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「STEEL CAN AGE」Vol.13 梅沢由香里号

MAIN REPORT

Vol.13 梅沢由香里号
2005年2月発行

ドイツ、フランスの
リサイクル事情

ドイツなど欧州各国が古い町並みや歴史的景観を保存したり、ものや自然を大切にする姿勢、哲学には学ぶべき点が多い。そのドイツの環境政策における近年の最も大きな出来事は、「デポジット制」発動(2003年1月〜)だ。本号では、欧州のリサイクル先進国であるドイツ、フランスの動きを2004年末のスチール缶リサイクル協会の実態調査を踏まえながら改めて考察し、「容器包装リサイクル法」(施行後10年経過)の見直し時期を迎えた日本の今後の進路を考えてみたい。
デポジット制が議論を呼ぶドイツ

ドイツでは2003年1月から、使い捨て容器に対する「デポジット制」がスタートした。この制度は、廃棄物の増加による処分場の逼迫、減少するリターナブル容器の保護を背景として1991年に制定、98年に一部改正された「包装廃棄物政令」に基づくもの(リターナブルが市場で72%を下回った場合デポジット義務を課す)(図1)。2003年1月以降、ビール、ミネラルウォーター、炭酸入り飲料のワンウェイ容器(使い捨て容器)に対して、1本あたり25セント(約35円)、1.5Lを超える容器には50セントのデポジット(預かり金)が課せられることになった。


デポジット制の狙いと課題 デポジット制とは、消費者がデポジット込みの料金で飲料を購入し、空の容器を店に返却すると払い戻しを受けられる仕組みだ。日本ではビール瓶でこの制度が採用されている。ちなみにリターナブル容器のデポジットは従来通り8セント(約11円)となっている。散乱防止対策として有効な制度であり、ドイツにおいては再利用可能なリターナブル容器の比率を高めることを狙いとしたものであるが、運用システムの未整備や市場の混乱もあり問題点も多い。

まず、指摘されるのは消費者不在とも言える制度の未整備による混乱だ。飲料の内容物によってデポジットの対象・非対象が決められ(ミネラルウォーターはデポジット対象で果汁飲料は非対象。そのためデポジットフリーを売り物にする果汁入りミネラルウォーターが発売されている)、当初は買った店でしかデポジットの返金が受けられず、結果として消費者は容器を返却できないという問題が生じた。この点は、後に同一容器ならどの店でも返金できるように改善されたが、さらに大手流通による法の網の目を抜ける「アイランド方式」が出てくるなど、消費者に負荷を強いる側面があるのは事実だ。

デポジット制の発動以降、ワンウェイ容器は多くの店頭から消え、高齢者やエレベーターのない集合住宅の住民の中には、重量の重い容器の購入を強いられていることへの不満もある。

ドイツでは、1991年に飲料・容器・素材メーカーなどの事業者によって設立されたDSD社(Duales System Deutschland)によるガラス張り(リサイクル証明の義務づけ等)で高品質な回収・リサイクルシステムが確立されていた。デポジット導入によって登場した小売店経由での回収システムは、小売店の手間や保管スペース等の社会的コストの増大のみならず、回収後のルートが不透明であるために資源ごみが中国へ輸出されたり一部が東欧などで不法投棄されているとの指摘や、リターナブル容器の返却率が低下するという思わぬ副作用など、環境負荷の面からも改善すべき点が多い。

図1

産業政策的側面を持つ制度 以上のように多くの課題を抱えながらも、現実にはデポジット制は社会に定着しつつあるのも事実である。この背景として、ドイツ特有の経済的・文化的事情を理解しておく必要がある。

すなわち、東西ドイツ統一やEU誕生によって急増した外国産大手メーカーの飲料から、全国各地にある地場の中小飲料メーカーを守るという産業保護政策の側面を持っていることである。ドイツでは生産・消費が200km圏内であればリターナブルの方が環境負荷的に有利とされており、中小飲料メーカーの多くは実際に200km圏内で消費されているのに対し、外国産は輸送距離が長くリターナブルには適していない。
リターナブルの返却箱
ドイツでは昔から地元産のビール(約1,200社)やミネラルウォーター(源泉地充填会社約235箇所)を飲む習慣があり、これらのほとんどがリターナブル容器で供給されている。この背景には、かつて約300の領邦国家がようやく1871年に統一されたドイツ特有の文化的・歴史的背景がある。例えば、ドイツ最大の商業都市デュッセルドルフでさえ、30km離れたケルンの有名なケルッシュビアすら売っていないのが現状だ。都市国家の歴史が長く、地域内完結的経済構造のため、輸送距離の短いリターナブルを優先するという考え方が受け入れられやすい土壌がある。デポジット制が発動された文化的背景でもある。
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