3R推進団体連絡会の自主行動計画
容器包装のリサイクル八団体※1で運営される「3R推進団体連絡会」が、昨年度に引き続き3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進のための自主行動におけるフォローアップ結果を公表した。今回のメイン・レポートは、2008年12月の報告会で公表された、リサイクル八団体の連携による共同の取り組み、共通のテーマに基づく各団体の取り組みと、スチール缶リサイクル協会による個別の活動内容を紹介する。
※1容器包装のリサイクル八団体:◆ガラスびんリサイクル促進協議会◆PETボトルリサイクル推進協議会◆紙製容器包装リサイクル推進協議会◆プラスチック容器包装リサイクル推進協議会◆アルミ缶リサイクル協会◆飲料用紙容器リサイクル協議会◆段ボールリサイクル協議会◆スチール缶リサイクル協会
各団体とも着実に3Rを実践
事業活動における容器包装の3R推進については、2004年度を基準年次、2010年度を目標年次として、リサイクル八団体ごとに数値目標や取り組み目標などを立てている。
■リデュース(Reduce)
リデュースは地球資源保護の観点から優先的に取り組むべき事項として、循環型社会形成推進基本法に掲げられている。
3R推進団体連絡会では、「軽量化・薄肉化などによる使用量削減」と「適正包装の推進」にポイントを置いてリデュースを推進している。
軽量化・薄肉化を推進するにあたり、まずは容器包装に本来求められる品質の保持、運搬時の内容保護などの機能を損なわないようにすることが求められる。その上で、製造から再使用にかかるエネルギー使用量や温室効果ガスの増加を防ぐ必要がある。容器包装の各事業者は、技術開発と設備投資を強化し、2010年度の数値目標達成に向けて着実に取り組みを進めている(図1)。
■リユース(Reuse)
リターナブルびんの需要は、1995年の容器包装リサイクル法施行以前より減少傾向にあり、リユースのさらなる普及に向けて、消費者の意識喚起や新たなルート構築などが求められている。
具体的な取り組みとして、量販店におけるリターナブルびんの販売促進の可能性についての研究(ガラスびん)と、欧州を中心としたリターナブルペットボトルの動向についての調査研究(PETボトル)を推進中だ。
■リサイクル(Recycle)
2007年度のリサイクル率・回収率の実績を見ると、目標値をすでに達成している容器もあり、全体で見ても着実にリサイクル率は向上している(図2)。
また、事業者もリサイクル推進に向けた取り組みを強化している。容器の形状について、つぶしやすい容器包装の開発(紙製容器包装)、減容化可能容器や洗浄しやすい容器の研究・開発(プラスチック容器包装)、容器に貼るラベルの改善(ガラスびん)などを行い、リサイクル性向上のための技術開発に取り組んでいる。
自主回収の拡大・研究については、集団回収の調査結果公表、研究会の開催、民間団体への支援(スチール缶)、回収割合向上を目的としたアンケート調査(アルミ缶)、紙パック回収ボックスの配布(飲料用紙容器)、酒パックの店頭回収に協力しているリサイクル団体への支援(紙製容器包装)など、多岐にわたる取り組みを展開している。リサイクル八団体は洗浄・分別排出のための普及・啓発活動を継続し、今後も消費者、自治体の協力を得ながらリサイクルの推進を目指す。
リサイクル八団体共同による取り組み
3R推進団体連絡会では、事業者の自主行動計画推進と並行して、各主体間の意見交換を促進するためのフォーラムの開催、啓発の場としてのセミナーの開催、展示会への共同出展などさまざまな取り組みを展開してきた。
●フォーラムの開催
通算3回目となるフォーラムは「消費者・自治体との共同による容器包装リサイクルのよりよい未来をめざして」をテーマに、2008年10月6、7日に東京国際交流館(江東区)で開催、365名が来場した(写真1)。
初日は慶應大学経済学部教授の細田衛士氏による基調講演が行われ、その後「リデュース」「リユース」「分別収集」「多様な民間システム」「市民参加の実現」の5つをテーマに分科会が行われた。2日目は東京都港区にある港資源化センターや民間プラスチック処理施設などの視察、意見交換を実施、79名が参加した。
