さらなる容器包装の3R推進に向けて
容器包装リサイクル法の見直しがスタート

改正容器包装リサイクル法(容リ法)施行後5年を経過したことを受け、施行状況の評価検討について調査・審議を行うため、2013年9月から産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルワーキンググループ(産構審)と中央環境審議会循環型社会部会容器包装の3R推進に関する小委員会(中環審)による合同会合がスタートした。第1 回合同会合では事務局(経済産業省・環境省)から容リ法の施行状況などについて報告があり、第2回~第6回(2013年10~12月)合同会合では関係者からのヒアリングが行われた。今後の見直し審議に向けて、第6回までの合同会合の概要とともに、そこから見えた課題などを整理して報告する。

容リ法の生い立ち

ごみの減量化と資源の有効利用

なぜ容リ法が施行されなければならなかったのか。そして容リ法が施行されたことで、どのような成果をあげたのか。容リ法の施行背景と成果をまず紹介しよう。

日本は戦後の復興ののち、高度経済成長とともに国民の生活も豊かになった。物の価値感も変わり国民の生活スタイルも様変わりしていった。この背景のもと、家庭から出てくる一般廃棄物も増大の一途をたどり、1970年代には一部の自治体で最終処分場の逼迫問題が浮上した。このころから最終処分量削減のため、分別収集・再資源化というシステムが生まれ、全国に少しずつ広まりつつあった。

しかしながら1990年代初頭のバブル崩壊とともに、市町村が分別収集しても逆有償となり、分別収集した資源ごみの引き取り手がないという状況も出現した。このため、最終処分の延命化ならびに一般廃棄物排出量の削減と資源としての循環利用が喫緊の課題となった。

分量削減のため、分別収集・再資源化というシステムが生まれ、全国に少しずつ広まりつつあった。

しかしながら1990年代初頭のバブル崩壊とともに、市町村が分別収集しても逆有償となり、分別収集した資源ごみの引き取り手がないという状況も出現した。このため、最終処分の延命化ならびに一般廃棄物排出量の削減と資源としての循環利用が喫緊の課題となった。

この課題解決のため、一般廃棄物中の容器包装廃棄物の割合が高いことを受け、1995年容リ法を制定し、容器包装廃棄物の再資源化システムの構築を図った。容リ法の特徴は、個々の主体が役割を分担し、消費者が分別排出、市町村が分別収集、事業者(容器包装の製造および利用事業者)には受け皿として再商品化(リサイクル)を担わせるとともに、三位一体となって容器包装廃棄物の排出量削減に取り組む義務と責任を課したものであった。

 

 

容リ法の完全施行に並行して、一般廃棄物の最終処分量が年々減少する(図1)とともに、最終処分場の延命化も図られてきている(図2)。一般廃棄物の排出量は、2000年度の5,483万トンをピークに減少しており、2011年度においては4,539万トンとなり約17%減少した。このうち、容器包装廃棄物が占める割合は容積比で約60%から約54%と減少している(図3)。1人1日当たりの一般廃棄物排出量も直近975gで、1995年1,138gから14%、ピーク時の2000年1,185gから約18%減少している。消費者・市町村・事業者などによる3R(リサイクル・リデュース・リユース)推進に係る連携協力の取り組みは拡大し、事業者による3R推進のための自主的取り組みや、多様な回収の仕組みである集団回収・店頭回収なども進展している。

容リ法の見直し

合同会合におけるヒアリング関係者の主な主張

一般廃棄物の減量化と資源の有効利用を推進するためには、さらなる容器包装の3R推進も必要となるが、前回の見直しから今日までの経緯を、消費者・市町村・事業者はそれぞれどの立場でどのように捉えているのだろうか。昨年秋から始まった産構審と中環審による合同会合で行われた関係者からのヒアリングにおける主な主張をまず紹介する。

市民団体・NPO等のヒアリングから拡大生産者責任の徹底を主張

市民団体・NPOなどのヒアリングでは、国際環境NGO FoE Japanが、一定の成果はあるとしながらも大量生産・大量消費型のライフスタイルは変わらず、発生抑制には大きな進展がなく、発生抑制の仕組みが不十分と主張。例えば、菓子類やPC関連品などで過剰・過大な容器包装が依然として見られ、ペットボトルについては原単位でリデュースは進んだが、清涼飲料生産量が大きく増加し、トータルでの環境負荷は増大している。またレジ袋の削減も大都市圏やコンビニなどでは進んでおらず、ファストフードやコーヒーショップの店内飲食では依然として使い捨て容器を使用していると指摘した。

