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「STEEL CAN AGE」Vol.11 東ちづる号

Vol.11 東ちづる号
2004年2月発行

自分を大切にする人は、
同じように他人も大切にできる。
想像力がポイ捨てをなくす鍵になると思います。

東ちづる(女優)

私は子どもの頃、ずっと親に期待されてそれに応えてきたんですけど、そういう人に共通するのは、うわべのマナーはきちんと守れるんです。でも評価してくれる誰かがいる前ではいい子を演じる反面、誰もいないところではポイ捨てをしてしまう。誰かの評価に関係なく、自分と向き合う鏡を持っていたら、自分がこんなことされたら嫌だな、ゴミを回収する人はこんなことされたら嫌だろうな、地球はこんなことされたら嫌だろうなって想像してポイ捨てなんてしなくなりますよね。

東ちづるさん 親が子どもに期待することは、時として支配にもなるんです。幼い頃は期待に応えて褒められ評価されるのが嬉しいけれど、本当は、愛情って無償のもので期待という見返りを求めないもの。「あなたが生まれてきてくれた、ただそのことがとても嬉しい、地球上でたった一人の大切な人」と子どものときから言われれば、家族の愛情を支えに自分自身を大切に受け入れることができるし、自分を大切に思うのと同様に他人も社会も大切にする想像力も養うことができると思います。欧米だと家族に対して、日本人にとっては気恥ずかしくなるくらい愛情表現しますよね。

98年からドイツ平和村に行くようになって感じるのですが、ボランティアにしてもゴミの分別にしても、ドイツの人は皆理解してやっている。どうしてそうしなければならないのかしっかり説明できるんです。

そうした日本とドイツの大きな違いはここだと感じたのが戦後の教育です。ドイツでも戦後10〜20年くらいまでは日本と同様に学歴重視の教育を行っていたんですが、これではいけないと気がついて、まずは真実を知ろうという方向に変わった。特に歴史は、私達みたいに縄文時代を一生懸命やらない(笑)。近代史を高校生が2年半くらいかけて学ぶんです。教師は善悪ではなく真実しか教えない。自分の国を知り、今生きている自分達が何をすべきか、未来に向けてどう生きるかを自分で考えるという教育なんです。

他人事だからとポイ捨てされたあき缶一つのその先には、落書きだらけで汚い、犯罪の多い街へとつながります。ニューヨークでもガラクタやポイ捨てを許している地域は犯罪が多く、それをなくす方向にしたら犯罪が減ったという事例があります。そして他人を大切にできない究極が戦争ですよね。内戦中のアンゴラに行ったんですが、ポイ捨てだらけでした。戦地では何も大切にできないんです。

まずは大人が自分を大切にして他人も大切にできるようになること。そして、楽しそうに生きる親から無償の愛を注がれた子どもも自分と他人を大切にする気持ちを育むことができる。その延長線にポイ捨てのない社会があるんじゃないかな。

スチール缶リサイクル協会では、東ちづるさんのボランティア活動に賛同してドイツ国際平和村の活動推進のための寄付をいたしました。
: PROFILE :
広島県出身。ドラマ、ラジオ、司会、オリジナル着物のデザインなど幅広く活躍中。一方、骨髄バンクやあしなが育英会、ドイツのNPO「国際平和村」などを支援。これらのボランティア活動での思いを綴った『わたしたちを忘れないで〜ドイツ平和村より』(ブックマン社)は、日本図書館協会選定図書・2004年度英語?の教科書(三省堂)に。絵本『マリアンナとパルーシャ』(主婦と生活社)とともに売上金の一部を平和村に寄付。他に、アダルトチルドレンだった実体験を綴った『〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか〜「いい人、やめた!」母と娘の挑戦』(マガジンハウス)など著書多数。
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