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STEEL CAN AGE

HAND IN HAND

2002年
夏休み親子リサイクル・ウォッチングレポートin名古屋
自分の目で見て考える・それぞれがつくるスチール缶物語に

毎年夏に行われている親子リサイクル・ウォッチング。今年、福岡と名古屋で開催された同イベントは、夏休み中の小学生とその保護者を対象に、スチール缶のリサイクルルートをたどることで身近な環境問題を体験していただきたいという願いから、スチール缶リサイクル協会が毎年開催してきた。1999年のスタートから今回の名古屋にいたるまで、開催地区は合計11箇所にのぼる。全国的に猛暑が続いた今年、開催当日の名古屋の気温は36度。暑い中にもかかわらず、50組100名の親子が参加された。

 

●8月1日(木)開催
●親子50組100名参加
●見学施設

○名古屋市港資源選別センター
○新日本製鐵名古屋製鉄所
●8月19日(月)9:50~10:05
テレビ愛知「夏休み親子リサイクル・ウォッチング~スチール缶物語~」
で当日の模様を放送

 

回収後のスチール缶の行方
 ~名古屋市港資源選別センター

「リサイクル問題に興味がある」「夏休みの自由研究に役立てたい」等、それぞれの目的を胸に参加された皆さんは、まず、名古屋市環境事業局:名古屋市港資源選別センターを訪れた。

このセンターでは、1994年から環境事業局の施設として名古屋市の委託を受け、名古屋市の西南部に位置する港区と中川区から集められた缶とビンの選別・再資源化が行われている。

あき缶は、資源センターに設置された磁力選別機によって、自動的にスチール缶とアルミ缶に選別される。スチール缶は磁石につくため、選別は非常にスピーディーに行われている。ビンはリターナブルビンとワンウェイビンに作業員によって選別され、さらにワンウェイビンは手作業で色別に4つに分けられる。

事前の説明で、選別の際に生ゴミが紛れていて困ったという事例を聞いていた子供たちは、機械の大きな音と臭いに驚きつつも、「中に余計なものが入ったままだと大変なことがわかった」「ごみを出すときにしっかりと分別しなければいけない理由がよくわかった」「これからは缶もビンも必ず洗って出します」と感想を語っていた。

 

再び鉄に生まれ変わるスチール缶
 ~新日本製鐵名古屋製鉄所

次に新日本製鐵名古屋製鉄所を訪れた。
同製鉄所は、名古屋市港資源選別センターで回収・処理されたスチール缶を受け入れ、製鉄用原料として利用し、再び鉄製品にしている。製鉄所はスチール缶リサイクルの拠点となっているのだ。

名古屋製鉄所は、積極的に環境保全に取り組んでおり、1996年、鉄鋼業として世界で初めて環境マネジメント規格ISO14001を取得したことでも知られている。

名古屋ドームの約130倍の広さを誇る敷地面積(623万m2)には、緑化政策の推進によって77万m2に及ぶ緑の森が広がり、資源の有効活用も積極的に行われている。「一つの街のようになっていて驚いた」「かくれんぼしたらどうなるだろう?」という声が上がる中、バスで製鉄所内を見学した。

運ばれてきたスチール缶はスクラップ化されてから、転炉に入れられ強い鋼へと生まれ変わる。一般に鉄として世の中に出ている製品は、この鋼を材料としたものである。溶けた鋼はスラブと呼ばれる半製品になる。スラブを圧延機で延ばし、さまざまなサイズと形の鋼板となって完成となる。つまり、スチール缶は溶かしていろいろな鉄製品に生まれ変わることができるのだ。

途中、製鉄用原料である鉄鉱石を運んできた専用船が停泊している原料岸壁や、スラブを運搬するキャリアカー等を見ながら、一行は1600℃の溶銑が流れる高炉と溶銑を鋼にする転炉を見学し、“灼熱の現場”を体感した。

見学後の感想として、「高炉のところで大汗をかきました」「炎がすごかった」「普段入れないところを見ることができて感激した」という声が数多くあがり、参加者に強い印象を残したようだ。

また、質問コーナーでは、子供たちの手が次々に挙がった。
質問内容は、「(鉱石ヤードで見た)赤い色をしていた鉄鉱石がどうして鉄の色になるのか」「製鉄所構内の道路や鉄鉱石置き場で水をまいていたのはなぜか」「転炉はあんなに高温の鉄を入れてもなぜ壊れたりしないのか」等。

実際に目で見て疑問に感じた事柄について丁寧な説明を受けることで、鉄という素材についても、より一層理解を深めていただいた。

 

あき缶を自分達の手でよみがえらせよう
 ~スチール缶リサイクル工作

また同日、自分達が飲み終わったスチール缶を使って工作を楽しんでみようということで、名古屋製鉄所内で工作教室が開かれた。『ガラクティスト』として子供向けクラフトを手がけるゴトー孟先生を講師に迎え、スチール缶で動物をつくった。

「学校の工作ではやったことがなかったから楽しい」「夏休みの宿題はこれで完ぺき!」「親子そろって犬をつくりました。面白かったです」。子供はもちろん、親御さんたちも作品づくりに熱中されて大いに楽しんでいただけたようだ。

工作を終えて夏休み親子リサイクル・ウォッチングの全てのコースが終了し、参加した子供達から次のような感想が寄せられた。
「学校の授業で学んだことを実際に見ることができてすごく勉強になりました」「スチール缶が鉄の製品になることがよくわかった」「スチール缶が、こんなに100%近くまでリサイクルされているとは知りませんでした」「今後スチール缶は必ずリサイクルするようにします」。

保護者の方からも「テレビで見るだけでは暑さや臭いまではわからない。実際に見学できてよかった」「リサイクルに携わっている人たちが多数いることがわかり、なお一層ごみの分別に努力しようと思いました」「子供だけの校外学習や親だけの視察と違い、『親子』参加というのはとても有意義でした」「家族では来る機会のない場所に連れて来てもらって大変よかったです」といった声が寄せられた。

今回の経験を通じて、参加者それぞれの胸には、スチール缶について、またリサイクルに対する認識について、新たな物語の1ページがしっかりと刻まれたに違いない。

 

福岡地区では以下のとおり開催されました。
●7月25日(木)開催
●親子50組100名参加
●見学施設

 ○クリーンパーク・東部
 ○新日本製鐵八幡製鉄所
●8月23日(金)9:55~10:50

テレビ西日本「ももち浜ストア」番組内で当日の模様を放送