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「STEEL CAN AGE」Vol.13 梅沢由香里号

MY ANGLE

Vol.13 梅沢由香里号
2005年2月発行

ヨーロッパの街を彩る鉄の彫刻

産業革命は、ヨーロッパを舞台に始まり、その中で製鉄技術は大きな役割を果たした。一方、芸術を愛するヨーロッパだけに、至るところにアートがあふれており、アートの世界でも鉄は不可欠の役割を演じてきた。そこでヨーロッパの街を彩る鉄の彫刻について、代表的な2人の芸術家の作品をご紹介する。

樋口 正一郎さん
造形作家・
都市景観研究家
樋口 正一郎さん

1968年東京芸術大学彫刻科卒業。69年第9回現代日本美術展コンクール優賞受賞。代表作:大江戸線「清澄白河駅」/ホーム対抗壁全面に鉄のスクラップを使った「20世紀の化石」(2000)。個展活動を続ける傍ら、世界の都市のパブリック・アート、建築、橋など、都市の最新動向を写真と文で紹介。著書、テレビ出演、雑誌・新聞などの記事掲載多数。
http://www.
uaa-higuchi.com/

「鉄は熱いうちに打て」の言葉通りに作品を作ったのがスペインのエドゥアルド・チリーダ(1924〜2002)だった。彼の生まれ故郷サンセバスチャンの岩礁地帯、大西洋からの荒波が打ちつける岩から、原始時代のマジックハンドとも思える3つの無骨な形態の『風の櫛』(1977)が突き出し虚空を掴もうとしている。15cmほどはあろうかという角材をハンマーで打ち、成形していくという気の遠くなるような作業を繰り返した作品は、閉じ込めた熱が発散し続けるのであろうか。鉄錆はカサブタ状に剥がれかかっていても痩せ衰え死へ向かっているわけではない。昆虫の脱皮のように新たな生命体として生まれ変わる。大量生産には縁のない鉄工所や鍛冶屋のような昔ながらの人の能力を信じる職人と工場がなしえた芸術だ。

エドゥアルド・チリーダ『風の櫛』(1977) チリーダの作品が19世紀型とすれば、20世紀型はアメリカのマーク・ディ・スベロ(1933〜)だ。アメリカを象徴する摩天楼の柱や梁となったH形鋼を使った造形は、まさに合理性や大量生産そのものが文化として成り立つのかどうかというストレートで痛烈な問いだった。冷戦にいたぶられ、その冷たさに震えたベルリン。壁が崩壊した後、政治体制や軍事力を根幹とした時代から、文化力が世界を制するというテーマで街づくりが進んでいるベルリン。その中心、ポツダム広場のソニーセンターそしてダイムラークライスラービルの前の池に設置されたディ・スベロの作品『ガリレオ』(1997)。「美しさとは何か。美術や芸術、そして世界とは何か」と人に問いかけている。

樋口正一郎「20世紀の化石」(2000) 20世紀を代表する鉄の彫刻家チリーダは根源的で情念的であり、ディ・スベロはスマートに「知」を刺激し開拓する。時代の変遷を見るようだ。私が鉄の彫刻に魅せられるのも、人類が地球上に出現して以来、鉄を自分たちのものにしようと格闘し続けてきた熱き歴史の色濃いドラマに引き込まれるからだ。(談)

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