若狭和田海水浴場

福井県高浜町の若狭和田海水浴場が、2016年4月14日に環境保全などの基準を満たした海岸に与えられる国際環境認証「ブルーフラッグ」をアジアで初めて取得した。世界に誇れる美しい海を守り育てるため、地元住民や海を愛する人たちが長年、清掃活動を続けている。

ブルーフラッグ取得が求心力に

高浜町は人口1万人で、京都府舞鶴市と接した福井県の西の玄関口に位置し、若狭湾を中心に形成された自然豊かな海辺のまちだ。若狭和田海水浴場は若狭湾国定公園のほぼ中央に位置し、日本海でも屈指の透明度の海と広い白砂が美しく、環境省指定の「快水浴場百選」に選ばれている。毎年夏には京阪神地区からの海水浴客でにぎわい、最盛期は約120万人が訪れる西日本有数の海水浴場であった。しかしレジャーの多様化などの影響を受け、現在は約21万人にまで減少している。

「ビーチで発生するごみは、近隣のまちや海外から漂着するものや、海水浴客の皆さんが高浜町以外で購入し消費されたものが多く、なぜ私たち地元住民が清掃しなければならないのかという不満を抱くようになっていきました。その一方、この美しい海を守り育て、子どもや孫の世代に引き継ぎ、高浜町を活性化させたいという願いもあります。ですからブルーフラッグ取得に向けた取り組みは大きな求心力になりました」(若狭和田観光協会・今井満さん)

ブルーフラッグは1985年にフランスで誕生し、国際NGOの国際環境教育基金(本部・デンマーク)が認証を審査している。現在、欧州を中心に世界50ヵ国約4,000ヵ所のビーチが取得している。認証取得のためには、すべての人が安全に利用できること、水質がきれいであること、海水浴場と周辺が清潔であること、十分な監視員と救急設備があることなど、33項目の基準を満たさなければならない。

海水浴客がビーチ清掃

高浜町は2014年度からブルーフラッグ取得に向け本格的に動き出し、環境教育の推進、分別回収ボックスやトイレの設置、バリアフリー化などに取り組んだ。

ビーチ清掃については、従来どおり年間を通して、観光事業者だけでなく地域住民ら有志が主体となって行っている。漂着ごみには発泡スチロール、プラスチック製のブイ、ロープ、漁網、ペットボトル、プラスチック製品などが多い。若狭湾はリアス式海岸であるため、入り江の若狭和田海水浴場は漂着ごみの溜まり場となってしまう。回収した漂着ごみは、漂流中に塩分や海棲生物が付着しているため、産業廃棄物として高浜町が処理している。

ビーチには浜茶屋(海の家)前にごみ回収ドラム缶と、3ヵ所に分別回収ボックスを設置した。分別回収ボックスは缶、びん、ペットボトル、燃えるごみの4分別で、海水浴客に家庭と同じように分別排出を促している。回収されたごみは高浜町が収集し、スチール缶はしっかりリサイクルされている。

さらに海水浴期間中の毎夕、ライフセーバーが中心となって海水浴客にビーチ清掃やごみ持ち帰りへの協力を呼びかけており、提供されたごみ袋や清掃用具を手に、若者や家族連れなど大勢の人たちがビーチ清掃に参加している。大型専用重機(ビーチクリーナー)を導入しているものの、やはり打ち上げ花火の破片やたばこの吸い殻などの細かいごみは回収しきれないため、人手が欠かせない。

まち活性化への挑戦

ブルーフラッグ認証を取得した若狭和田海水浴場には、遊泳区域や施設の位置がわかる情報掲示板が設置され、サインなどの設備や浜茶屋なども含めて心地よいビーチ環境づくりが進んでいる。ブルーフラッグは毎年認証の更新が行われる。1度認証を取得すれば終わりではなく、認証基準を満たす取り組みを継続していかなければならない。

「長年の積み重ねがなければ、2年という短期間で認証は取得できなかったと思います。その効果を地域で実感できるようになるまでには課題があります。地元観光事業者によるブルーフラッグにふさわしい商品・サービスづくり、子どもたちへの環境教育プログラムを継続運用できる体制づくり、地域住民の海に対する関心の高揚など、まち活性化への壮大な挑戦は始まったばかりです。ブランド価値の向上を目指して、高浜町ならではのビーチ文化を構築していきたいと考えています」(福井県高浜町地域おこし協力隊・高田新平さん)