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HAND IN HAND

原宿表参道に日本初
スマートリサイクルボックス SmaGO

JR原宿駅付近から青山通りに向けて全長約1キロメートルにわたりケヤキ並木が続く表参道。環境にやさしい街づくりを推進する商店街振興組合原宿表参道欅会は、国内外から集まる多くの来街者や地域住民などに対する取り組みの1つとして、2020年10月にloT技術を活用したスマートリサイクルボックス「SmaGO(スマゴ)」を設置した。

 

ソーラー発電と自動圧縮機能に注目

原宿表参道欅会が表参道の舗道に回収ボックスを初めて設置したのは約40年前のこと。一般的な街の回収ボックスが100リットル容器の2個セットであるのに対し、同エリアではその1.2~1.5倍の容量を回収できるタイプを13カ所に設置した。しかし、それでも毎晩1回の業者による回収では賄いきれず、日中に何度も容器の袋を交換していたという。

さらに、5年ほど前からはインバウンド客の増加とともに回収量が大幅に増加。昨今はタピオカ入りドリンクのブームもあり、プラスチック容器のポイ捨てや回収ボックスに入りきらず溢れてしまうほどの状態だった。

スマゴは本体の上部にあるソーラーパネルで発電し、回収ボックスが満杯になると自動的に圧縮するため、容量に対して約5~6倍の回収物を捨てることができる。また、3G回線を通じて回収量をクラウド上でリアルタイムに把握し、スマートフォンで確認できる。これにより、回収作業を効率化でき、CO2の削減が期待できる。回収ボックスの蓋は足元のペダルを踏んで開く非接触型のため、新型コロナウイルスなどの感染症を予防できるのもメリットだ。

「私たちが特にスマゴに期待したのは、ソーラー発電で溜まった回収物を自動で圧縮することでした。そこで、ケヤキ並木の葉が茂った真夏でも太陽光が十分に届くのかという点や、実際の圧縮能力を確認しておきたいと思い、まずは人通りの多い場所に2台設置して実証実験を行いました。その結果、年間を通じて課題はないことがわかり、日本で初めて正式運用を開始しました。現在の設置場所は13カ所で、一般可燃用21台と資源物(ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、びん)用13台の合計34台を設置しています。表参道は東京都道なので、好き勝手に台数を増やすわけにはいきません。そこで通りの安全性や駐車車両からの視認性などを加味しながら、回収量に応じて2台セットと3台セットを置き分けました。今はコロナ禍なので本来の量とは少し違うかもしれませんが、それでも毎晩、1カ所で150リットルの容器2個分がほぼ満杯になっている状況です」
(原宿表参道欅会・杉村総一郎副理事長)

 

回収ボックスをリサイクルの入り口に

高さ約1.3メートルのスマゴの前面には、一般可燃用と資源物用の区別が誰でも一目でわかるように、それぞれの図柄が描かれている。また森永製菓(株)の協賛により、チョコボールのキャラクターを活用した広告でラッピングされたスマゴも登場している。キャラクターをきっかけに興味を持つ若者たちや地域住民からも「かわいい」という声が聞かれた。スポンサーが付いたことによるメリットは活動費の面だけでなく、回収のイメージを変えることにもつながった。もちろんポイ捨てなども減少している。

「当会がスマゴを設置したのは、回収ボックスをリサイクルの入り口として自分たちで使ったものを戻すといった感覚を大事にしてほしいと考えたからです。リサイクルやSDGsへの関心を高めていただければ非常にありがたいと思っています」(杉村副理事長)