将来を見据え、資源ごみの分別・再資源化の仕組みを普及啓発してきたスチール缶リサイクル協会の取り組み

現在スチール缶リサイクル協会(旧称:あき缶処理対策協会)では、2008年に完全施行された「改正容器包装リサイクル法」の見直しに向け、これまでの取り組みや成果を踏まえた制度の検証・評価を行っている。今回のメインレポートでは、他の容器包装業界に先駆けて取り組んできた自治体・消費者・有識者などとの連携・協力による分別システムの構築・普及活動や、事業者との連携による再資源化の仕組みづくりなどの成果を改めて検証するとともに、制度見直しを控えた2011年度の実績と最近の取り組みの一端を紹介する。

法整備に先駆け、分別回収・資源化の一貫システムを構築

1973年に設立されたスチール缶リサイクル協会は、使用済みスチール缶の散乱防止・環境美化への啓発活動とともに、95年12月の「容器包装リサイクル法」施行に先行する形で、70年代から先駆的自治体との連携・協力のもと、社会的コストの最小化並びに環境負荷低減に資する分別の仕組み構築と普及を推進し、海外にも先駆的自治体の取り組み(善通寺の分別状況など)をプレゼンテーションしてきた。また、分別収集されたスチール缶スクラップの高炉メーカーによる再使用に係る調査研究並びに高炉・電炉メーカーでの引き取り使用を要請するとともに、受け皿拡大に努めてきた。さらには、鉄鋼メーカー・スチール缶製造メーカーにおいて、スチール缶スクラップの高品質化を図ってきたことより、再生資源(鉄源)としての"スチール缶"の評価と価値が着実に高まってきている。

分別収集・中間処理推進に当たり、スチール缶リサイクル協会では自治体に対して、推進解説マニュアルの提供(写真1)や鉄スクラップ(スチール缶含む)の流通構造や市況情報を定期的に提供、さらには研究会やセミナーなどを通じて、情報発信を行ってきている。また再資源化推進では、鉄鋼メーカーとの連携により、スチール缶スクラップの受け入れ状況や再資源化状況などを調査してきている。

近年では、こうした長年の活動成果として自治体による分別収集が普及・定着し、分別精度が向上、異物混入が減少し、安定したスチール缶のスクラップが再資源化工程に供給されるとともに需要が高まってきている。

このような分別・再資源化の取り組みは、新設が困難な最終処分場問題に対し、現在において計り知れない社会的便益を生み出している。

 

自治体と共に分別収集の礎を築き、各主体間を結ぶ"架け橋"となる

スチール缶の分別収集の発祥は協会設立2年後の1975年、静岡県沼津市だった。当時、埋立地が逼迫する全国市町村では、町内会・自治会などによる集団回収がすでに始まっていたが、沼津市は全国で初めて自治体の一元管理のもと分別収集をスタート(写真2)。協会では沼津市に対して、スチール缶を磁選・破砕・プレスする回収処理設備機械の開発を支援、清掃作業者の作業軽減と処理・再資源化の効率化を実現し、自治体(市町村)による分別収集・資源化処理システムの礎を築いた。

「同社は駅や車両の清掃だけでなく、200社を超える企業や市町村と廃棄物に関して収集運搬等の契約を締結するなど、ごみ処理に関してさまざまなサービスを提供しています。こうして蓄積されたノウハウが当社の駅・列車ごみの分別回収とリサイクルルートの確立に活かされています」(総合企画本部経営企画部環境経営推進室・持立雄也副課長)

その後、全国各地の自治体と共に同システムの普及・拡大を推進した結果(90年代には累計132市町村・資源化施設などを支援)、「混ぜればごみ、分ければ資源」の意識が社会に浸透し、現在では、全国98.7%の区市で分別収集が実施され、そのうちスチール缶を分別対象にしている自治体は95.5%に及んでいる。

そして2006年からの容器包装リサイクル法見直し審議の中で、国民の環境意識のさらなる向上や多様な回収システムの推進などが提起されたことを受け、再資源化における環境負荷軽減への方策と社会的コスト最小化に寄与する回収の仕組みを提案写真3 集団回収マニュアルの解説セミナー(堺会場)する目的で、05年秋から5年間にわたり、集団回収の状況について全国の区市へのアンケートや全国各地の現地調査を自主的・自発的に行った結果、全国各地域の事情と市場性に合わせた住民・自治体・事業者の三者による協働型集団回収には、環境意識の向上や社会コストの削減、地域コミュニティ活性化、回収品の質向上などのメリットがあることが立証された。協会ではその内容をまとめた冊子「集団回収マニュアル~協働型集団回収のすすめ」を発刊、全国の市区などに配布するとともに、一昨年より全国各地で"解説セミナー"を開催、調査結果の情報提供・解説とその仕組みの普及に努めている。(写真3)。

また引き続き、多様な回収の仕組みの一つである全国各地での「店頭回収・拠点回収」の実態調査を現在継続的に実施し(写真4)、調査結果における先進事例などを本誌や年次レポートなどで紹介してきている。

