集団回収の現状 [ 第1回 ]

循環型社会の形成に向けた法整備が一巡した今、改めて容器包装リサイクル制度のあり方を見直すことにより、21世紀における持続可能な社会の構築が目指されている。経済産業省と環境省が行う審議会(※)において、2004年8月以来、さまざまな関係者からのヒアリングも含め検討が行われ、その審議の中で、「持続可能な社会の構築に一層の貢献を果たすために求められる方策」の一つとして「集団回収」が提起された。今回のメインレポートでは、スチール缶リサイクル協会が調査を行っている、スチール缶を主体とした集団回収の現状を紹介する。

(※)経済産業省「産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルワーキンググループ」および環境省「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会」

時代とともに変わってきた集団回収の形態

「集団回収」という言葉を聞いて、皆さんはまずどんなイメージを持たれるだろうか。「集団回収」は「廃品回収」と似たものというイメージを持たれる方が多いのではないだろうか。廃品回収とは、自治会(町内会)、子ども会などのコミュニティ団体が自らの地域内で資源ごみの収集を行い、その回収・売却について資源回収業者と直接取引(民民取引)を行う資源回収システムだ(図1)。

 

戦前以来行われ、戦後の物資不足の時代に最も盛んに活用されたこのシステムでは、子どもたちがリヤカーを引いて町内を回り、資源ごみを集めて歩いていた。

タイプA

実施団体と資源回収業者の民民取引の性格を基本に、行政が実施団体のみ、あるいは実施団体と回収業者双方にさまざまな性格の奨励金・補助金を支給するタイプ。そのため行政は、回収場所の管理や取引の内容には基本的に干渉しないが、さまざまな名目(補助金、報奨金、協力金など)での実施団体への援助が行われている。

 

タイプB-I

奨励金・補助金の支給形態にかかわらず、実施団体・資源回収業者・行政の3者が、システム立ち上げ時から協働的な関係を保ちつつも行政が運営・拡大にイニシアティブを持ち、回収場所の管理や取引の内容などについて関与・ルール化しているタイプ。売却資源物の市況変動にかかわるリスクは実施団体が吸収している。

具体的には次のような流れとなっている。

  • (1) 資源物の流れ:実施団体→回収業者。
  • (2) 売却金の流れ:回収業者→実施団体。
  • (3) 奨励金・補助金類の流れ:自治体→実施団体および回収業者。

 

タイプB-II

分別収集が変異したタイプで、物理的作業は実施団体と回収業者が行い、行政は資源を実施団体から買い上げて回収業者への売却を有利な形で代行する。回収や中間処理を回収業者に委託するなど、回収場所の長所を活かしつつ実際には分別収集として機能している。奨励金・補助金は実施団体と回収業者に支給されているが、売却資源物の市況変動にかかわるリスクは自治体が吸収している。

具体的には次のような流れとなっている。

  • (1) 資源物の流れ:実施団体→自治体→回収業者。
  • (2) 売却金の流れ:回収業者→自治体。
  • (3) 奨励金・補助金類の流れ:自治体→実施団体および回収業者(業務委託費として)。

調査結果から、集団回収がシステムとして機能しているところは、行政が何らかの形で関与していることがわかった。なお、回収は常に数品目(古紙、スチール缶、アルミ缶、ガラスびんなど)を対象にして、必ず分別されて行われていた。自治体の中には、乾電池や蛍光灯までも対象品目としているところもあった。

 

集団回収が成立しやすい環境とは?

集団回収がシステムとして有効に成立している地域は、共通してコミュニティ基盤、つまり地縁的関係がしっかりとしていることが挙げられる。自治会、町内会、管理組合(集合住宅の場合)などの住民自治組織が深く根付いている自治体では、それらが集団回収を行う全組織の大半を占めている。次いで多いのは学校、PTA、子ども会で、中には半数を占めているケースもあった。

一般的に都市部、農村部を問わず、コミュニティが古く強固な地域で成立しやすい傾向がある。今後さらに発展させていくためには、他地区からの転入者が多くを占めるような新興住宅地でのコミュニティ基盤づくりをどう進めていくかが集団回収の活性化のカギとなる。

また、資源回収業者が自治体内または近隣自治体に存在することも大きな要因だ。事例調査では、当該自治体を中心に一部周辺自治体に立地している業者も参加するパターンが一般的で、遠隔の自治体から参入してくる業者は見られなかった。業種的には古紙を中心とする回収業者が多く、金属屑回収業者、廃棄物処理業者も存在する。また、自治体の分別収集の委託先も兼ねて組織された組合や、その関係者が兼務しているケースも多いことがわかった。

必要不可欠な自治体からの支援

自治体は実施団体に奨励金を交付する場合、回収対象品目に応じたkgあたりの金額を支給している(図3)。

事例調査によると、金額は自治体ごとの差が大きかったが、今回の調査では概ね3~8円/kgといった水準だった。

特例的な資金援助として、モデル事業の展開や、保管倉庫設置のための支給なども行われている。金銭面以外でも、コンテナ、選別用ブルーシートや軍手などといった物品の貸与・支給も行われており、ある都市では効率的に資源を保管できるように、スチール/アルミの分別機能も備えたあき缶圧縮機の貸し出しも行っている(写真1)。