容器包装の3Rを進める全国ネットワークは、今日までの評価には触れず、改正すべきとして自ら策定した「市民案」を解説するとともに、一般市民の20代独身女性2人と主婦6人を対象に実施したデプスインタビュー(個別面談)「2R(リデュース・リユース)推進強化のための生活者意識調査」を実施した結果についても解説した。容リ法については、内容を理解している消費者が皆無で、行政が定めたルールは従うが、法律や行政のスタンスにまで関心はないことがわかった。消費者との連携が不十分であることが浮き彫りになった。

両団体では容リ法の目的であるごみの排出抑制をさらに進めるため、拡大生産者責任(EPR)の徹底を求めた。製品をつくり販売する事業者が製品価格にリサイクル費用を内部化することによって、消費者もリサイクル費用を負担することになり、リサイクルしやすい製品への誘導やリサイクルよりも優先して2Rを推進することができると考えているようだ。

自治体等のヒアリングから①
事業者に分別収集・処理費用の一定の負担を課すべきと主張

容リ法の施行によって、分別収集を実施する市町村が増え(図4)、分別収集量も増加した。特にペットボトルやプラスチック製容器包装は大幅に拡大している。こうしてリサイクルが進む中、(公社)全国都市清掃会議によれば、税収の減少や義務的経費の増大などで地方財政は逼迫しているという。

容リ法ではリサイクルに実際かかった費用が、あらかじめかかるであろうと想定されていた額を下回った場合、その差額の2分の1に相当する金額が特定事業者(容器や包装を製造したり利用する事業者)から市町村へ拠出されている。しかし秋田県横手市ではコスト負担が依然として大きく、リサイクルを推進するほど負担が増えていると報告している。拠出金は導入当初こそ財政的インセンティブとなり得たが、現在の算定方法ではリサイクル量が増えるほど減額されるため、市町村の負担軽減に結びつく拠出金制度の見直しを求めた。

また神奈川県横浜市では、拠出金を分別リサイクル推進事業に充当しており、2010年が8億4千万円であったのに対し、2012年は2億4千万円に低減している。市資源循環局の2013年予算総額は2008年のピーク時に比べ57億円削減したものの、中間処理費が34億円で固定化されており、財政を圧迫している(図5)と報告している。市町村に負担のかかる現行制度を改め、収集運搬や中間処理に係る経費について、事業者に一定の負担を課すことなどを求めた。

自治体等のヒアリングから②
プラの範囲および分別表示の見直し等を主張

市町村ではコスト負担とともに、プラスチックのリサイクルも大きな課題の一つとしてあげている。例えばプラスチック容器包装では、衣類などの包装用袋や生鮮食品のパック用ラップが対象であるのに対し、クリーニング袋や家庭で使用したラップは対象外となっている。さらにアルミコーティングされた紙やアルミ・プラの張り合わせなど複合素材が多くなり、どのように分別したらいいのか消費者にとってわかりにくいと指摘する。

石川県小松市では、分別の細分化によるごみ減量効果が頭打ちとなり、全体だけでなく資源ごみまでも減少することを懸念している。ケースバイケースの分別の場合、なかなか理解が浸透していかないため、紛らわしい素材は製造段階から排除し、消費者の分別を無駄にしないようなものづくりを生産者に求めた。また愛媛県松山市でも、地域のごみ当番や収集・中間選別業者、市職員など、それぞれ判断困難な事例が見られるため、子どもから高齢者まで誰もがより理解しやすい分別の目安となる識別マーク表示などの見直しを要望した

秋田県横手市では、分別をわかりやすくするため、表示箇所やサイズを統一し識別しやすく表示するとともに、複合素材についてはあえて表示しないというのも一つの方法ではないかと提言。

さらに神奈川県横浜市では、他の容器包装に比べてプラ製容器包装の分別率が低く、分別が進まない背景の一つとして、製品プラスチックが分別対象でないことを指摘。事業者にリサイクルを義務づけるとともに、容器包装と間違えやすいプラ製品は分別対象となるようガイドラインを見直すべきと主張した。

