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STEEL CAN AGE

CLOSE-UP

全天候型持ち込み分別回収ステーション

可児市エコドーム
地域社会のライフサイクルにあった資源リサイクル

岐阜県可児市では、利用者が自動車などで直接資源物を持ち込む全天候型の分別回収ステーション「可児市エコドーム」を設置し、地域社会のライフスタイルにあった効率的な資源リサイクルを推進している。

リサイクル事業の拡充を図る

可児市は名古屋市のベッドタウンとして住宅団地が造成されるとともに、自動車関連産業が集積し、10万人を超える中濃地域の新興都市として発展している。人口増加による都市化の進展は、可児市にも廃棄物の増大化をもたらした。

ごみ減量化を図るため、可児市は食品容器包装の分別収集を1998年度から開始し、現在では地域のリサイクルステーション518カ所で拠点回収を月1回実施している。一方、PTAや子ども会、市民団体によるリサイクル資源の集団回収も盛んで、33団体が缶類、紙類、ビン類、繊維類を対象に年間100回あまり行っている。こうした中、可児市はリサイクル事業のさらなる充実を図るため、可児市エコドームを建設し、2006年12月から運用を開始した。

エコドーム建設の経緯について、可児市の木村幸司さんは次のように話す。

「以前はJR可児駅の西側にある市総合会館分室の駐車場で、毎月第4日曜日に持ち込み資源回収を市民団体が行っていました。多くの利用者が訪れ好評だったのですが、周辺住民からは次第に騒音や渋滞の苦情が多く寄せられるようになり、渋滞によって踏切内で利用者の車が立ち往生し、電車を停めてしまう事故まで発生しました。また、総合会館分室は選挙の投票所になっていて、投票日と開催日が重なることがあります。会場が使えず開催できないと、翌月は激しい渋滞を引き起こすという悪循環に陥りました。さらに開催日に雨が降ると、屋根がないので利用者も運営スタッフも大変です。こうした理由から、市はエコドーム建設を決断しました」

■表/可児市エコドームの回収量(2008年度実績)

品目 回収量(kg) 備考
スチール缶 7,080
アルミ缶 3,380 缶類合計 10,460kg
ビン類 36,690 無色 20,060、茶 10,820、
緑 2,430、その他 3,380kg
生きビン 2,208
ペットボトル 8,450
段ボール 61,180
新聞紙 94,770
雑誌・雑紙 127,217
紙パック 2,085
紙容器 16,010
折込チラシ 90,640 紙類合計 391,902kg
トレイ・発泡スチロール 1,990
廃食用油 1,525 単位:リットル

 

福祉政策と連携し、運営を知的障害者施設に委託

エコドームは可児工業団地の一角に立地し、2,500平方メートルの敷地内に軽量鉄骨テント構造の平屋建て480平方メートルのドームと30台分の駐車場が設けられている。

開催頻度は2009年5月、これまでの月2回から月6~7回(毎週火曜日と第2・4日曜日)へと拡大した。

回収品目は8品目。飲料用ビン5種類(無色、茶色、緑色、その他の色、生きビン)、飲料缶2種類(スチール缶、アルミ缶)、ペットボトル、発泡スチロール・トレイ、紙類6種類(新聞紙、折り込みチラシ、雑誌・雑紙、紙パック、段ボール、紙容器)、廃食用油に加え、09年5月から古着類、同年9月から廃乾電池、蛍光灯、水銀体温計の回収を実施している。

回収手法は、施設に設置してあるネットやボックス、コンテナに利用者が資源物を投入し、資源物が溜まったら、運営スタッフがエコドーム裏手に運び出し保管。缶類やペットボトル、発泡スチロールは市収集運搬許可業者が即日処理、ビン類は市が運搬している。

運営体制は09年度に見直され、5月から第2・4日曜日を市一般廃棄物収集運搬許可業者、第1・2火曜日を可児市社会福祉協議会が運営する知的障害者通所授産施設「ふれあいの里可児作業所」にそれぞれ委託、第3・4・5火曜日を利用申請のあった障害者支援団体「特定非営利活動法人自立を支援する会そら」に使用許可を出している。

ふれあいの里可児の羽賀達也さんは、運営受託の意義を次のように話す。

「人と接することは仕事の励みになりますが、作業所の仕事の多くは下請けで、外部とのつながりが希薄になってしまいます。エコドームでは、知的障害を持つ人たちが作業していることを、利用者の皆さんがご理解いただき、『おはよう』『ご苦労様』と声をかけてくださいます。

市の福祉政策の支援のもと、エコドーム運営を受託できたことは、知的障害者の自立を促す良い機会となっています。利用者の皆さんとのコミュニケーションを大切にし、快適に利用していただけるように運営していきたいと考えています」

さらなる改善で効率回収

可児市のリサイクル資源収集量は、毎年ほぼ横ばいで推移しているものの、エコドームにおけるリサイクル資源の回収量は、市民に周知されたことによって、毎年増加傾向にある。

「開催頻度や回収品目を増やし利便性を高めた効果が現れています。最近は市に在住する外国人の利用が増えてきたので、表示ボードにポルトガル語、英語、中国語表記を加えるなどの工夫をしています。

今後はより快適に、より効率的に資源回収ができるよう改善を続けていくとともに、市民主体のリサイクル拠点として、エコドームのスペースを多目的に有効活用していくことも検討していきたいと思います」(木村さん)。

可児市はエコドームの利活用の充実を図り、今後とも分別収集の徹底によるごみ減量化と循環型社会の形成に向けた資源リサイクルを推進していく。