、TVに多数出演。映画「失楽園」で1998年日本アカデミー賞助演女優賞優秀賞を受賞。ドキュメンタリー番組への出演も多く、アマゾンやペルー、シベリア、インドなど、行った国は40ヶ国以上だとか。著書も多く「トイレのない旅」「食べるが勝ち!」(講談社)、「パリと七つの美術館」(集英社新書)などがある。
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