●セミナーの開催
2008年2月8日、2007年度第2回目のセミナーを神奈川県川崎市で開催。地域の「ごみ減量等推進員」や「市民会議、協議会、審議会委員」など地域で活動している方々の参加が多く見られた。参加者86名のうち、NPOなど市民の参加が半数以上を占めた。
●3Rリーダー交流会
2007年度より消費者と事業者のネットワーク構築を目的として「3Rリーダー交流会」を実施している。2008年度の交流会では、消費者側が過剰・無駄と感じている容器包装を具体的にリストアップし、事業者側からは容器包装の必要な機能を解説しながら、容器包装の適正化について話し合った。
●展示会への出展
毎年12月に開催される日本最大級の環境イベント「エコプロダクツ2008」にリサイクル八団体が共同出展した。
また2008年の「3R推進全国大会」(第3回)は、10月24~26日に山形国際交流プラザほかを会場に、環境省、山形県、山形市、3R活動推進フォーラムの主催で開催。同時に「やまがた環境展」へのブース出展を行った。
●ホームページの開設
2008年5月に3R推進団体連絡会がホームページ(HP)を開設。活動報告や、各リサイクル団体のHPへリンクできるようになっている(写真2)。
URL:http://www.3r-suishin.jp/
●AC支援による啓発
AC(公共広告機構)の2008年度支援事業として、3R推進啓発広告を7月から開始し、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の各媒体で展開している。ごみ問題に関心の薄い層への訴求効果が高い多様な媒体による広告を、事業者団体ならではの効果的な普及啓発活動と位置づけており、2009年度も引き続きACの支援を受け広告を展開する予定。
共通テーマに基づく各団体の取り組み
また3R推進団体連絡会は、以上の八団体共同の取り組みに加え、「各種情報提供や普及活動の推進」「調査研究活動」を共通テーマに、各団体による個別の取り組みも推進している。2007年度も多様な各種啓発活動、交流活動、調査研究活動を展開してきた。
情報提供と普及活動については、3Rポスター・リーフレットの新規作成・配布(ガラスびん)、広報誌の発行(PETボトル)、『3R改善事例集』の作成・配布(紙製容器包装)、自治体との意見交換会(プラスチック容器包装)、啓発小冊子の作成・配布、環境展での啓発(スチール缶)、アルミ缶回収の優秀校および協力者の表彰(アルミ缶)、地域会議、リサイクル講習会、出前授業の実施(飲料用紙容器)、各種イベントにおける広報活動(段ボール)などに取り組んだ。
調査・研究については、リターナブルびん利用促進モデル事業(ガラスびん)、自治体と3R連携研究会の開催(PETボトル)、組成分析などの現場調査(紙製容器包装、プラスチック製容器包装)、集団回収の現状調査・普及拡大(スチール缶)、リサイクルフローなどに関する調査(アルミ缶、飲料用紙容器)、3R事例収集やリサイクルマークの調査(段ボール)などに取り組んだ。
フォーラムやセミナーの開催、展示会への出展など、主体間連携による取り組みも3年目を迎え、これまで蓄積した経験を活かしてさらに連携を深化させていくための基礎ができつつある。また各団体が独自に展開する連携策も、3R推進団体連絡会の取り組みとの相互作用により活発化してきている。
3R推進団体連絡会は、2010年度の目標に向け引き続き3Rの取り組みを強化していくとともに、リデュース、リサイクルの進捗状況を示す指標についても、さらにデータの精度を高めるべく努力していく。
高水準を維持するスチール缶リサイクル率
2007年度のスチール缶リサイクル率は85.1%を達成し、経済産業省の産業構造審議会ガイドラインの目標値である、スチール缶リサイクル率「85%以上」を7年連続で達成した(図3)。
2006年度の88.1%と比較すると3ポイント低下したが、乱高下を繰り返した昨年の鉄スクラップの市況変動が背景にある。
