JAPAN STEEL CAN RECYCLE ASSOCIATION お問い合わせ
スチール缶リサイクル協会
HOME
スチール缶を知る スチール缶リサイクル 協会の概要 STEEL CAN AGE スチール缶リサイクルQ&A
荻原 次晴号
平野 レミ号 横山 剣号 林家 たい平号 大東 めぐみ号 若村 麻由美号 大林素子号 加山雄三号 有森裕子号 高橋英樹号 斉藤慶子号
紺野美紗子号 榊原郁恵号 田中律子号 北倉茉奈・佳奈号 北野大号 長谷川理恵号 白井貴子号 毛利衛号 竹下景子号
リサ・ステッグマイヤー号 大橋マキ号 米村でんじろう号 梅沢由香里号 石原良純号 東ちづる号 吉田秀彦号
星野知子号 浅井愼平号 木場弘子号 吉田栄作号 庄野真代号 輪島功一号 増田明美号 中野浩一号 中嶋悟号
「STEEL CAN AGE」Vol.11 東ちづる号

MAIN REPORT

Vol.11 東ちづる号
2004年2月発行

「鉄」・・人類と共に

スチール缶に使われている鉄は、その強さと資源の豊富さ、素材としての歴史、人間生活との関わりの深さ、経済的安定性、そして比類のない汎用性などの優れた特性から、例えば、鉄道、自動車、建築物、家電製品、橋梁など、私たちの暮らしに深く根ざした欠かせない素材だ。今回のメインレポートでは、人類史において“鉄”が果たしてきた役割にスポットを当てて、スチール缶だけでなく、社会資本、生活に欠かせない“鉄”の存在価値を再認識したい。

豊富な資源 〜最大の金属資源“鉄” 金属などを製品の材料にするためには、材料生産に必要なエネルギーが少ないことに加えて、その金属の埋蔵量、さらには採掘できる量が多くなければ安定供給できず、社会生活に浸透しない。鉄は可採埋蔵量で断然トップの金属資源だ(グラフ1)。鉄鉱床としての鉄の埋蔵量は膨大であり、地球重量の3分の1を占めている。アルミの原料であるボーキサイトの10倍もの鉄鉱石が地球には眠っているのだ。しかもその鉄鉱石は世界の大陸に分布しており、経済的な露天掘りという方法で採掘できる。つまり簡単に安く入手できる。これが鉄の大きな魅力だ。例えば、精米の価格と比較すると、昭和30年代後半を境に鉄(ブリキ)の価格が下回り、例えば、現在では“あきたこまち”1tの精米価格で約9tの鉄(ブリキ原板)を購入することができる。

グラフ1/金属資源の埋蔵量と世界生産量

出典:「材料技術・エネルギー技術のトレンドと資源物理学的見直し」(文部省 重点領域研究 1995)徳田昌則論文


また、土壌に鉄が含まれるということは、食事を通して人体にも鉄があるということを意味する。血液中の赤血球には鉄分を含んだヘモグロビンという細胞があり、人間が生きていくうえで欠かせない酸素を運んでいる。鉄分が不足すると血液中の酸素が減り貧血などの体調不良を引き起こす。地球からの鉄分を吸収したさまざまな食料を摂取することが人間にとって欠かせない。一般的に、70kgの男性の体内には約6gの鉄があると言われるが、ヘモグロビン以外にも人間の体内には鉄を含むたんぱく質が数多くあり、最近では、「シトクロムP-450」という鉄たんぱく質が、薬品の代謝やホルモンの合成に深く関わることがわかり、新薬の研究開発にも役立っている。

権力の象徴 〜古代王家に存在した«鉄の剣” 人間が初めて“鉄”と出会ったのは、約7000年前、宇宙から原野に落ちた「隕鉄」(写真1)を見つけたオリエント時代まで遡る。当初は隕鉄に含まれる鉄を利用して装飾品などをつくっていた。古代オリエントにはエジプト語で、「天よりの黒い銅」、シュメール語で「天の金属」という、人々からの畏敬の念を集めた金属が存在したが、それらは「隕鉄」だと言われている。シュメール人のウルの遺跡から発見された、紀元前3000年頃の鉄片も隕鉄だった。

写真1 そして装飾品とともに古代の代表的鉄製品として知られているのが「剣」だ。紀元前3500年頃、古代エジプトに君臨したツターンカーメン王の豪華な遺品の中に、水晶の柄が付いた鉄製の短剣がほぼ原型のまま黄金の鞘におさまっていた。一方日本でも、天皇家に代々伝わる三種の神器の一つ、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)があり、門外不出のため現在でも神秘のベールに包まれたままではあるが、通説では鉄製の剣だと言われ、また、埼玉県の稲荷山古墳から出土した鉄剣には、雄略天皇の墓であることを示す有力な文字が刻み込まれていた。さらには「古事記」の中でも、勇敢な「すさのおのみこと」が「やまたのおろち」という大蛇を退治した際に、鉄でできた刀を使ったと言われている。

その後、武器や道具としての鉄精錬が盛んになったのは紀元前2000年頃のヒッタイト王国で、国家の保護のもと製鉄業を営み、技術力を誇示するために近隣諸国の王に鉄剣を贈っていた。ヒッタイト王国の強さの秘密は、その優れた鉄製の武器にあったとされ、鉄器をオリエントに伝えるとともに、メソポタミアやエジプトの文化をエーゲ海やギリシアに伝える役割も果たした。

このように人類の古代史において王の権威や国力を象徴する剣が鉄製だったという事実は、当時鉄が貴重品だったことに加えて、鉄の強さが認められ、それが古代国家にとって重要な役割を果たしていたことを示している。また、ヒッタイト王国から鉄器の製造・使用技術を学び取ったアッシリア人は、紀元前671年にエジプトを征服し、初めてオリエントの統一を達成したが、アッシリア王国の遺跡から150tにも及ぶ鉄器が発掘されたことを見ても、オリエント統一の原動力の一つに“鉄”の存在があったと想像することができる。
|1|234
Copyright