缶飲料を開けると、飲料のおいしい味や香りが広がります。それは飲料工場で厳選された素材を使って衛生的につくられ、スチール缶に閉じ込められた飲料の封印を解く瞬間と言えます。つまりスチール缶は飲料のおいしさを守るタイムカプセルのような役割を果たしているのです。容器として味を保持することは当然のこととして飲料の安全を守るという視点から、素朴な疑問に答えます。

優れたバリア性

Q1

缶飲料って賞味期限が意外に長いので、びっくりしました! どうして長期保存できるの?

A1

スチール缶が長期保存に耐える強度を持っているだけでなく、中身の風味や品質が変わらない優れたバリア性を誇っているからです。

解説

 

スチール缶は光や空気、水を通しません。光を通さない遮光性は、紫外線による飲料の変質や酸化による品質低下を防ぎます。また空気や水を通さない密封性は、外から細菌が入る可能性も遮断し、飲料工場で衛生的につくられた飲料の品質を守っています。

1910~12年、イギリスのロバート・スコットが南極を探検しました。ノルウェーと人類史上初の南極点到達を競ったものの2着に終わり、帰路に遭難した悲劇の探検隊が携帯した缶詰が数十年後、雪に埋もれて発見されました。缶詰の中身に何ら異常もなかったことから、スチール缶が長期保存に適した容器であることを証明するエピソードとして語り継がれています。

外敵の侵入を防ぐ

Q1

スチール缶はびんやペットボトルのように透明ではないから遮光性に優れているのはわかります。でも密封性に優れているのはどうして?

A1

二重巻締という技術によって優れた密封性を実現し、細菌などが缶の中に侵入するのを防いでいます。

解説

 

二重巻締とは、缶蓋のカール部(折り曲げた周縁部分)を缶胴のフランジ部分(周縁を外側に折り曲げた部分)にかぶせ、ロールによって巻き込むように圧着して、缶胴と缶蓋を接合する技術です。缶蓋の部分と缶胴の部分がそれぞれ二重になることから、二重巻締と言われています。

 

缶飲料や缶詰の製造工程で最も重要な工程の1つで、空気や水、細菌などの缶内への侵入を完全に防いでいます。二重巻締による密封は、スチール缶に中身が充填されてから巻締機によって自動的に行われています。そして缶の中が真空状態になるようにホットパックや炭酸ガスを封入し巻き締めされ、製品となっています。

危険を察知できる

Q1

スチール缶は中身が見えないので、飲料が腐っていたら、飲むときにおいで気づくしか方法はないですよね?

A1

万一菌が増殖しても、スチール缶なら事前に危険を察知できます。

解説

 

菌の増殖する可能性のある飲料は、健康危害を及ぼす病原微生物の生育を防止する目的で、特に強力な毒性を持つボツリヌス菌を死滅させる高温・高圧の殺菌条件が設定され、殺菌されています。

 

スチール缶は菌が増殖(腐敗)した場合、缶胴・底(蓋)が膨れる現象が現れ、見分けることができます。さらに缶の底(蓋)を叩いて音を感知し、不良の有無を判断して市場への流出を防ぐことができます。製品全数の良・不良が判断できる技術が確立されており、これを打検と呼んでいます。

強くて丈夫

Q1

殺菌と打検がされた缶飲料は安心して飲めるけど、そのためには容器が相当頑丈でなければいけませんね?

A1

スチール缶なら容器の強度が高いので、過酷な温度や圧力条件に耐えることができます。

解説

 

 

ボツリヌス菌が増殖する恐れのある飲料は、高温・高圧下で殺菌されています。殺菌は容器に充填されたあと行われるため、飲料缶にかなりの強度が求められます。また打検をするためには缶の中を真空にする必要があり、缶が凹もうとする力に耐える必要があります。薄くても強い鉄を素材にしたスチール缶は、他の容器と比べて強度が高く、構造的にも十分耐えられる特性を持っています。缶の中が真空で打検ができる飲料缶はスチール缶だけです。

 

このように中身を長期間守り、安全を保証して消費者に届けられるスチール缶は、ジュースからコーヒー、炭酸飲料、ビールなどのアルコール飲料まで、さまざまな飲料の容器として幅広く使われています。

なおキャップ付きの缶は、飲み残しによって容器が破裂することがあります。これは開缶後の中身が空気中や口飲みなどから混入した菌によって腐敗し、内圧が上昇したためです。購入の際は飲みきれるサイズを選び、残ったら冷蔵庫に入れ、早めに飲みましょう。

s