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これは、缶スクラップの一部が破砕処理され付加価値を付けられて流通したため、缶スクラップとしてカウントされなかったことと、価格高騰を先見した業者による缶スクラップの在庫が拡大し、リサイクルに回らなかったことが理由としてあげられる。
しかし、依然リサイクル率は高水準(85%以上)を維持しており、全国的に分別収集システムが普及していることや、古くから無限循環資源として重要な素材に位置づけられ、再資源化のための受け入れ体制や循環システムが構築されていることが強みとなっている。
リデュースに関しては、日本製缶協会が設立した「スチール缶軽量化推進委員会」が軽量化を推進している。1缶あたりの平均重量で2%(2004年度実績比)の軽量化を目指しているが、2007年度は、主要4缶型※2の缶型構成変化の影響を除いた平均重量で1.08%/缶(0.39g/缶)の軽量化を達成した。2006年度実績が1.0%の軽量化達成だったため、前年度に比べ約0.1%軽量化したことになる。
軽量化推進は使用資源の削減効果だけではなく、輸送時の負荷低減(コスト、CO2)や、よりつぶしやすくなることでリサイクルの効率化にも寄与している。
※2:主要4缶型:202径の200ml、250ml、211径の280ml、350ml。この4種類でスチール缶総生産数の85%を占める。
継続が実を結ぶ、スチール缶リサイクル協会の活動
スチール缶リサイクル協会は、2005年度から全国数十カ所で集団回収の現状を継続調査している。
多様な回収の仕組みである集団回収の実態調査を行い、集団回収の優れた効果について、社会への情報発信を継続して実施している(写真3)。
これまでの調査結果を踏まえ、2007年度も協力のあった自治体関係者と研究会を開催、また情報公開のためのフォーラムを開催した。ここでの調査資料は、情報提供を目的に全国の市区へ配布された。
2007年度からは、経済産業省などの後援を得て「実践活動である集団回収を通じて、優れた環境学習に取り組む小学校への支援」を開始した。ここでは集団回収に取り組んでいる小学校を表彰・支援するとともに、これから始める小学校への集団回収に必要な物品などの提供を行った(写真4)。
2008年度からは、このキャンペーンを発展させて対象を中学校まで広げるとともに、商店会、PTA、子ども会などを対象にした「民間団体によるスチール缶集団回収への支援」を開始した。
集団回収の活動と並行して、従来からのスチール缶リサイクルの普及啓発活動にも積極的に取り組んでいる。
地域とタイアップした当協会の会員企業の事業所で開催されるイベントにおいて、環境意識向上のための普及啓発を行い、また、啓発用DVDを新規作成するとともにWeb配信を実施、当協会のホームページからも閲覧できるようにした。同じく啓発用の小学生向け小冊子『リサイクルといえばスチール缶』を増刷し、小学校や製鉄所見学者などに配布。さらに普及啓発用ポスターを新たに作成して全国に配布している。
一方、1973年の当協会(当時は「あき缶処理対策協会」)設立時に開始し長年継続してきた、全国の市町村で清掃および環境美化・リサイクルの普及啓発を行う「散乱防止・美化キャンペーン」は、現在まで開催場所は339カ所、開催回数は476回にのぼっている。
また、2004年よりWFPの事業の一環として、「世界の貧しい子どもたちへの食料缶支援」を行い、国内のスチール缶リサイクル重量に応じた支援を実施している。
さらに近年では、若年層へ向けリサイクルへの関心や環境への意識を深めてもらうことを目的に「スチール缶リサイクルポスターコンクール」を実施。全国の小中高生から環境保護やスチール缶リサイクルへの思いを込めた作品が数多く寄せられている。
スチール缶リサイクル協会では、3R推進団体連絡会の一翼を担い、引き続き他の七団体との連携を図っていくとともに、スチール缶業界における主体間連携による協力体制を強化していく。