多様なリサイクルルートの確立を目指して
容器包装の3R推進に向けた事業者の取組み

資源となる使用済み容器包装は、市町村による分別収集だけではなく、市民による集団回収や事業者による分別回収などが行われており、多様なリサイクルルートが形成されている。今回のメインレポートでは、事業者による分別回収の中でも、自社でリサイクル施設を設置し独自に、リサイクルルートを確立した鉄道会社やスーパーマーケットの取り組みにスポットを当て紹介する。

 

駅・列車ごみの分別回収

リサイクル率92%を達成JR東日本

JR東日本では、1日当たり延べ1,659万人の利用者によって、駅構内や列車内で排出されるごみは年間3万5,000トンにのぼっている。駅・列車ごみは、新聞・雑誌、スチール缶、アルミ缶、ペットボトル、びんなど、分別すればリサイクル可能な資源物がその大半を占めている。 「当社グループは1992年にエコロジー推進活動の基本理念と基本方針を制定し、1996年には行動指針を定めて具体的な環境保護活動に取り組んでいます。その一環として、駅・列車ごみを適正に処理するため、分別回収ボックスやリサイクルセンターを設置し、分別とリサイクルに努めてきました」(総合企画本部経営企画部環境経営推進室・入江洋課長)

JR東日本では、80年代まで駅・列車ごみを分別することなく1つのごみ箱で回収し、集積所で選別した後、各地域の市町村へと運び込んで処理していた。しかし駅構内の売店や自動販売機の増加などに伴ってごみは増え続け、ピーク時には東京都全体の1%に相当する年間7万トンに達した。駅・列車ごみの減量化と資源化を推進するため、92年に山手線内モデル駅で分別回収ボックスを設置、93年に東北・上越・山形新幹線の列車で分別回収を開始した。そして94年、中央線東京・新宿間を含む山手線内各駅に分別回収ボックスを設置するとともに、上野駅地下にリサイクルセンターを開設し、事業者であるJR東日本自らがスチール缶などを再資源化するリサイクルルートを確立した。

その後も分別回収対象駅や列車を拡大していくとともに、大宮と新木場にもリサイクルセンターを設置し、分別回収とリサイクルルートのさらなる拡充を図っていった。またJR東日本グループ各社では、買い物袋の薄肉化、飲料自動販売機へのクリーンボックスの併設、リサイクルを考慮した飲料容器の材質変更など、駅・列車で売られている商品からのごみ削減を推進してきた。さらに2010年10月には、上野と新木場のリサイクルセンターを統合し、新たにJR東日本東京資源循環センターを東京・品川区の東京貨物ターミナル駅構内に建設し稼働している。

「こうした資源循環の取り組みとともに、お客さまに分別をご協力していただいた結果、2010年度における駅・列車ごみのリサイクル率は目標の70%を大幅に上回る92%を達成しました(図1)」(総合企画本部経営企画部環境経営推進室・春原尊史氏)

リサイクル基地 東京資源循環センター

JR東日本東京資源循環センターには、東京・横浜・八王子・千葉各支社約120駅で回収された駅ごみと、東京駅・上野駅・新宿駅・尾久車両センター・田町車両センター・東京新幹線車両センターで回収された列車ごみが、年間9,000トン運び込まれ資源化されている。駅・列車ごみの分別からリサイクルまでを一貫して行うほか、所在地である品川区の家庭から排出される廃プラスチックも取り扱っている。事業運営はJR東日本グループの(株)東日本環境アクセスが担当している。

「同社は駅や車両の清掃だけでなく、200社を超える企業や市町村と廃棄物に関して収集運搬等の契約を締結するなど、ごみ処理に関してさまざまなサービスを提供しています。こうして蓄積されたノウハウが当社の駅・列車ごみの分別回収とリサイクルルートの確立に活かされています」(総合企画本部経営企画部環境経営推進室・持立雄也副課長)

JR東日本東京資源循環センターは、異なるごみを処理する3つの施設で構成されている。A棟では駅の分別回収ボックスや列車で排出されたびん、缶、ペットボトルを選別機や手作業によって選別され、1日当たり19トンが中間処理されている。スチール缶スクラップについては再資源化を行う事業者を通じて製鉄所や電炉工場に送られ、スチール缶、建築物、自動車、家電製品などに使われる鋼板にリサイクルされている。このほかB棟では新聞・雑誌、機密書類など1日当たり9トン、C棟では廃プラスチック2トンを中間処理し、それぞれリサイクルされている。

「列車ごみの中には、おつまみの包装材とびんや缶、ペットボトルをビニール袋の中に一緒に捨てられているケースなどが見受けられます。こうした混合ごみは当センターで分別していますが、お客さまには引き続き分別排出へのご協力をお願いします」(東京資源循環センター事業所・西木保人所長)

「当センターでは、ごみ減量化を実現するため、できる限りの分別化を推進し再資源化に取り組んでいます。今後とも『限りある資源品を有効活用しよう』という精神で、地球環境負荷の低減と循環型社会の構築に貢献していきます」(東日本環境アクセス・渡邊康夫取締役環境事業本部長)

 

