集団回収の現状 [ 第2回 ]

2007年3月22日、全国の集団回収の現状報告と今後の方向性について討議する「集団回収フォーラム」が都内で開催された。このフォーラムでは、スチール缶リサイクル協会が実施する「民間回収の可能性に関する調査・研究事業」の報告と併せて、自治体代表者による集団回収の事例報告が行われた。今回は、フォーラムで事例紹介として発表した岐阜市、松戸市、京都市での取り組みを通じて、各地域での集団回収の特色を紹介する。

 

資源運搬車両の借り上げ支援で、広域回収拠点をカバー
【岐阜市 人口42万人】

長良川下流に位置する緑豊かな街、岐阜市。市内に官公庁、商業地を抱え、住宅地も多く、2006年には隣接する柳津町が合併したことで人口がさらに増加した。

岐阜市では、廃品回収などの市民運動として行われていた、古紙、金属など再生可能な資源の回収を活性化するため、1983年度から「岐阜市資源分別回収事業」として奨励金制度を設置し、集団回収を実施してきた。現在、市内50地区の小学校区ごとに組織された自治会連合が、実施日や回収場所を定め、原則1ヵ月に1度、各地区で全世帯が参加して資源の回収が行われている。市内全域で設置されているステーション(回収場所)の総計は約1,500ヵ所で、実施回数は累計で551回に上る。なお、行政は実施カレンダーの配布や回収品目板などの物品支給のほか、奨励金の交付などの支援を行っている。

回収品目は紙類、繊維類、金属類(スチール缶含む)、生きびん類、雑びん類の5品目に分類されている。ペットボトルが回収品目の対象外であることを除けば、集団回収と分別収集は並存のシステムという位置づけにある。

岐阜市は、資源回収業者20社からなる「岐阜市資源分別回収事業協議会」と回収車両の借り上げ契約を結び、回収業者への支援を行っている。もともとは事業開始当時、不採算だった金属類・びん類回収の支援を目的としたもので、その後古紙価格の暴落による市民からの有償回収を避けるため支援をさらに強化し、この回収システムを今日まで継続させてきた。資源回収業者が有するネットワークと回収品目への知見を活かし、市内1,500ヵ所にも及ぶ広域なステーションでの回収をカバーしている。

 

軒下回収を活性化し、集団回収実施地域の拡大を目指す
【松戸市 人口47万人】

江戸川を隔て東京都と隣接する松戸市は、ベッドタウンとして都心へのアクセスが良く、市内には大小さまざまな工場が点在するものの、緑豊かな自然も多く残されている。

松戸市では、1976年に婦人会によるリサイクル活動(集団回収)が開始され、以後市内各地区にリサイクル町会が誕生した。ここでは市の直営車両が拠点回収し、市内の廃品回収業者に売却し町会に還元していた。その後、実施団体の減少などもあり、1991年からは新たな補助制度を設け、実施団体と回収業者の両方へ奨励金・補助金を交付する形で市民主体の資源化を支援している。

松戸市の集団回収は、回収場所の形態から、拠点回収のほかに「軒下回収」と呼ばれる戸別回収も行っており、どちらの方式を選ぶかは実施団体の自主性に委ねられている。軒下回収では各戸が回収拠点になるため、住民にとっては、指定された回収場所へ出向かなくて済むというメリットがある。軒下回収を実施するにあたり、回収業者が積極的に団体に呼びかけ、その営業努力により実施地域を拡大してきた。現在では市内の約80%の地域で集団回収を実施しており、トータルでの収集量も分別収集を超えている。

回収品目は古紙類、缶(スチール缶・アルミ缶)、びんにペットボトルを加えた4品目。実質的に分別収集と共存するシステムと位置づけているが、自治体としてはなるべく集団回収で排出してもらいたいと考えている。かつては缶以外の「その他金属類」の回収も行ってきたが、アスベストを含有する資源ごみが多いことから2006年に集団回収の対象から外れ、現在では分別収集のみで回収している。またペットボトルの回収は、市内スーパーマーケットなどの店舗と協力し、店頭に市が専用回収ボックスを設置して回収する方法と、店舗などが独自に回収ボックスを設置して回収する方法、さらに町会などが行っている集団回収の3つの方法で行われている。自治体は、今後全町会で集団回収が実施されるよう期待を寄せている。

