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高速道路のオアシスサービスエリアで発生するごみの資源回収

高速道路のサービスエリア(SA)は、トイレ休憩の利用だけでなく、名産品やご当地グルメなどを楽しめ、快適なドライブに欠かせない公共施設となっている。SAで私たち利用者が排出したごみは一体どのように資源回収されているのか。中央道談合坂SA(山梨県上野原市)での様子を紹介しよう。

 

利用動線に合わせてごみ回収ボックスを設置

高速道路のSAで発生するごみの資源回収状況を知りたくて、東名道や中央道といった大幹線の高速道路を管理・運営する中日本エクシス(株)に問い合わせた。「SAの商業施設内で排出されるごみは各テナント、SA 内のリサイクルボックスに捨てられたごみは中日本エクシスが、各SAで分別とリサイクルを進めています。それでは中央道談合坂SAをご案内しましょう」(中日本エクシス(株)若林俊二さん)

談合坂SAは中央道の東京側から最初のSAで、2011年に中央道初の複合商業施設としてリニューアルオープンし、特に週末や行楽シーズンには家族連れを中心に多くの利用者でにぎわう。車やバスからSAに降り立った人たちの流れを見ると、多くはトイレやごみを捨てにリサイクルボックスへと向かう。その後、商業施設に入ったり、自動販売機で缶コーヒーなどを購入する。缶コーヒーを手に急いで自分の車やバスへ戻る人たちもいれば、その場で飲み終え缶をリサイクルボックスへ捨てていく人たちもいる。

「コンビニのように店舗内にリサイクルボックスを置き、利用者のモラル向上とごみ減量化を進める対策も考えられるのですが、SAではお客様の利用動線に合わせてトイレ周辺など、わかりやすい場所にごみ種別のリサイクルボックスを集約設置しています。リサイクルボックスからごみがあふれないように、適宜バックヤードの処理施設に持っていき、手作業による分別を再度行い、ペットボトル、缶、びんは業者に委託してリサイクルし、可燃ごみや不燃ごみは自治体のルールに従って事業系一般廃棄物として処理しています」(中日本エクシス(株)武見将史さん)

談合坂SAでは、ごみ回収ボックスを下り側敷地内2カ所、上り側敷地内3カ所に設置し、ペットボトル、缶、びん、プラスチック・ビニール、紙くずなどの5分別回収を行っている。テロ対策の一環として中が見える構造になっているほか、投入口をごみの形状に合わせて混入防止を図っている。また飲み残しを捨てる専用ボックスを併設し、容器包装のリサイクルを推進している。年間回収量は259.1tにのぼり、その内訳は紙くずなど171t、ペットボトル33t、缶29t、びん18t、新聞・雑誌7t、その他1.1tとなっている。

 

旅行先でも家庭と同様に分別を

SAのごみ分別は家庭での分別排出が浸透し、ここ数十年で精度は飛躍的に向上してスチール缶など資源物のリサイクル率は高まった。しかし「日本流の分別排出に慣れていない海外からのお客様がここ数年大幅に増えた影響もあり、分別精度が低下傾向にあります。缶、ペットボトル、びんのリサイクル率100%達成を目指して資源回収を行っています。引き続き分別排出へのご協力をお願いします」と、談合坂SAのごみ処理・資源化施設を管理・運営する(株)高速保全・小宮繁さんは呼びかける。また高速道路を利用する前に、コンビニなどで購入した商品を車内で消費し、一般ごみとペットボトルなど資源物をレジ袋に一緒に入れ、縛った状態で分別することなくSAの紙くずなどリサイクルボックスに排出される傾向が根強いという。まだまだ高速道路利用者の協力は欠かせない。

「お客様アンケートを見ると、ごみリサイクルボックスへの要望が多く、配置をわかりやすくしたり、清潔に保つことの大切さを実感します。一方ごみ処理やリサイクルには費用がかかります。持ち込みごみ減量にご理解・ご協力いただくとともに、ハード面も改善して処理費を減らすことで、もっとお客様に多様なサービスを提供していきたいと思います」(中日本エクシス(株)池上嘉理美さん)

「家庭での分別意識が旅行先でも同じようにできると日本全体がもっと良くなります。SAは特に家族連れのお客様が多いので、ゲーム感覚で子どもたちに分別を学んでもらうなど、さまざまな団体と連携して将来を見据えた情報発信も必要かもしれません。道路インフラという公共性の高い仕事をしている中で、何らかの形で社会貢献していきたいと考えています」(中日本エクシス(株)久保圭吾さん)