缶の履歴書

「缶の履歴書」シリーズではこれまで、身近な缶という点から、主に飲料缶を中心に扱ってきたが、普段あまり意識されていないながら身近な缶として「一般缶」というジャンルがある。今回はこの一般缶に焦点を絞って紹介する。

スチール缶の約17%を占める「一般缶」

スチール缶には大別すると、缶ジュースや缶コーヒーなどの「飲料缶」、みかんや魚の缶詰などの「食料缶」、のり・お茶・クッキーなどの「一般缶」、食品用などの「18リットル缶」に分けられる。

平成17年の生産量で見るとスチール缶全体は73万9,000tで、内訳は飲料缶・食料缶が58万1,000tで約79%、一般缶が12万7,000tで約17%という構成比になっており、一般缶は20%には及ばないものの想像以上に普及している。

身近なところに多く見られる一般缶

ところで一般缶とは、全国約100社の製缶メーカーで構成されている全日本一般缶工業団体連合会によれば、スチールを素材とする家庭用小型缶が中心で、大半がオーダーメイドで製造されている。複雑な形状と金属印刷を施すことから別名、美術缶とも言われている。具体的にはお茶、海苔、お菓子などの容器として使用されている。

意識して周囲を見回してみるとオフィスでも家庭でも、多くの一般缶の存在に改めて気づかされる。

日本での起源はお茶缶

わが国でそもそも一般缶が登場したのはいつ頃だろうか。定説とされている起源は江戸時代の文久年間(1861~1863年)に京都の竜文堂安之助が製造したお茶缶などだったとされている。ブリキは輸入された品物の容器のブリキを再利用したもので、その後、各地で金物業者が手作業で少量の製品を製造するようになった。

なお、現存する一般缶の企業で最も古いと考えられるのは京都の開化堂で、1875(明治8)年に創業し、手造りの印籠缶(茶缶)を製造した記録があり、同社は今日まで131年の歴史を持つ。

容器として7つの特長

スチール缶の特長として、この「密封・防湿性」のほか、「遮光性」「耐衝撃性」「耐水耐熱性」「危険物適性」「印刷性」「リサイクル性」の7つがあり、さまざまな用途に応じて容器としての優位性を発揮している。一口に言えば内容物の品質を“ロングライフに守る”優れた容器である。

こうした特色が評価された一般缶の主な用途は、食品分野では海苔、お茶、せんべい、コーヒー、紅茶、クッキー、ココア、食用油など。雑貨分野では筆箱、貯金箱、蚊取り線香、ごみ箱などに利用されている。

近年の大きな傾向としては、お中元、お歳暮などの贈答用が減る一方で、人気キャラクターを刷り込んだお菓子、化粧品、アクセサリーなどの用途が増えており、「生産量は下げ止まりとなり、これからプラスに転ずるのでは」と期待されている。

大半がオーダーメイドで少量多品種が特色

一般缶は大半がオーダーメイドであり、少量多品種が特色である。なかには変わった形状のもの(変形缶)もあるが、代表的な製造方法として6種類がある。

大きくは角形と丸形があり、それぞれに「かしめ缶」(図1)、「溶接缶」、「プレス缶」がある。

一般缶も大切な資源

最後に、3Rの視点から見てみよう。一般缶も世界トップクラスのわが国の高いリサイクル率の輪の中にある。しかしながら、リサイクルという点では飲料缶とは別の大きな課題が二つある。

第一の課題は分別と回収の問題である。一般缶の場合、形状が不揃いという事情も含め自治体によって二つの対応パターンがある(図2)。

一つは分別収集され資源化センターを経て鉄スクラップにされるパターン。もう一つは不燃ごみとして収集後、ごみ破砕を経て磁気選別機で鉄が回収されるパターンである。

全日本一般缶工業団体連合会では平成8年に全国自治体のリサイクル担当部署に「一般缶の資源ごみ回収に関わるアンケート」を実施し、実態の把握を経て、地道ながら前者の対応の普及促進を全国的に働きかけ、少しずつ成果があがりつつあるところである。

もう一つの課題は過剰包装の問題である。一般缶の特長からして中身の個別包装は不要であり、また贈答用の外側の包装もシンプルで問題ないのが実情である。

しかしながら贈答用となれば贈り先に対して、シンプルな包装では失礼と考えられがちで、この問題に関しては百貨店への働きかけを行う一方で、消費者の意識の切り替えも必要であり、難しい側面はあるものの、リデュースの面でも改善されつつある。
リユースの点では一般缶は美麗で洒落た容器が多いため、用済み後、具体的統計はないが、別の用途に再利用されることが多い。趣味の一環として使用済みの一般缶にペイントを施して楽しんでいる主婦のグループも各地に見られる。

最後に、総じて言えば容器としての一般缶の優位性に対する理解は、食品メーカーなど産業界では浸透している。しかしその一方で、一般消費者の理解があと一歩である。そのため、利用の促進とともに、一般缶も大切な資源であり、リサイクルへの一層の理解を得るためにも、利用者への一般缶のPRが今後の課題となっている。