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「STEEL CAN AGE」Vol.33 林家 たい平

Vol.33 林家 たい平号
2015年2月発行

海に潜れるダイバーだからできること

NPO法人「三陸ボランティアダイバーズ」は、東日本大震災で被災した三陸沿岸部の復興を目的に、北は岩手県宮古市から南は宮城県石巻市まで、50カ所以上の海の瓦礫撤去を行うとともに、復興しつつある海の現状を社会に発信している。岩手県出身のダイビングインストラクターで代表を務める佐藤寛志さんは、震災時のことを振り返る。

「その日、私はタイでダイビングスポットを回るクルーズ船の上にいました。ラジオ、テレビから流れてくる映像に、これは大変なことが起きたと、すぐに家族と連絡をとったところ、交通機関も麻痺しているので安全なそこにいればいいと言われました。判断を迷っていたときに背中を押してくれたのがタイのダイバー仲間たちでした」

タイでは2004年のスマトラ島沖地震で甚大な被害を受け復興してきた経験があり、すぐに必要な物資を届けるために、佐藤さんの帰国を支援してくれた。

「帰国後すぐに、花巻の実家を拠点に全国各地、そしてタイをはじめ世界中のダイバー仲間から支援物資を送ってもらい、被災地に届けました。私は震災以前から大船渡市綾里(りょうり)漁港に注ぎ込む綾里川で鮭の遡上を観察するサーモンスイムを行ってきたのですが、その川も海も瓦礫だらけで、自分も何かできないかと思っていたところ、そのサーモンスイムでお世話になってきた大船渡市綾里漁港の漁師である亘理(わたり)孝一さんから『この瓦礫をなんとかしたい』と相談されました。そこで海に潜れるダイバーだからこそできる海中の瓦礫撤去を4月から開始。震災から1カ月が経過し、警察などによる行方不明者の捜索にも邪魔にならないと判断しました」

瓦礫だらけの海では、ダイバー自身の安全確保も困難を極めた。ヘドロが堆積するなか、ロープを持って潜ったダイバー1人に対し、岸では数人がロープを持って瓦礫を引き上げる。大きな瓦礫は漁船のクレーンを使って引き上げたり、ロープでだめならネットに集めて回収するなど、試行錯誤しながらの作業だった。固く締め上げるロープの結び方は漁師の皆さんに教わった。

「この作業は、漁師さんとの二人三脚でないとできません。やはり地元の海を一番知っているのは彼らですから。特に重いものを引き上げるには船や重機を出してもらわないとできません」

これまで養殖が盛んでダイバーの少ない三陸では、漁師から「ダイバー=密漁者」という目で見られることが多かった。しかし、共同作業のなかで徐々に信頼関係が築かれていった。里海として皆で一緒にいい海を育てていこうと、磯焼けを引き起こす巻貝やウニの仲間を駆除したり、別の場所に移植する活動も行っている。

※磯焼け:コンブやワカメなどの海草類が失われ、海が不毛の状態になること。

マレーシアでの買い物ゲームの様子


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