「みんなの川」を守っていく秋田市・雄物川流域一斉清掃

流域のあらゆる所から集まるごみ
雄物川は秋田県南部の大仙山を源に、穀倉地帯の横手盆地や秋田平野を流れ日本海へと注ぐ全長133km に及ぶ一級河川。農業用水や水道水の水源であるとともに、堰などの河川施設が少ないためカヌーなどのレジャーも楽しめ、川原の大部分は農地として長年利用されてきた。流域住民の生活に豊かな恵みと潤いをもたらしている雄物川でも、ごみ問題は例外ではなかった。
雄物川のごみ問題が改めてクローズアップされたきっかけは、2007年9月の20年ぶりの大洪水であった。農業用シートや空き容器類など、流域のあらゆる所に溜まっていたごみが、下流域の河畔林や河口に一気に流出し、水辺の景観を著しく損ねた。さらに08年2月には秋田市内の雄物川河畔林で約3tにも及ぶ廃家電170品の不法投棄が発見された。
08年9月、雄物川のごみ問題に危機感を抱いた流域8市町村(秋田市、仙北市、大仙市、湯沢市、横手市、羽後町、東成瀬村、美郷町)と秋田県、国土交通省が「水上からの実態調査と意見交換会」を実施した。この中で「ごみ問題はその地域の品格」「流域一体での取り組みが必要」などの意見が交わされ、雄物川流域一斉清掃が行われることになった。
45リットルごみ袋1,000袋相当を回収
第1回目の雄物川流域一斉清掃は、09年5月31日に実施された。秋田市では秋田大橋とJR羽越線鉄橋間の雄物川右岸河川敷に256人の市民ボランティアが集まり、1.62t(45リットルごみ袋400袋相当)のごみを回収した。そして10年5月30日の第2回目の秋田市での活動には、スチール缶リサイクル協会も参加協力し、前回を上回る433人の市民ボランティアが2.47t(同1,000袋相当)のごみを回収した。地元企業で2年連続ボランティア参加した星修さんは次のように語る。
着実に広がるボランティアの輪
第2回目の流域一斉清掃を終え、秋田市環境部の佐藤悦紹さんは次のように市民に呼びかけている。
「一人ひとりが何気なく捨てたごみは少ないのかもしれません。しかし一つ一つが集まって大きな問題を引き起こしています。誰かではなく、自分自身が“みんなの雄物川”を守っていくという意識を持っていただくきっかけになればと願っています」秋田市と市民ボランティアが一体となって、雄物川のクリーンアップに取り組んでいる現状を踏まえ、国土交通省の柏倉晃さんは次のように期待を寄せている。
「今日もお子さんの姿がありましたが、その子は絶対ポイ捨てをしないようになるはずです。そういった地道な活動をやっていくしかないと思います。市街地で捨てられたごみは排水路などを通って川に流れ込みます。流域全体を面として考えていかなければ効果はあがりません。私たちも市と一緒になって河川を中心とした流域での取り組みを続け、“美の国あきた”を実現していきたいと考えています」


● 雄物川の誤美MAP
http://www.thr.mlit.go.jp/akita/kasen/omonogawa_cleanup/gomimap/index.html
スチール缶リサイクル協会は5月30日、秋田県秋田市の雄物川流域一斉清掃に参加協力するとともに、JR秋田駅構内で美化促進の普及啓発キャンペーンを実施した。当協会で実施した「散乱防止・美化キャンペーン」は、1973年に開始して以来、今回までの38年間で開催回数は480回、開催地は342カ所にのぼる。