自動販売機は、清涼飲料をはじめ、パンやお菓子などの食品、たばこ、チケット類などさまざまな品物を取り扱っており、今や私たちの生活にすっかり溶け込んでいる。その普及率の高さを生かして、単に品物を販売するにとどまらず、高度情報化社会の新たなツールとしても急速に進化しつつある。今回はそうした自動販売機の動向について、日本自動販売機工業会の黒崎貴専務理事にお話を伺った。

進化し続けるエココンビナート・製鉄所

自動販売機(以下、自販機)の原型は、古代エジプト時代の「聖水自動販売機」と言われている。硬貨を入れるとその重みで一定時間水が出てくる仕組みになっていた。ちなみに日本最古の自販機は、1876(明治9)年頃、上野公園に置かれた「自動体重測定機」だった。

わが国の本格的な自販機の普及は1970年以降である。
「自動販売機とは、通貨やそれに代わるカードなどを投入することによって商品やサービスを提供するものです。飲料や食品はもちろん、乗車券などの券類や写真シールの自販機もあります。また、自動販売機というカテゴリーの中に自動サービス機も含まれ、両替機やパーキングメーターなどがこれにあたります」と黒崎専務理事は語る。日本の自販機台数は米国の約772万台に次いで、世界第2位の約554万台を誇る(2004年末時点)。特に、飲料自販機の普及台数は約265万台で自販機全体の48%を占める(2004年末時点)。また、日本の自販機の特色を黒崎専務理事は次のように語る。

「ホット&コールド缶飲料自販機は、日本独自の技術開発で生まれました。また、コイン・紙幣ともに使える自販機も世界で珍しいのです。清涼飲料の種類が豊富で使用ニーズの高い日本では、自販機の技術が大変進んでいます」

一方、自販機の横には回収ボックスが設置されて回収・リサイクルが進められている。また、自販機の冷媒に使うフロンは、既にオゾン層を破壊しない種類に転換済みで、使用済みの自販機は専門の施設で適正に回収・破壊処理されている。そのほか、省エネ型のエコ・ベンダーや選択ボタンの配置等を考慮したユニバーサルデザインの自販機も登場している。

高度情報化社会の新たな付加価値を持つ自動販売機

最近、全国津々浦々に設置されているという特性を利用し、多彩なサービスの提供が行われている。

1.街の案内板になる自動販売機

事件・事故・火災・救急などに際して警察や消防署に発生現場の住所を正確に通報できるよう、「住所表示ステッカー」を貼付けたものが多くなっている。

2.災害情報の表示

電光表示板付き自動販売機が電波を受けてリアルタイムに警報や避難指示、避難場所の情報が表示されるようになっている。

3.災害時のフリーベンド機能

阪神・淡路大震災の時、自動販売機が停電のため動かなくなり、飲料が目の前にあるのに提供できなかったことを教訓とし、災害時には手動で取り出せる機能や無料で提供できるフリーベンド機能などの開発・導入も一部で始まっている。

4.キャッシュレス・ショッピングの自動販売機

携帯電話やカードでキャッシュレス・ショッピングができる自動販売機が増えている。決済の方法には、プリペイド方式や電子マネー方式が採用されている。

5.多彩な「街の情報ステーション」に

自動販売機に搭載したコンピュータやディスプレイ、プリンタ、スピーカーなどから地図やクーポン・チケット、イベント・キャンペーン情報、地域情報、公共情報などが入手できたり待ち受け画面がダウンロードできる自動販売機も登場している。

 

「携帯電話等を内蔵しオンライン化している自動販売機もあります。今後は通信技術の進化によって単に商品を売るだけではなく、コンサルティング機能を持った自動販売機も実現するかもしれませんね」(黒崎専務理事)。今後も進化する自動販売機から目が離せない。