事業者・事業者団体等のヒアリングから①
現行の役割分担維持を主張

容器包装の素材に係るリサイクル各団体から、一般廃棄物の排出量減少・一般廃棄物中の容器包装廃棄物の減少(容積比)ならびに最終処分場の延命化などが図られてきたこと、事業者としても3R推進の取り組みを行ってきたことから、現行の消費者による分別排出、市町村による分別収集・処理管理、事業者による再商品化という枠組みの堅持と、消費者・市町村・事業者など各主体による継続した取り組みの推進ならびに、主体間連携の促進を図るべきと主張した。

事業者・事業者団体等のヒアリングから②
プラ容器包装のそれぞれの手法の優位性と製品プラの組み入れを主張

今回の見直し審議ではプラスチック製容器包装リサイクル手法の確立が焦点の一つとなることが予想されたことより、再商品化を行っている業界団体各手法の解説とともに、プラスチックのマテリアル事業者団体からは、質の向上や販路があることなどから現行の50%優先枠維持を主張。ケミカルリサイクル事業者団体からは、社会全体のコストの最小化ならびに環境負荷の低減に資するには、市場の自由競争に委ねるために50%優先枠を撤廃すべきと主張。また燃料化手法を行っている事業者団体からも公平な競争入札の要望が出された。さらにいずれの再商品化の事業者団体からは再商品化するための量的拡大が要望され、小売業界からはさまざまな省資源への取り組みの紹介とともに店頭回収への評価がほしいといった要望が寄せられた。

容リ法見直し審議に向けて

それぞれの主張を乗り越えて、合意形成できるのか?

今回の容リ法見直しの第1回合同会合では、「一般廃棄物排出量の減少」「一人あたりの排出量の減少」「容積比において一般廃棄物中の容器包装廃棄物の割合減少」「最終処分場の延命化」などが明らかとなった。各主体の努力などもあり、容リ法の制定が一定の効果をもたらしたと評価しているようだ。ただし社会全体のコスト最小化や環境負荷の低減に寄与したか数値的データでの検証も必要であろう。また前回の見直しで、主体間の連携協力の促進が明文化されたものの、この点において進展したのかについては、今後の総括評価を待たなければならない。

関係者からのヒアリングでは、それぞれの立場での取り組みの紹介と主張がなされた。主な主張として、①役割分担、②費用負担、③拠出金制度、④プラ容器包装等の分別方法、⑤プラ容器包装の再商品化のあり方、⑥多様な回収についてなどがあげられ、立場の違いにより対立した主張がなされた。

対立した主張が並行してなされるならば、合意形成はおぼつかない。今後の容リ法見直し審議では、情報共有と相互理解を図り、連携協力する姿勢で合意形成を目指していくべきで、そのための参考としての意見を記したい。

まず消費者・自治体・事業者・国など、それぞれの主体には権利と責任がある。初めて拡大生産者責任という政策的手法とともに、役割を分担することが導入され、今日まで継続している。このことは、社会全体のコストの最小化ならびに環境負荷の低減に資するとのことであったことより、現行の役割分担は堅持するべきであろう。

費用負担の見直しについては、まず自治体はさまざまな便益を含めて費用明細を明らかにした上で、社会的に不公平か否か検討していくのが道筋であろう。ただし費用負担見直しとは別に、事業者による再商品化のために、市町村は分別収集で協力していることでもあり、事業者は市町村の分別収集・処理保管のコスト最小化ならびに質の向上につながる再商品化に資するよう情報提供・啓発広報ならびに支援などの連携協力を行うべきであろう。

今回の見直しでは、プラスチック容器包装(プラ容器包装)に係る分別収集を含めて再商品化のあり方が大きな論点一つとして取り上げられており、さまざまな課題を内在している。びんや缶は、容リ法が制定される以前から、関係者の協力連携で仕組みがつくり上げられてきた。そもそも近年出てきた「容器包装プラ」とは何かの理解が社会において不足しているのではないだろうか。すべての関係者がよく理解をした上で、最善の分別方法や再商品化の在り方を検討していくべきであろう。

終わりに今後の見直し審議においては、まずデータなどに基づいた情報を共有し、各主体が相互理解に努め、連携協力する姿勢で臨むことを期待したい。