1988(昭和63)年発足以来、鎌倉市にあって“まち美化はまちづくりの第一歩”のポリシーのもと、散乱ごみの防止、公衆トイレの美化、違反屋外物広告除去などに成果を挙げてきているのが「鎌倉を美しくする会」(代表:平田胤幸氏)。この分野での市民ボランティアの老舗であるとともに、行政や企業に対して提言を行う数少ないグループとして広く知られている。今回は同会が展開している共同寄贈ベンチの提唱・設置活動に焦点を当てて紹介する。

目に余る違法ベンチの放置状態に危機感

長年の実績を踏まえ、当面の重点テーマとして同会が取り組んでいるのがバス停違法ベンチの問題だ。公道の簡易設置物は行政の許可が必要というルールがありながら行政の黙認、地域住民の無関心から、壊れたまま放置されているものも少なくない。さらにその周辺にはタバコの吸い殻、散乱ごみも多く、公共空間の美化の観点から、現状を放置しておけばますます無法地帯になりかねないとの危機感から、2002(平成14)年度から取り組みを始めたのである。

市内のバス停約450個所を隈なく調査、237脚が違法ベンチ

鎌倉市内では京浜急行バス(株)、江ノ島電鉄(株)、神奈川中央交通バス(株)の3社が路線バスを営業しており、路線系統図の入手、バス停のリストアップを元に調査票を作成し、2002年9月~10月の2カ月にわたって約450個所に及ぶ調査を行った。その結果、237脚もの違法(無許可)ベンチがあり、業種別では約2割がハウジングメーカー、また医療関係も多いなどの現状把握ができた。そうした調査結果をもとに、2003年2月5日、「バス停違反屋外物広告ベンチについて」の広聴懇談会の開催が実現した。この実現は画期的なもので、バス会社、警察、県・市の担当、市民など約30名の出席を得ることができたのも、同会が長年培ってきた行政、市民との信頼関係があったからこそと言っても過言ではない。その結果、行政からの撤去指示に従ったところが見られた

共同寄贈方式の呼びかけに幅広い反響。 亡き主人との思い出をメッセージに入れた方も

景観を損なわないバス停ベンチは必要性が高まる一方で、設置から維持管理を含め経費が大きな課題だ。そこで同会では「ベンチで憩うまちづくり・GreensBench」を提唱・運営するUD21代表の仁科修二氏に同会の会員になっていただくとともに連携し、共同寄贈方式による景観に優れたベンチの設置活動を開始して参加を広く募っている。募集に先立っては設置場所につき行政の許認可の確認を前提に、1ベンチ5名の共同寄贈、ステッカーには寄贈者の意向による公共性のあるメッセージを記載(15文字以内)、5年間の定期保守点検などユニークな活動プロセスを確立している。またベンチの素材には環境に配慮し、間伐材による木粉と非塩ビ系樹脂を融合させた木質素材を採用する。

近く北鎌倉駅に5脚の設置が実現するほか、他の所でも具体化しつつある。反響は予想以上に幅広く、個人から企業・公共団体・サークルなどに及んでいる。メッセージには「彼と来て鎌倉が好きになりました」「ベンチに座って夫を偲びたい」など鎌倉への特別の思いを綴った例も見られる。東京都の「思い出ベンチ」など各地でも同様の活動が展開されている。鎌倉ではこれから本格化段階を迎える。

●スチール缶リサイクル協会では、この活動に賛同して2口の申し込みをしました。