奈良県

"日本人のこころのふるさと"と呼ばれ、国際観光文化都市として国内外から数多くの観光客が訪れる奈良。
豊かな文化遺産、恵まれた自然を守り、住む人にやさしく、訪れる人にもやさしいまちづくりを目指し、奈良県では美化・清掃活動「クリーンアップならキャンペーン」が展開されている。

官民一体の一大県民運動

奈良県では毎年9月をクリーンアップならキャンペーン月間と定め、特に第1日曜日を美化統一実践日として、県内20コースでポイ捨てごみの美化活動が実施されている。この活動は1981年、(株)南都銀行内の「小さな親切」運動奈良県本部が「ふるさと美化運動」を始めたことがきっかけとなった。その後1986年に親切・美化奈良県民運動推進協議会が発足し奈良県とタイアップすることで、名実共に民間と行政が一体となった一大県民運動へと発展している。

「使用道路は事故などの危険性はないか、地元に迷惑やトラブルは発生しないか、ごみの最終収集場所確保と収集車の手配は万全かなど、県協働推進課と南都銀行『小さな親切』運動の会、『小さな親切』運動奈良県本部の三者で入念な打ち合わせを毎年行い、安全第一で当日の活動に万全を期しています」(「小さな親切」運動奈良県本部・堀賢一事務局長)

文化を守っていく

クリーンアップならキャンペーンの輪は現在も広がっている。2012年度は新たに藤原宮跡が清掃コースに加わり、飛鳥・橿原ユネスコ協会や橿原市の皆さんが初めて参加した。

「世界遺産登録候補地である藤原宮跡を将来にわたって美しい形で保存するため、清掃・美化活動を通じて多くの人々にふるさとを啓発する、クリーンアップならキャンペーンの趣旨に賛同しました。今回地域の皆さんにわが国初の本格的都城の史跡を実際に歩いて知っていただく良い機会となりました」(飛鳥・橿原ユネスコ協会・田原勝則氏)

「参加決定が2012年に入ってからだったため、準備期間の短さが懸念されました。世話役として道路使用許可の申請、会場設営、地元への呼びかけ、ごみ処理の手配などの準備を急ピッチで進めましたが、県や本部の強力な支援があり無事実施することができました」((株)南都銀行橿原支店・大西知巳支店長)

日本の世界遺産は16ヵ所中3ヵ所が奈良県にある。法隆寺地域の仏教建造物、古都奈良の文化財、紀伊山地の霊場と参詣道に続き、藤原宮跡の登録を目指しており、クリーンアップならキャンペーンが地域住民の登録機運を盛り上げた。

自分たちのまちは自分たちできれいに

2012年9月2日に実施されたキャンペーンの参加者は、全体で約1万5,000人にのぼった。回収されるごみの種類や量は地域によって異なる。主要道路ではあき缶やペットボトル、タバコの吸殻、プラスチックの破片など多種多様なごみが散乱しているのに対し、奈良公園をはじめとする観光地周辺では地元商店などの熱心な美化・清掃活動を反映してごみの量が非常に少ない傾向にあるという。ごみは可燃と不燃に分別して回収し各コース1ヵ所にごみ袋をまとめて置き、各市町村ごみ収集担当課の協力を得て収集処理され、スチール缶などがリサイクルされている。

「キャンペーン時だけでなく、恒常的に各地域で美化・清掃活動が行われています。うれしい限りです。自分たちのまちは自分たちできれいにして、住みよいまちにするという意識が広がってきました」(奈良県協働推進課・筒井弘和係長)

「関連イベントなどでのパネル展示や、優良実践者の表彰を行い、運動の普及啓発を展開しています。今後とも活動が継続できるように支援体制の充実を図っていきたいと考えています」(同課・木村綾子主査)