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「STEEL CAN AGE」Vol.32 大東 めぐみ

Vol.32 大東 めぐみ号
2014年8月発行

消費者の皆さんも食品の安全を守るリスクマネジャー

姫田 尚氏

食品や飲料の安全を守るための考え方や仕組みについて、食品安全委員会の姫田尚事務局長にお話を伺った。

2003年に食品安全基本法が制定されたのに伴い、食品衛生法および農薬取締法も一部改正され、新しい食品安全の取り組みが行われています。この新たな食品安全行政は「リスク分析」という考え方を基本としています。

リスク分析とは、Codex(FAOとWHOにより設置された国際機関)により提示された考え方です。これまでは検査することにより安全性を確保しようとしてきましたが、このような後始末ではなく、事故が起きる前に、有害性の程度やその起きる可能性を科学的に予測する「リスク評価」を行い、その結果を基にしてリスクをなるべく小さくするための対策を実施する「リスク管理」を行うという考え方です。食品安全委員会は、規制や指導などのリスク管理を行う厚生労働省や農林水産省など関係行政機関から独立し、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関として、2003年、内閣府に設置されました。

食品は人に有益であると同時に、健康に悪影響をもたらす可能性があります。それぞれの食品が有益か悪影響を及ぼすかは量で決まります。そこでリスク評価は、例えば、残留農薬や食品添加物については、どのくらい食べても安全なのか1日あたりの摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)で示します。ADIとは、人が生涯にわたり毎日摂取しても健康上の問題が生じない体重1kgあたりの量で、原則的に動物実験で毒性が認められなかった無毒性量の100分の1の値で設定します。食品安全委員会はこれまで1,600件超のリスク評価を実施し、食品の安全を守る一翼を担ってきました。

我が国では毎年10人程度の方が食中毒により死亡していますが、そのほとんどは、サルモネラや腸管出血性大腸菌のような微生物によるものや、キノコなどの中毒によるもので、残留農薬や食品添加物によるものは1件もありません。コールドチェーンやHACCPの普及などとともに、農場から食卓にわたるフードチェーンにおいて、生産・加工・流通・販売それぞれの段階で関与する人たちが責任を持って、食品の安全を守る取り組みをしっかり行うことが食品の安全性を向上させることです。

食品は私たちにとって欠くことのできない糧を与えてくれます。しかし、どんな食品も100%絶対安全ということはあり得ません。食べ方や量が適切でないと健康に悪影響を与える可能性もあります。消費者の皆さんにとって大事なことは、特に錠剤や粉末のサプリメントはリスクが高いので、サプリメント等に頼らないで、食卓まで安全に届けられた食品をご自身でしっかり衛生的に管理して、バランスよく食べることです。そういう意味で皆さんも食品の安全を守るリスクマネジャーの一員なのです。(談)

農場から食卓までの安全確保の徹底

 

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