3R推進で環境・資源制約に対応した 循環型経済システムの構築
前 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課長 岡田 俊郎氏
日本経済は大量生産・大量消費・大量廃棄の道をたどり、廃棄物は増大する一方となり、最終処分場の逼迫という環境制約に直面しました。特に家庭から排出される一般廃棄物のうち、容量で約60%を占める容器包装廃棄物の埋立による最終処分を回避することが喫緊の課題となりました。
こうした背景のもと、廃棄物の減量化と資源の有効活用を図ることを目的として、容器包装リサイクル法(容リ法)が1997年に施行された後、2008年には直面する課題の解決に向けた改正法も施行されました。その結果、一般廃棄物の最終処分量は、2000年度には約1,000万トンだったものが2009年度には約500万トンへと半減しました。また、容器包装のリサイクル状況を見ると、スチール缶のリサイクル率は2000年度に84.2%を達成し2009年度も89.1%という高い水準を維持しています。これは、消費者による分別排出、市町村による分別収集、鉄鋼メーカーによる再資源化というリサイクルシステムが早くから確立してきたことの成果です。一方、破砕・埋立処理されてきたペットボトルの回収率は34.5%から77.5%、プラスチック製容器包装vの収集率も61.3%へと大幅に向上しました。
このように、容器包装リサイクル制度については、その進展によって最終処分量の減少と最終処理場の残余年数の改善に一定の効果があったものと評価しています。また、スチール缶リサイクル協会におかれては、容リ法が施行される以前から率先してリサイクルに道筋をつけるとともに鉄鋼原料になっていなかったスチール缶のスクラップを規格化して鉄鋼業界が原料として受け入れることを可能にした功績は大きかったと思います。
しかしながら、一般廃棄物は微減がみられるものの、依然として高止まりの状況にあり、その中で容器包装廃棄物が占める割合もそれほど減っていません。今後、2008年に施行された改正容リ法による成果も踏まえつつ、容器包装リサイクル制度の見直しを行う必要がありますが、消費者・市町村・事業者の連携と役割分担に関する検証、リサイクルに加えてリデュース(廃棄物の発生抑制)とリユース(再使用)への一層の注力といったところが大きな論点になるものと考えています。
グローバルな視点で今後を展望すると、金属系資源や原油をはじめとする資源の枯渇に対する懸念などから、資源利用に対して国際的な枠組みで制約を掛けていく必要性や可能性について注視していく必要があります。それこそ、容器包装にどこまで資源を使うことを容認するのかといった厳しい議論も想定されるので、着々と準備を進めなければならないと思っています。
そこで、まず資源小国の日本としては、一度国内に入れた資源は何度でも大切に使うということを今まで以上に真剣に考えることが必要になってくるものと考えます。その中では、全体の方向性として、資源を品質低下なく循環させていく水平リサイクルを目指すことが不可欠であり、この観点から全ての関係主体を横断した仕組みを構築していくことが重要だと考えています。
また、リサイクルを所与の前提とするのでは資源使用量そのものの削減には限界があります。容器のさらなる薄肉・軽量化(リデュース)に内容物の安全・安心を確保する観点から限界があるとすれば、マイボトル、マイカップ、リターナブルビン等を含めた広範な選択肢の中でもっと積極的にリユースを活用していく手はないのかなど、さまざまな発想を出し合って、環境・資源制約に対応した循環型の仕組みの構築にチャレンジしていく必要があります。流通のあり方を多角度から捉え直しながら考えていけば、新たな仕組みを開拓していく余地はまだまだあるのではないでしょうか。(談)