ロボットが目の前でしゃべったり、動いたり、考えたりしながらスチール缶、アルミ缶、ペットボトルを分別していく。そんなロボットを使って、八尾市立リサイクルセンター学習プラザ「めぐる」では、保育所や幼稚園、小学校の子どもたちが楽しく3R(発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル))推進の大切さを学ぶ体験学習を実施している。

遊びながら楽しく学ぶ

大阪府の東部中央に位置する八尾市では、家庭系ごみの8種分別・指定袋制を全市域で実施するなど、3Rの推進を図り、循環型社会の構築に取り組んでいる。その一環として、2009年に八尾市立リサイクルセンターを建て替え整備し、環境学習の拠点として八尾市立リサイクルセンター学習プラザを開設した。

学習プラザはNPO法人グラウンドワーク八尾が管理運営している。グラウンドワーク八尾は、環境の保全・文化の振興・子どもの健全な育成を重視した地域社会の形成に寄与する活動を行っており、その一環として学習プラザの指定管理者に応募し、市議会の議決を得て2013年度から管理運営を担当している。

学習プラザの愛称「めぐる」は、市民の公募により選ばれたもので、いろいろな資源がめぐり活かされるとの願いが込められている。学習プラザは市の教育委員会と連携し、小学4年生を中心に環境教育を実施する場として活用されている。2013年度には市内外の保育所や幼稚園、小・中学校41学校園3,111人が訪れた。その子どもたちを環境ロボット「めぐりん」が出迎えている。

環境ロボットは八尾市内の中小企業14社で構成されるマテック八尾ロボット分科会が中心となり開発した。骨格部と外装部をマテック八尾が製作し、制御系・音声処理系の開発をマテック八尾と交流のある奈良先端科学技術大学院大学の学生たち、デザインを造形作家のすずきゆきひろ氏が担当した。

「子どもたちに楽しく学んでもらうために、遊びの要素を持たせようと考え、環境ロボットを発案しました。収集された資源物がリサイクルセンターで分別され、資源化されていることを理解していただくマスコットとして活躍しています。ごみに対する意識を高め、大人になっても3Rを実践してもらおうという長期ビジョンで展開しています」(八尾市・柏原孝至さん)

「ロボットが動くだけで子どもたちの集中力が高まります。そして自己紹介のあいさつをすると、あっという間に学習の世界に引き込まれていきます。ごみ分別のロボット遊びをした子どもたちは楽しかったことを親に話します。子どもを通して大人の啓発にもつながっています」(グラウンドワーク八尾・小林昇さん)

ものづくりと環境教育のコラボ

環境ロボットは、左右のハンドを使ってスチール缶、アルミ缶、ペットボトルを分別する。ハンド部には歪みセンサーが搭載されており、容器をつかんだときのわずかな変形を計測することで種類を判別している。右手で容器を持ったときは首を右に、左手のときは首を左に振り、一生懸命に考えているような仕草で15秒くらいかけて回答する。さらに音声認識・合成ソフトを実装し、音声で判別の指示を受けたり、子どもの質問に答えたり案内をしたりすることができる。かなり高性能なロボットだ。

「八尾に新しい産業を創らなければ、私たち中小企業の生きる道はない。そんな危機感から将来のお茶の水博士を育てよう!と意気込み、ロボット分科会を立ち上げました。まず八尾市役所の皆さんや奈良高専の先生方のご協力のもと、教材用ロボットをつくりロボット教室を開催しました。その活動に市の清掃担当者が興味を持っていただき、環境ロボットを発注してくださいました。3Rの推進はもちろんのこと、ロボットがどんな仕組みで動き、どのようにつくられているのか、私たちのものづくりにも興味を持ってくれる人材の育成につながっていくことを願っています」(マテック八尾・温川政佳さん)

八尾市は3,000を超える多様な業種の製造事業所が集まる一大産業集積地で、大阪市や堺市に次いで大阪府内で3番目の製造品出荷額を誇る、ものづくりのまちだ。環境ロボットは地元のものづくりの技術と環境教育のコラボレーションによって誕生したのだ。

環境の情報発信基地

八尾市のごみ減量化は着実に進んでいるが、資源化率を見ると15.8%(2012年度)で、近年は15?16%で推移している。資源化率は大阪府内でほぼ中位のレベルにあり、さらに努力を重ねていく必要があると市では分析している。

「たくさんの子どもたちがめぐりんと友達になって、家庭でお父さんやお母さんと一緒に3R推進に取り組んでいただく。そんな循環型社会の実現に向けて、学習プラザが中心的役割を果たせるように、今後ともさまざまな環境啓発事業を展開していきます」(八尾市・柏原孝至さん)

「2014年10月から環境問題の先生方を招き、大人向けの環境講座“環境楽校”を開講しています。指定管理事業者として自主事業を展開し、子どもから大人まで環境問題を学べる情報発信基地として学習プラザを運営していきたいと考えています」(グラウンドワーク八尾・小林裕五さん)