活動をより充実させるため、回収の仕組みや取り組みに向けた手順を掲載したチラシやパンフレットの作成・配布、インターネットのホームページで活動を紹介する自治体も増えており、「情報提供」による支援も充実してきている(写真2)。

 

また、資源回収業者に補助金など何らかの名目での資金的支援を行うか、自治体が収集・中間処理を業務委託するなど、資源の売買や回収業務について採算が保証されている場合、集団回収の成功事例が多かった。この場合の補助金も対象品目ごとに異なり、kgあたりの支給額は再生資源価格の相場に応じて年ごとに調整されている。

分別収集との関係から見る集団回収のメリット

現在までの調査の総括として、集団回収を推進している自治体は、集団回収のメリットとして次の点を挙げていた。

  • (1) 環境・生活学習の機会提供により、住民の環境意識が向上している
  • (2) コミュニティづくりの場の提供により、地域活性化につながっている
  • (3) 廃棄物行政費用の削減につながっている
  • (4) 資源廃棄物の品質向上につながっている、など。

学校、PTA、地域の子ども会などが集団回収に参加することにより、子どもたちは循環型社会について暮らしの中の行動と結びつけ、資源化の意義と方法を学んでいた。また、自治会、老人会、婦人会、福祉団体などは、集団回収活動への参加を通して、交流活動の財源確保という実益も兼ねられることから、参加者がいきいきと活動している姿が印象的だった。

廃棄物にかかわる行政費用の削減メリットがあることも紹介された(図4)。管轄区域内を100%カバーできる分別収集を「メインルート」とし、有価物を民間ベースで可能な限り資源化できる集団回収を「サブルート」として位置付ける自治体が大半を占める中、分別収集よりも事業コスト的に割安であることを条件に、自治体が集団回収を「メインルート」として推進する自治体もあった。

ある都市では、ごみ収集の有料化が住民意識を高めるきっかけとなり、集団回収での回収量が増加、17万円/年程度で横ばい状態だった奨励金の支出額が近年では40万円/年に達している。集団回収量が伸びれば、一部事務組合への負担金も削減できるため、集団回収(古紙、スチール缶、アルミ缶、ビールびん)に前向きに取り組んでいる。

以上、集団回収の現状調査について、第一弾の結果報告をお届けした。さらに取りまとめたものを、今後フォーラムを開催して報告する予定です。

自治体の集団回収事例

千葉県市原市の取り組み

親子でいきいきと参加する学校での取り組み

市原市では、1979年から「資源回収推進事業」の名称で、集団回収を支援しています。市内では、自治会、PTA、子ども会など現在約240団体が実施しています。

市では、収益金のメリットのほかに、ごみ処理費の削減に寄与することを強調、集団回収は分別収集費用の約3分の1で資源化が可能になることをアピールしています。

特にPTAによる回収量が多いのが特徴で、財源確保ばかりではなく、子どもたちにとっての環境学習としての側面も大切にし、コミュニティ活動として実施しているケースもあります。保護者の立ち会い当番などは決められておらず、都合のつくメンバーが参加するというスタイルのにぎやかな雰囲気の集団回収です。

 

兵庫県明石市の取り組み

大規模集合住宅のコミュニティ活動としての取り組み

ごみ処分場の残余容量確保が差し迫った明石市では、1991年から集団回収支援に着手、戦略的に学校や集合住宅での取り組み推進に力を入れていました。当初は古紙、リターナブルびん、アルミ缶が対象でしたが、その後ワンウェイびん、スチール缶も対象になりました。

その過程で、市内のマンション、ファミールハイツ明石(600世帯約1,800人居住)では、ワークショップ形式で集団回収のモデル事業を行ってきました。以前は分別が不徹底でしたが、今ではきちんと区分されるばかりでなく、きれいにして排出されています。

 

インタビュー

イベントを通じたコミュニティづくりで、集団回収の活性化を図る

「スチール缶の中にアルミ缶が混じっとるやないの!」、「おじちゃん、そのびん茶色とちゃうで!」。私たちの集団回収では、子どもたちのこういった威勢のいい声がよく聞かれます。中には分別をきちんとしなかった自分の親に注意をする子どもまでいます。集まった資源物がお金になるということが大きな理由ではありますが、私たちが、資源物を持ってきた子どもたち一人ひとりにねぎらいと感謝の言葉をかけていくうちに、子どもたちも集団回収に興味を示すようになり、排出への自覚が生まれてきたのだと思います。

ここでは、住民による催事などが頻繁に行われ、そのたびに住民同士のふれあいが生まれてきます。夏祭りではおそろいの衣装を着たり、みんなで神輿を担いだりすることにより心を一つにし、その団結力が集団回収の活性化へつながっているのだと思います。

スチール缶の回収は2006年から開始したばかりですが、同じ重量で比較したときアルミ缶より体積でかさばらないため、回収業者への受け渡しも比較的容易にできます。そういった意味では一番扱いやすい資源物であり、今後もスチール缶の収集に力を入れていきたいと思います。