子供たちの自然体験が、自然を愛し大事にする心を育てます。
赤や黄色のレインコートを着た、15人程の幼稚園児がハーブ庭園でにぎやかに遊んでいます。ドイツ・フライブルクのエコステーション・教育センターの光景です。
雨がやんで、フライブルクらしい明るい日差しの中で、色鮮やかなコスモスや夏の花がいつもより身近に感じられます。子供たちはインストラクターの話に耳を傾けながら、コンポストの中のミミズや小さな生物を興味津々に目をきらきらさせながら見ています。
「ミミズが土の中で食べられないものは何でしょう」と先生は話しています。しばらくすると、その中の3人がミミズを描いた絵を見せに来てくれました。とても可愛いミミズの絵でした。中にはミミズが土の中にいて、自分も地上にいて花や木も自分の周りの環境として描いているものもありました。子供たちにとって、ミミズは土壌の循環システムを助けてくれる友達です。
日本の環境視察団に同行する中で、こうした楽しい光景に出会うと最近は特に、こうした子供たちの自然体験の中にこそ、これからの環境問題に対する大事な解答があるのではないかと考えさせられます。
視察の現場では、ごみ・リサイクル・埋立て・焼却炉・デポジット・ワンウェイなど、さまざまなドイツ語と日本語の言葉が飛び交い、討論されます。そしてドイツも日本も、環境を視点においた長期的展望で社会システムを構築していくことが基本であることが重要とされます。
フライブルクでは環境負担やコスト負担の理由で焼却炉を持たず、埋立て量を減らす政策に成功してきました。それは、ごみの発生を抑え、リサイクルの流れを社会システムとして整備したからです。
町の大聖堂広場の朝市は色とりどりの野菜や果物・花などが、農家の直売として並ぶ楽しい買い物広場です。その焼きソーセージスタンドでは、ワンウェイビンは許可されません。デポジット料金をプラスして支払い、後で戻してもらいます。このシステムは公用の行事全てに決められているものです。
2万人の観衆の出るプロサッカースタジアムも、クリスマスマーケットも、ワイン祭りもしかり。なんと多くの人がこの体験をしていくことでしょう。
ただアイディアや規制も1つの方法ですが、フライブルクの人々はなぜごみを少なくするべきかということを小さな子供にわからせることが、非常に大事であると考えています。“自然の素晴らしさや、美しさへの感激” 例えば、コンポストの中に虫を見つけたり、花の香りを体一杯吸って気持ち良くなったり、そうした体験が自然を愛し、大事にしたいという人間作りの原点であるということです。
