若村 麻由美(女優)

ヒマラヤトレッキングを機に、2002年より富士山清掃に参加。2006年からはヒマラヤ マナスル・富士山同時清掃の富士山清掃隊長を務め、また、国土庁の水文化委員としても活躍されている若村麻由美さんに、富士山清掃などについてお話をうかがいました。

1998年にNHKの番組で、エベレストを望む標高5545mのカラ・パタールに登る機会をいただきました。特に山歩きが好きというわけではないのですが、約1ヵ月間、ヒマラヤの勇壮な自然の中で過ごした体験は、人生観が180度変わるほど貴重なものでした。

そして、帰国して初めて富士山を見たとき、あまりの美しさに涙が出たんです。ヒマラヤとは全く違う、たおやかで美しい稜線。この国に生まれて本当によかったと思いました。そんな矢先、仕事で登山家の野口健くんとお会いしたときに「富士山は外から見るときれいだけど、中は汚いんだよ、ごみだらけだよ!」と言われてとてもショックで。ちょうど野口くんが富士山の清掃活動を始めるとのことで「あの美しい富士山をきれいにしなくちゃ!」と単純な気持ちで参加したのが清掃活動の始まりです。

ごみ拾いは大変な作業ですが、発掘調査や宝探しにも似た楽しさがあります。例えば、昔のごみの層からはペットボトルがひとつも見当たらないことにハッとしたり、その時代の生活を感じることができます。みんなで大量に集めた達成感や爽快感もあります。総勢約200人で行う富士山清掃には3歳から90歳くらいの方まで参加されますが、みなさん本当によく働きます。特にお子さんはごみを見つけるというゲーム性が楽しいようで、大人以上に働いてくれます。拾った段階で分別するので「帰宅後、うちの子が分別にうるさくなりました」とお母さんがおっしゃるくらい。拾う体験が、捨てないこと、資源を活かすことを教えてくれます。

それにしても"なぜこんなところに"と思うものが捨てられています。アルミサッシやタイヤ、あるときは大量の便器が捨てられていたり、細かく切断されたケーブルを、目を皿のようにして拾ったこともあります。捨てるのは一瞬でも拾うのは膨大な労力と時間がかかります。清掃活動のたびに、捨てた人たちにごみ拾いを体験してほしいと思います。

ごみ拾いをして初めて、自分が一日に出すごみの量を意識してその量に驚きました。人間は食べなければ生きていけないように、出さなければ生きていけないとあらためて感じましたし、ごみやトイレも、捨てて自分の視界から消えればなくなったように感じるけれど、その先を想像して暮らすことが大切だと思うようになりました。

私が富士山清掃を始めた10年ほど前は冷ややかな目で見られることも多かったのですが、エコという言葉が一般的になり、今では清掃活動に参加したいという人も増え、人の意識はこんなにも変わるのかと驚いています。

まずは知ること、そして体を使って感じることが重要だと思います。スチール缶は丸ごと鉄としてリサイクルでき、リサイクル率も高いんですね。そういう知識があれば、例えば飲み物を買うときにスチール缶を選ぼうかなと思うかもしれないし、買う側が選択できるような情報を、これからも伝え続けてほしいと思います。