関東学院大学法学部教授・法学博士 織 朱實 (おり・あけみ)氏

従来、環境問題の中心が公害問題であったときには、そこでのコミュニケーションは「自治体-事業者」の間で行われ、市民が参加することはほとんどありませんでした。しかし環境問題が、公害問題から地球温暖化問題や循環型社会形成へと、より問題が広がっていくにつれ、市民つまり消費者の役割の重要性が増大してきています。

関係者の一人である消費者が真剣に問題を考え意見を発信していかなくてはならない時代になってきたのです。

例えば、ドイツでは昔から「規制」を重視し「命令管理型」の政策を好む傾向があります。容器包装廃棄物に関しても、拡大生産者責任(EPR)の考え方を政令や法律で徹底して実施していこうとしています。

こうした「命令管理型」手法は、市民にとってはわかりやすく、行政にとっては効果を上げやすいというメリットがあります。しかし、同じ手法が日本の3R促進の場でも適用できるかどうかは疑問です。

日本では、地域単位で集団回収が行われてきた長い歴史があります。世界でも珍しい、自治体と事業者が綿密にコミュニケーションを取りながら、消費者に対して情報提供を行い、協力し合ってきた伝統があるのです。こうした伝統は活かしていかなければなりません。

さらに、「なぜ、こうした分別をするの?」といった消費者の素朴な疑問に、事業者が素材の特性から説明をし、自治体が分別回収の場でそうした情報を流通させ、「消費者-事業者」のコミュニケーションを図ることでよりこうした取り組みが促進されるでしょう。

3Rに関しては、まず発生抑制(リデュース)をいかに進めていくのかが大きな課題です。容器包装について、各事業者とも軽量化や薄肉化に向けた取り組みを強化していますが、この分野についても同様に、技術的な努力だけでなく、消費者に、容器・素材に対しての理解を深めてもらうことがより効果的な取り組みにつながっていくと思います。

事業者の取り組みを多面的に理解してもらうことが必要です。
例えば、過剰包装の抑制や、スチール缶の軽量化・薄肉化への取り組みは廃棄物問題だけでなく、製造コストや輸送効率化につながり、地球温暖化防止へ寄与する側面もあります。色々な情報を、消費者に伝え「製品」に関わることを正しく知ってもらう必要があります。

消費者が容器包装の特性や長所、課題を正しく理解し、事業者の取り組みを評価できるようになれば、事業者もリデュースに向けて頑張れる力を消費者からもらえるようになると思います。

今後本格的な市民参加を推進するためには、まず消費者の中からリーダーとなる人材を育成することが重要です。そのリーダーを核としてネットワークを構築し、自治体や事業者はそのリーダーに向けて情報を発信していくというアプローチが望ましいと考えます。その一つの例が、3R推進団体連絡会が実施した「3Rリーダー交流会」です。消費者と事業者の代表が意見交換や情報提供を行う貴重な機会でありますので、今後も継続してほしいと思います。(談)