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「STEEL CAN AGE」Vol.25 紺野美紗子

Vol.25 紺野美紗子号
2011年8月発行

鉄スクラップで培ったテクノロジー
をグローバルに応用展開

社団法人日本鉄リサイクル工業会 会長
中辻 恒文氏
使用済みのスチール缶など鉄スクラップの資源循環を担っている(社)日本鉄リサイクル工業会の中辻恒文会長に、同工業会の歩みと今後の展望についてうかがった。

 鉄のリサイクルは100年以上前から、日本で資源循環ビジネスとして成立していました。その歴史のなかで日本の鉄スクラップ業界は、近年三つの大きな転機がありました。
第一の転機は1975年の(社)日本鉄屑工業会(現・日本鉄リサイクル工業会)の設立です。鉄スクラップ業者は効率よく鉄スクラップを回収し鉄鋼メーカーに安定供給するため、経営の近代化・合理化が求められていました。こうした時代背景のもと当工業会は設立され、現在では全国を網羅する日本唯一のリサイクル組織として、約1,000社の会員企業で3,800万tにのぼる日本の鉄スクラップ市場を100%カバーしています。
 第二の転機は1990年代後半、日本が鉄スクラップの準輸出国になったことです。現在、韓国・台湾・中国の3カ国は年間2,000万tの鉄スクラップを日本、米国などから輸入しています。日本が必要な地域に必要なだけ鉄スクラップをデリバリーできなければ、市場はたちまち不安定な状況に陥ってしまいます。世界の需給バランスを見なければ、国内で発生する鉄スクラップの高効率な回収処理を実現し資源生産性を高めることはできません。そのため「世界を基準に考え、地場で行動する」ことが求められるようになりました。
 そして第三の転機は2000年以降の各種リサイクル法の施行です。自動車や家電のリサイクルでは、鉄スクラップで培った回収処理ルートが大いに活かされました。リサイクルの推進役となったことで、当工業会の会員企業の環境に対する意識はさらに高まりました。資源リサイクルが時代の要請となり、法体系としての位置づけが確立したと言えます。
そうなりますと、現在の各種製品は鉄のみではなく、非鉄はもちろんのこと、プラスチックや最近話題のレアメタルなど、複合資源から構成されているため、再生可能な全ての資源をリサイクルする総合リサイクル事業化を推進する必要があります。我々の事業体系も鉄スクラップを中核とした資源全般のリサイクルという総合化に向かっています。
 鉄スクラップの発生量は、今後とも長期間にわたって平行線をたどるものと予測されます。その一方で(独)産業技術総合研究所の調べによれば、レアメタルは日本国内に製品として産出国以上に蓄積されています。今後、製品の中にあるレアメタルをいかに回収し、どういう流通ルートで、どこに集積地を置いて、市民や企業の役割をどのように決めていくか、という回収システムの確立が課題になります。またアジア諸国で発生するハイテク製品のスクラップに大量に含まれるレアメタルを、より高度な技術でリサイクルしていくことも、日本が果たすべき重要な役割になるものと考えられます。
 当工業会では、長年鉄スクラップで培ってきたテクノロジーを、国内はもとより海外にも積極的に応用展開していくことで再生資源の国際循環の適切な対応を図るとともに、アジアのリサイクルビジネスの情報発信基地としての役割を果たし、地球環境保全に貢献していきたいと考えています。(談)
なかつじ・つねふみ/中辻産業(株)(本社・堺市、1917年創業)代表取締役社長。2006年(社)日本鉄リサイクル工業会会長に就任。同工業会では中国、韓国、台湾などのアジア諸国との公式な交流会議を推進し、そのネットワークを欧米へと広げ、2010年6月には横浜市で国際鉄スクラップフォーラムを開催。同工業会のグローバル化に尽力している。
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