4月15日、「東京ディズニーランド」は1983年の開園以来満20年を迎えた。2001年秋にオープンした「東京ディズニーシー」と合わせて2002年度の来場者数は2,482万人を数える。わが国のテーマパークではトップの集客実績だ。テーマパークにおける集客力の鍵はリピーターにあると言われ、イベントやショーの企画内容が重要な柱であることは言うまでもない。その一方で見逃されがちなのがパーク内の美化・環境対応への取り組みである。東京ディズニーランドが開園20周年の節目を迎えたこの機会に、運営会社である(株)オリエンタルランド広報部シニアスタッフの久保哲也さん、本橋明(さやか)さんに伺った。

パークの中は子供が安心して寝っころがれる状態に

「パーク内の美化・環境対応は決してそれが目的ではなく、テーマパークの理念を背景とした自然な結果です」と久保さんは、さり気なく言われる。創始者のウォルト・ディズニーが提唱し、日本にも引き継がれているテーマパークの理念とはSCSE。SafetyCourtesy Show Efficiencyの頭文字を取ったものだ。美化はそれらの理念を具体的な形とした結果であり、それがちり一つない状態につながっている。

「小さい子供さんが多くお見えになるだけに、子供さんがどこででも安心して寝っころがれる状態に保っているのです」(久保さん)。

“毎日が初演”の理念はテーマ内の清掃にも徹底

東京ディズニーランドのパークエリアは51.0ha。東京ドームの約11倍に相当する。パーク内の清掃を担当するのは運営本部の傘下にある「カストーディアル部」。カストーディアルとは“保つ”という意味の言葉で、清掃担当者を「カストーディアルキャスト」と呼んでいる。同キャストには約1,000人が登録されており、ローテーションが組まれ、担当エリアが設定されている。ごみをちり取りに取り込んだり、パーク内に設置されているごみ箱に入れられたごみの回収・運搬などを行っている。作業手順は大半が米国同様であり、日本独自の部分は雨対応程度となっている。

「カストーディアルキャストの教育訓練は単に清掃にとどまらず、テーマ内の事情、イベント内容に精通することも求められます。というのもゲストに最も頻繁に接する場面にいるため、ゲストの問い合わせに迅速にお答えしたり、カメラのシャッターを押して差し上げることも大事な仕事です。イベントもショーも、さらに園内の清掃も、ウォルト・ディズニーの“毎日が初演”という考えに基づき、リピーターにも初めての方にもいつも新鮮さが保てるように努めています」と本橋さんが熱をこめて説明された。

来場者の増加率を約7%上回るごみの増加傾向

こうしたレジャー施設では来場者が増えればごみも増えるのは当然のこと。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでは、原則、食べ物飲み物の持ち込み等が禁止されているため、他施設と条件が異なる面も否定できないが、トレンドとして来場者が増えればごみも増える傾向にある。

ごみ箱の設置については、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーとの合計で可燃ごみ用が約750個、ペットボトル用が約120個設置されている。双方が並べて置かれているところと、可燃ごみ用のみのところとがある。

ところで、入場者数とごみ発生量の相関関係を見てみると、東京ディズニーランドのみであった2000年度が1,730万人で約1万トン(単純計算で1人当たり0.58kg)。東京ディズニーシー分を合算した2002年度は2,482万人で約15,000トン(同0.60kg)となっている。また、単純比較で人数が約43%増に対して、ごみは50%増との傾向を示しており、来場者の増加に比べてごみが約7%増という傾向にある。こうした傾向に対して、次に紹介するように、ごみのリサイクル率を積極的に高めるべく、取り組みがなされている。

社会的動向に連動しつつ環境問題に対応。 ごみのリサイクル率は約50%

こうしたトレンドのなかで、環境問題への対応も社会的動向に連動しつつ歩んでいる。なかでもダイオキシン対策の際には迅速な対応が取られ、1999年以降、従来のおもちゃ類、ナイフ・フォーク関係の塩化ビニール製品などにつき、廃止に向けての対応が始まった。この質的対応の一方で、ごみの総量を減らす対応にも力を入れている。そのなかでも積極的に推進されているのが紙用品の使用削減。その一つがカウンター対応の場所での使い捨て紙食器の廃止とそれに伴う陶磁器製食器への切り替えだ。この切り替えには食器清浄器の導入を伴うもので設備投資が必要であり、段階を踏んで切り替えが進められている。もう一つがトイレのペーパータオルの廃止である。これはごみ対策にとどまらず、紙資源への配慮、衛生面の改善をも検討した結果でハンドドライアーに切り替えられた。

また、最近の年間ごみ発生量15,000トンのうち、約50%の7,500トンがリサイクルされている。全体のうち、段ボールと生ごみの合計が70から80%を占めている。このうち生ごみは食材の残りが中心で、外部委託により堆肥化されている。また、量的には少ないが、ペットボトルも回収されて再生用に回されている。

園内の水処理については、開園当初から対応されている。1日5,000立方メートルの処理能力でスタートの後、処理能力の拡張が3回実施され、現在では東京ディズニーシーと合算して1日11,000立方メートルの汚水が水処理により、飲用には適さないが洗浄用に使用できる中水とされてトイレ用、樹木草花の散水用、パーク内の清掃用などに利用されている。ちなみに、汚水の約8割が中水化され、再利用されている。

最後に本橋さんは「基本はあくまでパークの理念に基づき、夢を提供するパークのなかで、ゲストの皆様に気持ちよく過ごしていただくことです。今後とも、その一環として美化・環境対応に取り組んでいきます」と述べるとともに「20周年イベントは来年4月までまだいろいろと継続しています。7月1日からの“ブレイジング・リズム”もその一つです。炎や光の演出がプラザ全体を幻想的に彩るものですので、ぜひお運びください」とPRを含めて熱っぽく語られた。

同パークの繁栄を支えている多くの柱のなかの一つとして、美化・環境対応がしっかりと位置づけられていることを強く実感してパークを後にした。