 

民間取引の基本を重んじ、リサイクルルートの確率を目指す
【京都市 人口147万人】

伝統的なコミュニティが随所に息づく古都・京都。その中心地である京都市は、観光地として有名なだけでなく、企業や大学も多く立地する人口100万人を超える政令指定都市である。

京都市は2002年に集団回収の推進方法を検討するための実態調査を行った。その後2004年に各自治会に新しい集団回収(名称:コミュニティ回収)を提案し、賛同を得た26の実施団体によりコミュニティ回収が萌芽した。2006年10月には一般家庭ごみが有料化され、助成金制度の創設と相まって実施団体が急激に増加し、2007年に入り実施団体の数は500を超えるまでになった。

回収品目は、各実施団体が回収業者と相談して決められるシステムで、古紙類(新聞、ダンボールなど)、古着類、缶類(スチール缶・アルミ缶)、びん類(ワンウェイびんのみ)の中から選ぶことができる。古紙類に関しては行政による分別収集は行われていない。なお、回収品目に入っていない資源に関しても、市へ事前相談をすれば集団回収の対象として認められる場合がある。

最近、京都市が抱える問題として、地域の高齢化などにより回収拠点への資源の持ち運びが困難になっている事象が起きている。このため平成19年度に高齢者の多い地域をモデル地区に指定し、回収拠点を増やすことが回収量の増加や維持に効果があるか実験を行う予定である。

京都市では、自治体は資源回収業者に対し経済的な支援はしておらず、業者間での自由競争を原則としている。そのため組織化されず、参入業者も市内に限定されていない。「民間取引」の基本理念を重んじ、実施団体と資源回収業者の間に立つ形で集団回収に関与しながら、自治体はコーディネーターとしての立場でリサイクルルートの確立を目指していく。

 

集団回収のパターン分類

パターン 特徴
A.民間主体・自治体支援タイプ
  • ●実施団体と回収業者の民間取引という集団回収本来の性格を維持する
  • ●システム維持を目指し、実施団体あるいは回収業者も含めて奨励金・補助金は支給している
  • ●なるべく回収場所の管理方法や団体・業者間の取引の内容には干渉しない
B.官民協働タイプ
  • ●実施団体・回収業者・自治体の3者がシステム立ち上げ時から協働的な関係を保つ
  • ●システム立ち上げ時から自治体が運営・拡大につきイニシアティブを持つ
  • ●(一部では)回収場所の管理方法や取引の内容などにつき関与・ルール化する
C.集団回収・分別収集融合タイプ
  • ●資源を実施団体から買い上げて回収業者への売却を有利な形で代行したり、回収や中間処理を回収業者に委託するなど、実際には分別収集に近い形態である
  • ●回収場所の管理方法などは集団回収の住民参加上の長所を活かしている

集団回収を通じて優れた環境学習に取り組む小学校を支援します

スチール缶リサイクル協会は、一般市民の環境に対する意識を高めるため、小学生を対象に環境学習の場を設けることが有効であるという理念のもと、全国の小学校が行うスチール缶を含む集団回収事業の支援を決定しました。

全国の小学校に同支援制度を紹介し、応募いただいた小学校の中から、スチール缶を含む集団回収を通じて優れた環境学習を実施している、または計画している小学校を審査により選抜し、優秀校の表彰を行うとともに、計画中の学校には集団回収に必要な物品などの支援を行います。

  • ■ 募集対象: 全国の小学校(学校単位)
  • ■ 締め切り: 2007年10月31日(必着)
  • ■ 表彰・支援の内容:

スチール缶を含む集団回収を通じて優れた環境学習を実施している全国の小学校に対して、審査により最優秀校および優秀校を選定し、表彰と支援をいたします。また、計画中の学校には、集団回収に必要な物品などの支援を行います。詳しくは当協会のHPをご覧ください。