ごみ有料化に際し、集団回収が市民の負担を減らす

全国の自治体では、ごみ最終処分場の残余期間の問題を抱えている。そのため多くの自治体が、住民へのごみ排出抑制を促し、処理経費削減のためにごみ収集の有料化を実施している。今回は、有料化が進む茨城県北中部の自治体の中で、2006年4月より導入に踏み切った水戸市の実施状況を取り上げる。また、ごみ減量化・再資源化と同時に市民の経済負担軽減にも寄与する、集団回収の取り組みも紹介する。

有料化を実施し、多くの市民から好評を得る

水戸市では過去10年間でごみの排出量が増え、処理費用の負担増とともに再資源化量も減少傾向にあった。市は2004年に審議会を開き、ごみの減量化・資源化を進め、処理経費の抑制および最終処分場の延命を図るため、ごみ有料化の是非を2年間かけて検討した。水戸市のごみの分別は、燃えるごみ、燃えないごみ、資源物、乾電池の4種類。このうち燃えるごみと燃えないごみが有料化されることになり、2006年4月に実施に踏み切った。有料化された2種類のごみについて、市は市民に対して指定の収集袋などを個別に購入し排出するよう指導している(写真1)。

2005年に水戸市と合併した内原地区(旧内原町)ではすでに有料化を実施しており、隣接するすべての市町でもごみの有料化を実施していたため、実施前は通勤途中などにごみを持ち込む人が多かった。そのためごみの量が増えた集積所が目立ち、集積所を利用する市民からの苦情が頻発していた。有料化と同時にごみの持ち込みがなくなり、集積所の氾濫の解消およびトータルでのごみ処理量の削減にもつながったため、多くの市民から「有料化になってよかった」との声が聞かれた。

 

市民と行政の協働で、早期に排出マナーが向上

有料化に伴い集積所や地域環境の美化を推進するため、市は地域の推薦に基づき、一般市民のボランティアによる「美化推進員制度」を導入している。活動内容は集積所利用者に対するごみの分別や排出方法についての指導と周知、市との連絡調整などだ。当時の状況を、水戸市役所市民環境部ごみ対策課課長補佐の齋藤利光さんは振り返る。

「有料化実施当初は、指定外の袋に入れて排出したり、ごみ処理券が有効に使われていなかったりなどの問題が散見されましたが、美化推進員の粘り強い指導と周知活動が実を結び、導入から数週間後にはきちんとルールが守られるようになりました」

排出ルールが守られていないごみに対して、市は警告文と回収できない理由を書き添えたステッカーをごみに貼り、回収せずに集積所に残すなどして周知の徹底に取り組んだ。有料化実施当初1,953枚貼ったステッカーは、月末の回収日にはわずか400枚までに減少した。

明確なビジョンを持った「30円」の使い道

水戸市では45Lのごみ袋は30円で売られているが、一部ではこの価格では高すぎるとの意見もある。しかし市は直面するごみ処理施設の諸問題や、ごみ有料化に伴う新たな施策への費用として適正な価格と位置づけている。具体的に、30円のうち、3分の1にあたる10円は袋の製造費と販売店への手数料。もう10円は新たに建設するごみ処理施設のための積立金に充てている。残りの10円は、ごみの減量や資源化を進めるなどの新たな施策を実施するための資金としている。

近年、水戸市は市内にある清掃工場の老朽化問題を抱えており、新たに清掃工場や最終処分場の建設を計画している。現在、処理できない資源の一部については市外の施設で処理しているが、新たに中間処理施設となるリサイクルプラザの建設も視野に入れている。

代表的な市の新たな施策については、

  • 1.祝日のごみ(資源物を含む)回収を開始。
  • 2.常澄地区(旧常澄村、1992年に水戸市と合併)における一般集積所での資源物回収を開始。
  • 3.不法投棄対策として、市内を通る高速道路の側道などに監視カメラを設置。
  • 4.ボランティアで行う清掃活動用の専用袋・シールを無料で配布。
  • 5.電気式生ごみ処理機購入費用の補助金上限額を1万円から2万円に引き上げ、など。

さまざまな施策を実施した結果、2006年度の燃えるごみと燃えないごみの総量は、前年度と比較して約16%削減できた。

「審議会でごみの有料化が決定した後も、具体的な方法について検討を重ね、住民説明会を続けてきました。行政は市民への負担を極力増やさぬよう心がけ、市民は有料化によりごみの排出に高い関心を示し、排出抑制に努めてくれたことが大きな効果を生みました」(齋藤さん)。

集団回収が、ごみ減量化・再資源化の一助に

集団回収による資源物の回収も、ごみ減量による市民への負担軽減につながるとして施策の一部となっている。

水戸市は1978年度から町内会、自治会、子ども会などの市民団体による集団回収の取り組みを展開している。回収品目が多い点も水戸市の特徴で、市民にとって排出の受け皿が大きいことはメリットになる。スチール缶、アルミ缶、鉄くず、びん類、古紙類、古布類、ペットボトル、さらに自転車や、自動車のバッテリーなども対象となっている。

行政回収でも資源物は回収しているが、合併した内原地区、常澄地区については収集ルートが完全に水戸市に統合されておらず、現在別の(他市町との連合)組合が処理を担当している。一方で集団回収は、この2地区を含めた市内全域をカバーしており、2007年度現在481の実施団体が登録している。市内で集団回収に取り組む、元吉田町古宿東町内会会長の草川一夫さんは、「市からは資源盗難防止の旗を提供してもらい、さらに町内が交通量の多い県道で分断されているので集積所を2カ所に増設してもらった。今後も市との良い協力関係を保ちながら、住民が喜んで集団回収に協力してくれる形をつくっていきたい」と語る(写真2)。

市から実施団体へ支給される奨励金は10円/kg。1993年のシステム見直しにより、1kgあたり4円から10円に引き上げられたもので、その後もごみ減量に積極的な市民への還元に努めている。

水戸市では今後も集団回収の推進をはじめ、ごみ減量化と再資源化に向けた施策を強化し継続していく。