スーパーマーケットの店頭回収

消費者との対話から始まる

スーパーマーケットなど小売店の事業者で構成されている日本チェーンストア協会では、無駄な包装を排除してごみとなる容器などを減量するため、容器包装の簡素化・減量化にかかわる要綱を1972年に定め、自主的に包装の改善を進めてきた。特にプラスチックトレイについてはできる限り使用しないことを基本として、鮮度や品質保持などの問題から使用がやむを得ないものを具体的に例示するなどして、トレイの削減に努めてきた。このほか会員企業では、野菜や果物のばら売りの推進、リサイクル商品や詰め替え商品の積極的な展開、メーカーとの協働による軽く薄い容器の開発や使用促進などに取り組み、スーパーマーケットにおける容器包装の店頭回収もその一環として始まった。

日本チェーンストア協会の調べによると、2010年度には全国4,132店舗※で店頭回収が実施され、ペットボトル1万3,573トン、発泡スチロールトレイ1万598トン、牛乳パック1万68トン、アルミ缶4,830トン、スチール缶610トン、ガラスびん410トンがリサイクルされた(図2)。環境省「容器包装廃棄物の店頭回収に関するアンケート調査報告書」(2008年)でも、小売店全体での店頭回収実施率は52.8%を占めていることが明らかになり、店頭回収は消費者に周知されつつある。店頭回収の普及について、(株)ダイナックス都市環境研究所の山本耕平所長は次のように分析する。

*全国4,132店舗一律に同じ品目が回収されているのではなく、各地域の実情に応じた品目の回収が行われている。

「1985年に全国牛乳パックの再利用を考える連絡会が発足し、全国に牛乳パック再利用運動が広がり、まず生活協同組合で店頭回収が始まり、90年ころからスーパーにも普及しました。さらに90年前後にはトレイのリサイクルやレジ袋の削減に関する機運も高まり、スーパーと消費者団体の対話が行われるようになりました。そして92年ブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と開発に関する国際連合会議を契機に、90年代半ば地方中堅スーパーを中心に容器包装の店頭回収が定着し、2000年容器包装リサイクル法完全施行を受け大手スーパーも本格的に実施するようになりました」

自主回収ルートの確立(株)ハローズ

広島県、岡山県、香川県、愛媛県に店舗展開する食品スーパーマーケットの(株)ハローズでは、2000年から店頭回収を本格的に実施している。現在、52店舗で品目ごとに回収ボックスを設置し、来店客が各家庭から使用済みの容器包装を持ち込んでいる。来店客の30代主婦は「買い物のときは、いつも車に資源ごみを積んで来ています。市の資源ごみ収集が月1回なので、収集日まで溜めておくと結構な量になってしまいます。それにペットボトルは市で収集を実施する前から店頭回収が行われていましたから、とても便利ですね」と話している。

ハローズでの回収量は、店舗数の拡大に伴い年々増加しており、2012年9月?2013年2月の月平均(見込み)でスチール缶33トン、アルミ缶28トン、ペットボトル24トン、食品トレイ12トン、牛乳パック11トンにのぼる。ハローズはこれまで回収した資源物を各店舗所在地の市町村に処理をお願いしてきたが、2012年に岡山県都窪郡の早島物流センター内にハローズエコセンターを建設し自主回収ルートを確立した(図3・4)。ハローズエコセンターは9月に稼働する予定で、初年度月平均750トンを再資源化しリサイクルの推進を加速させていく。

「店頭回収と店舗で発生する資源物を、商品物流の帰り便を利用してエコセンターに移送することで物流車両の便数を削減し物流の循環の効率化を図り、循環型社会構築に向け貢献度を高めていきたいと考えています。またエコセンター内での分別作業などを障がい者の皆さんにお願いし、障がい者の自立支援と地域雇用の創出にも貢献していきます。さらに社会教育の場としてエコセンターを開放していくことも検討しています。今後とも地域社会と環境に貢献し、企業として社会的な信頼向上に取り組んでいきます」(経営企画部経営企画課・渡辺浄示課長)

 

 

豊かな暮らしと環境保全の両立

容器包装のリサイクルをより高度化するためには、従来の市町村による分別収集ルートに加えて、地域の実情に応じた多様な分別回収ルートを確立することが効果的と考えられる。こうした中、スーパーマーケットなどの小売店の自主的な取り組みとして進められている店頭回収は、実施店舗数や回収量が年々増えており、多様な資源回収ルートの一つとして定着し重要な役割を果たしている。

店頭回収は容器包装を使用した商品を販売する小売店が自ら社会的責任を果たすとともに、きめ細かな分別により品質の高い容器包装廃棄物の収集が可能であることから、再商品化された製品も高い品質のものとなっており、高く評価されている。さらに近年、使用済み容器包装の自動回収機が実用化されるなど、消費者の利便性の向上とともに、市町村の分別収集のコスト削減などへの貢献が期待されている。日本チェーンストア協会の増田充男執行理事は次のように展望を語る。

「法令ではリサイクル費用は最終的には消費者への転嫁が可能と説明されていますが、景気低迷下で消費者の皆さんにお願いすることは困難です。こうした中でも、小売店は店頭回収をはじめレジ袋の使用削減、容器包装の簡素化・減量化など、3R推進に向けたさまざまな自主的な取り組みを積極的に展開しています。『ゆとりと豊かさを損なうことなく、地球環境への負荷を低減する』という目標に向け、お客様や地域社会、行政と協力しながら活動の輪をさらに広げていきたいと考えています」