スチール缶リサイクル協会が協力・支援している「全国まち美化連絡会議」では、毎年、全国各地での清掃活動やまち美化活動を調査。自治体が関与している取り組みの中で特徴的な事例を中心にまとめた「まち美化調査報告書」を発行しています。今回は平成25年度に実施した全国の調査報告の中から、現地調査を行った市区の取り組みをご紹介します。

全国810市区にアンケート 回答率88.1%

例年どおり、平成25年度も一斉清掃や地域での清掃活動、まち美化活動など、全国各地でさまざまな取り組みが行われた。地域住民や民間団体が主体となったもの、自治体との協働による取り組みなど、各地域で行政と住民、事業者が議論して知恵を出し合った事例が数多く見られた。自治体へのヒヤリングは、スチール缶リサイクルや美化活動の実態把握を目的に、スチール缶リサイクル協会が平成24年6月に実施した自治体アンケートの美化に関する内容をもとに行われた(全国810市区へ郵送、回答数714市区、回答率88.1%)。

その結果、「地域内のクリーンキャンペーン」として、毎年全市区で一斉清掃を行っているところは多いものの(66.1%)、3回以上行っているところは24市にとどまった。また全市的な視点から、行政・市民・事業者が協働して清掃活動を行っている市は196にのぼった。

ヒヤリングなどの事前調査をもとに現地調査を実施

郵送によるアンケートとあわせ、市のホームページなどを使った予備調査の結果、取り組みの概要が把握しやすい自治体に電話ヒヤリングを実施。その後、最終的に平成24~25年度にかけて7ヵ所の現地調査を行った。ここでは平成25年度に現地調査を実施した4市の取り組み、および追加ヒヤリングを行った富士山の美化活動を紹介する。

大分県豊後高田市

ウォーキングで美化・健康の一挙両得

毎年5月30日を「ごみゼロぶんごたかだの日」として、一斉清掃と美化功労者を表彰するイベントを開催している。「ごみゼロぶんごたかだ条例(平成23年度改正制定)」のもと、市の中心部を「ごみゼロ推進重点地区」に定め、ポイ捨てやペットのふん、路上喫煙、自販機への回収容器設置の不備に対して5,000円の過料を科すほか、新設された「ごみゼロGメン(約40名、市が選任)」が月3回、市内の美化パトロールを行っている。

また今年は、県が進める「ごみゼロおおいた作戦」10周年を機に、各市がリレーでごみ拾いを行う美化イベント「ごみゼロキャラバン」が開催され、県北ルートにあたる同市は、11月に「GOMIゼロウォーク」を実施。日ごろから活動している「健康ウォーキング」と連携してごみ拾いを行い、約300名が参加した。

栃木県小山市

自然とまちを守るイベント型の一斉清掃

ラムサール条約※ で湿地に登録されている渡良瀬遊水川の支流、思川が中央部を流れる小山市。ボランティア団体、市のボランティア職員による市民の自主的な清掃活動を推進しており、国土交通省(渡良瀬遊水地クリーン作戦)、県(年2回、256自治体)、元ダイエーホークス監督・王貞治氏を実行委員長とする「ふるさと清掃運動会」(秋、思川の河川敷周辺清掃)などが、イベント型の一斉清掃を行っている。

また、小山市廃棄物減量等推進委員(約500名)が、市長の承認のもと、収集所のごみ排出方法や管理、分別方法の指導と協力要請、ごみ減量に関する啓発活動、資源ごみ回収団体の育成・指導など、幅広い取り組みを展開している。

※1971年制定。水鳥の生息地として重要な湿地の保存に関する国際条約。

福島県会津若松市

2つの課で独自の美化活動を推進

ポイ捨て、犬のふん、放置自転車などの美化について、複数の課が連携して取り組んでいる同市は、「クリーン鶴ヶ城作戦」(環境生活課)や、福島県の取り組みの一環として4ヵ所の重点区域を清掃する「クリーンふくしま運動」(廃棄物対策課)、毎年調査データをもとに地区の清掃・啓発活動を行う「ポイ捨て・犬ふんマナー」(環境生活課)を実施している。

また、「生活環境保全等に関する条例」に、ポイ捨てや犬ふん放置の悪質な違反者に対し2万円以下の罰金を科す条文を盛り込み規制を行うとともに、清掃指導員や生活環境保全推進員、不法投棄監視員を配置し市民によるパトロールを実施したり、美化に関する各種協議会を支援するなど、市民の自主的な環境美化活動の推進に取り組んでいる。

大阪府高槻市

年2回の「環境美化推進デー」を軸に活動

美化条例(高槻市まちの美化を推進する条例)に基づき、春・秋の年2回「環境美化推進デー」とし、市民等、事業者、団体、市の協働事業として、市内の一斉清掃を行っている。春は市内5カ所に拠点を設け、地域での清掃を併せると約4万人が参加した。秋には「歴史回廊クリーン作戦」として、歴史ある高槻の街並みを楽しみながら清掃をしてもらうため6コースを設定した。CSRの一環として環境美化推進デーに参加している企業も多い。

また昨年の4月に、「高槻市まちの美化を推進する条例」の一部を改正して、指定区域内での喫煙を禁止した条例を施行。これまでのごみのポイ捨て禁止と併せた啓発活動を行っている。

富士山

世界文化遺産として誇れる景観を

平成25年6月、ユネスコから世界文化遺産に登録された富士山では、4つの登山口(静岡県と山梨県)を中心に清掃活動が行われている。2県では各登山口の利用者数に合わせた活動をそれぞれ展開。山梨県では「富士山をきれいにする会」が毎年2回、年間約23万人と、最も登山者数が多い吉田口・河口湖口の5~6合目で「富士山環境美化クリーン作戦」を実施している。

一方、静岡県では「富士山をいつまでも美しくする会」が、3つの登山口ごとに5合目付近の清掃活動を行い、8月の合同実施日以外にも各口独自の清掃活動を実施するほか、各ボランティア(ふじさんネットワークなど)による多彩な清掃活動を展開している。また、1998年に設立された「NPO法人 富士山クラブ」は2県にまたがる清掃活動や、環境学習の取り組みを行っている。

こうした取り組みや登山者のマナー向上により、現在5合目以上の美化はかなり進んでおり、現在は各団体を中心に、自動車の乗り入れが可能なためポイ捨てや不法投棄が多い5合目以下の清掃活動も行うとともに、外国人観光客向けの啓発活動にも力を入れている。

 

1996年11月、神戸市で地域の美化活動に携わる市民グループ、自治体の美化担当職員、飲料メーカーなどの企業関係者が一堂に会した「第1回全国まち美化シンポジウム」が開催され、その席上で美化活動に関する議論と情報交換を継続的に進める場として「全国まち美化連絡会議」が設立されました。スチール缶リサイクル協会では、連絡会議設立後の運営支援をはじめ、毎年開催される「全国まち美化シンポジウム」への協賛や、全国まち美化の調査支援を積極的に行っています。