紺野美沙子(女優/国連開発計画親善大使)

女優業と並行して、1998年より「国連開発計画(UNDP)」の親善大使を務めていらっしゃる紺野美沙子さん。開発途上国や地域で、平和、貧困、環境問題などを解決するための国と人づくりをサポートする同機関の活動を伝えるべく、数々の土地を訪れています。過去には自らが中心となって環境保護へのアプローチを起こしたことも。そんな紺野さんに、ユニークな体験を通して感じたエコロジーへの思いをうかがいました。

国連開発計画(UNDP)の親善大使に就任したのは1998年。以来年1回ほどのペースで、カンボジアやベトナムといったアジアから、中東やアフリカまで、開発途上の国や地域を訪問しました。振り返ると、豊かな自然に圧倒される一方で、環境破壊がいたるところで進んでいるのを実感します。

例えばモンゴルでは、都市のすぐ近くでも美しい大草原を目にすることができるのですが、首都のウランバートルでは大気汚染問題が深刻です。その一因が家庭のストーブで何でも燃やしてしまうためと聞いて、環境についての正しい知識を伝えていく必要性を感じました。大気汚染は国境を越えて広がります。決して人ごとではないというのも心に留めておくべきですね。

多くの国がそんな状況のなか、印象的だったのがブータンです。買い物の時に使うプラスチックバッグは法律により使用禁止。豊富な森林資源は厳しく管理され、年々少しずつではありますが、森林面積が増えているんです。何より感銘を受けたのは、国民ひとりひとりが、足るを知り、自然との共存をはかっていること。有名な鶴の飛来地では「電気を引くために電線を張ると、環境が変わり、鶴が来なくなるかもしれない」と、電気をあきらめたという話もあるそうです。この 環境先進国には、私たち日本人も学ぶべきところがたくさんあるように思います。

親善大使を務めて得た知識や経験は、少なからず普段の生活に影響しています。水道をひねってきれいな水が出てくることのありがたさには日々感謝しますし、途上国の深刻なごみ問題を目の当たりにすると、分別やリサイクルでごみを減らすことの大切さを痛感する。やっぱり「知ること」って、行動を起こすきっかけになると思うんです。だから、特に未来を担う子どもたちには「今世界で起こっていること」をきちんと伝えていきたい。講演会など公の場はもちろん、家でも息子に話す機会をできるだけ持つよう心がけています。

スチール缶は「何度でも」「何にでも」リサイクルできるんですよね。今飲んでいるコーヒーの缶が、リサイクル後にはビルや橋になるかもしれない。そう考えると、なんだかワクワクします。エコロジー問題はとても大きな課題ですが、解決するためにはひとりひとりの行動の積み重ねが大切。こんな風にワクワクする気持ちを持って、できることからひとつずつ、「続ける」ことを第一に取り組んでいきたいですね。