さらに10年度からは、離島・山間部などの現地に赴き、スチール缶を主とする容器包装リサイクルの状況調査を実施し、各島・地域の自治体とリサイクル業者が分別収集・処理・運搬などの工夫や、有償売却により回収物を貴重な資源として活用している実態を掌握した(写真5)。

 

事業者と共に資源の品質向上と、再資源化の仕組みづくりに取り組む

再資源化が始まった当時、スチール缶は分別収集の不徹底による銅線などの混入や、素材として錫を含有しているといった理由で、鉄スクラップ処理業者などから受け取りを拒否されることがあった。協会では、自治体に分別排出・収集の徹底を要請するとともに、鉄鋼・製缶メーカーでは、スチール缶の環境配慮設計として錫を使用しない缶素材・製缶技術の研究に取り組み、「錫無し鋼板(ティンフリースチール:TFS)」の開発・商品化に成功した。協会では(一社)日本鉄源協会による鉄屑検収統一規格の整備に協力して、1982年にスチール缶スクラップの規格化(Cプレス・Cシュレッダー)を実現、スチール缶を貴重な資源として円滑にリサイクルルートに載せる受け皿づくりを後押しした。

また、事業者の再商品化の責務の観点から、スチール缶の分別収集物が逆有償になった場合の措置として、95年から自治体が分別収集したスチール缶スクラップについては、ボランタリープランとして「鉄鋼メーカーによる有償もしくは無償引き取り保証」を行っている。

近年では、受け皿である鉄鋼メーカーの要請により、リサイクル事業者によるスクラップの質の向上のため、スチール缶の一部についてもシュレッダー処理され、さらに高付加価値化される傾向にあり、協会でも調査を行い、情報提供に努めている(写真6)。

リサイクル・リデュースのトップランナーとして

リサイクル・リデュース率の高いハードルを目指して

スチール缶リサイクル協会では、昨年10月25日に開催した「協会活動記者説明会」(p13参照)で、2011年度のリサイクル率が90.4%だったことを公表、経済産業省産業構造審議会のガイドライン(85%以上)を11年連続で達成したことを報告、それに併せて年次レポートを発刊した(図1)(p13参照)。その後、12月に開催された容器包装の素材に係るリサイクル八団体で構成される3R推進団体連絡会の「自主行動計画2012年フォローアップ報告会」(東京・経団連会館)では、スチール缶リサイクル率・リデュース率などとともに11年度の活動内容を紹介した。

 

過去最高の実績をあげたスチール缶リサイクル率の背景としては、まず15億1,000万トンという史上最高の粗鋼生産量となった11年、世界的に高まった鉄鋼原料としての鉄スクラップの需要増が挙げられる。ここ数年、粗鋼生産量1億トンで安定的に推移する日本でも、自給できる貴重な資源・原料として高い需要を維持している。特にスチール缶スクラップは、ティンフリーの高品質な鉄鋼原料として高い評価を得て、安定した再利用が図られている。

一方、リサイクルと同様に1970年代から取り組んできたリデュース(軽量化・薄肉化)では、70年代から90年代において軽量化は大きく進展、その後も継続的に軽量化は進展してきている(詳細データ近日公開)。また前回の容リ法改正を受けて、自主行動計画の数値目標達成のため、2006年日本製缶協会内に設置された「スチール缶軽量化推進委員会」での推進の結果、全缶生産数の約85%を占める対象主要缶型4種(200、250、280、350ml)では、第二次自主行動計画で掲げた"04年度を基準とする15年度目標(4%軽量化)"を前倒しで達成してきている(図2)。

 

多彩な支援事業と啓発活動を通して社会貢献

また協会では近年、分別収集・再資源化の調査・情報提供・支援だけでなく、独自の支援事業・啓発活動を行っている。協会設立当初からの「散乱防止・美化キャンペーン」(現在まで347ヵ所、488回実施)(写真7)や、ホームページでの最新情報の提供、本誌『Steel Can Age』による多彩な環境情報発信、環境意識向上のための広報用ツールとしてのポスター制作、環境展への出展に加えて、スチール缶の集団回収を実施している町内会・子ども会・老人会・PTAなどの地域団体への表彰・支援(2011年度44団体)や、実践的活動としての集団回収を取り入れた優れた環境教育を実施(計画)している小中学校への表彰・支援(11年度25校)を毎年行っている。

 

09年度からは市民団体や学校などの消費者向けに、環境意識向上や鉄鋼業(製鉄所)におけるスチール缶リサイクルの取り組みと環境活動への理解を促進する目的で「製鉄所見学会」も開催(写真8)。さらに小中学生への環境教育(リサイクルポスターコンクールなど)などさまざまな活動を展開してきている。

 

現在、容器包装リサイクル法の見直しに向けて、制度上の不具合や一部素材による資源循環の不備などの課題が提起されている。優等生と言われるスチール缶ではあるが、容器包装リサイクル法制定に大きく関わった協会として、より良い制度改革に向けて、今後も愚直に社会的コストの最小化並びに環境負荷低減に向けた連携・協働の取り組み、および将来を見据えた施策・政策の提言などを行っていく予定だ。